二十四節気では”雨水”だった2月19日は、ぼくの心の中では快晴の一日だった。まず、午前中、東銀座の歌舞伎座で一幕をみて、お昼は築地で寿司を食べた。そのあと、京橋のブリヂストン美術館で、しばし別れのラスト展”ベスト・オブ・ザ・ベスト”をみて、帰りには神田やぶで一杯、大満足な一日だった。
それぞれ、一つひとつを単独の記事にしたいところだが、シンガポール旅行記や展覧会感想文も残しているものが多いので(汗)、今回は併せて一本とさせていただきたい。
まず、歌舞伎座。今日は”吉例寿曽我”の一幕だけをみることにしていた。10時頃、到着したが、まだ誰も並んでいない。ゆうゆうと席を確保。この演目、数年前に新橋演舞場でみたことがあり、江戸歌舞伎の様式美が楽しめる。舞台装置も楽しい。第一場は、ぼくの散歩道(笑)、”鶴岡石段の場”。八幡さまの石段がだんだんうしろに倒れていき、新しい舞台、富士山と梅林が次第に現れて、90度回転したときに、完成する、”がんどう返し”。この大磯曲輪外の場には、華やかな衣装を身に着けた役者がずらりそろう。錦絵のような美しさ。祐経に歌六、大磯の虎は芝雀、曽我兄弟は、五郎の歌昇と十郎の萬太郎。化粧坂少将が梅枝、喜瀬川亀鶴に児太郎という布陣。40分の舞台を千円で観られる4階席もイイね。

そして、ブリヂストン美術館のベスト・オブ・ザ・ベスト展(1月31日~5月17日)。5月18日から美術館の新築工事に入り、そのあと完成まで数年間も閉じてしまうという。2500点の石橋コレクションの中のベスト160を今回展示している。さすが、いいものばかりだった。もちろん、ほとんど、ここでみたものばかりだが、マイベスト10(笑)を挙げて、感想に代えたい。
第1位 ルノワール”すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢”
第2位 藤島武二 ”黒扇”
第3位 ピカソ ”腕を組んで座るサルタンバンク”
第4位 岡鹿之助 ”雪の発電所”
第5位 カイユボット”ピアノを弾く若い男”
第6位 マネ”自画像”
第7位 モネ ”黄昏
第8位 山下新一郎 ”供物”
第9位 セザンヌ ”自画像”
第10位 小出楢重 ”横たわる裸婦”
1952年、国立西洋美術館がまだない時代にオープン。当時のポスター、新聞記事なども展示されている。実篤の寄稿文があり、セザンヌ、マネ、モネ、マチスをこれから身近にみることが出来る喜びを語っている。さて、後期には青木繁の”海の幸”も来るようだし、また出掛けよう。


そのあと、東御苑まで歩き、3時31分に到着。すみません、3時半でクローズです。がーん。梅をみたかったのに。でも、これが幸いした。遊びの神様が、神田やぶまで連れてきてくれた。新築オープン後、3度訪ねて、あまりの長蛇の列に引き返した。この日も不安だったが、到着4時半。なんと、列がなし!その上、店内はがらがら。四度目の正直!
帰るときレジで聞いたら、その時間帯が一番空いているとのこと。そして、なななんと、この日は2年前の火事の日だった。ぼくは、2013年2月19日に神田やぶが焼け、翌日、”火事見舞い”に行き、ブログ記事にもしている。記念日といっては何だが、ちょうどその日に入れた。こんなうれしいことはない。落ちつくカウンター席で、ゆっくり、お酒を二本。せいろで〆た。帰る頃はもう満席だった。
幕見で一本、築地で寿司、展覧会一本、神田やぶで一杯、なかなかいいコースだった。これから、毎月一本、これでいこう。

