ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

歴史編(26)戻ってきたけど精ないこっちゃ

2009年10月30日 | 日めくり万葉集
■平成21年10月30日■
万葉集に詠われた歌を 歴史の流れに沿って 採り上げ 「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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大伯皇女おおくひめ 斎宮いつきのみやの 任解かれ 空しい戻る 大津ないみや
神風かむかぜの 伊勢の国にも あらましを なにしかけむ 君もあらなくに
《伊勢の国 ったらよかった 何のため 帰ってきたんか お前らんに》
                         ―大伯皇女おおくのひめみこ―〔巻二・一六三〕

★やっと来た 夏見の里に 日が暮れる 馬も分かるか 気落ちする胸
見まくり わがする君も あらなくに なにしかけむ 馬疲るるに
《逢いたいと 思うお前は らんのに なんで来たんか 馬疲れるに》
                         ―大伯皇女おおくのひめみこ―〔巻二・一六四〕






【君もあらなくに】へ


日めくり万葉集<6月>(その4)

2009年10月29日 | 日めくり万葉集
■平成21年10月29日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★ほっといて 相手若いて 言わんとき 恋に年端は 関係ないで
りにし おみなにしてや かくばかり 恋に沈まむ 手童のごと
《恥ずかしわ  こんな婆さん なったのに 若い子みたい 恋に溺れて》
                         ―石川郎女いしかわのいらつめ―〔巻二・一二九〕

★ワシのこと 早よ分かってや えて言う 返事貰ろたら 飛んでくさかい
千鳥鳴く 佐保の川門かはとの 清き瀬を 打ち渡し いつかかよはむ
《その内に  馬で渡るで 佐保川の 渡しの瀬ぇを お前の許へ》
                         ―大伴家持―〔巻四・七一五〕 

★もうワシは 辛抱しんぼでけへん ばれてええ パッと噂に なってもええで
伊香保いかほろの やさかのゐでに 立つ虹の あらはろまでも さをさてば
《伊香保ある せきに立つ虹 それみたい 表つほど 寝続けてたい》
                       ―東歌・上野国歌―〔巻十四・三四一四〕 

★あんたとの こと知られんと おきたいに 女心を 分かってぇな
間遠まとほくの 野にもはなむ 心なく 里のみなかに へる背なかも
《人目無い 遠い野原が よかったで 村中むらなか逢うやて 気ィかん人》
                         ―東 歌―〔巻十四・三四六三〕 


歴史編(25)永遠の別れか姉弟

2009年10月27日 | 歴史編
■平成21年10月27日■
万葉集に詠われた歌を 歴史の流れに沿って 採り上げ 「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★雲行きは 天武身罷り 定まらず 大津・草壁 衝突するか
わが背子せこを 大和へるとさ夜更けて あかときつゆに わが立ち濡れし
《お前だけ  大和帰して 夜明けまで 夜露に濡れて 立ち尽くしてた》
                         ―大伯皇女―〔巻二・一〇五〕 

★身に迫る 危険知らずか 大津皇子おおつみこ 馬を飛ばして 都へ戻る
二人行けど  行き過ぎ難き 秋山を いかにか君が 独り越ゆらむ
《二人でも  行きにくい山 どないして お前 一人で 越えて行くんか》
                         ―大伯皇女―〔巻二・一〇六〕 






あかときつゆに】へ


日めくり万葉集<6月>(その3)

2009年10月26日 | 日めくり万葉集
■平成21年10月26日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★神の鹿 真似てうてる 鹿しし踊り 弥彦いやひこ神よ 加護をたまわ
弥彦いやひこ 神の麓に 今日けふらもか 鹿の伏すらむ 皮服かはごろも着て つのつきながら
弥彦山やひこやま 神さん庭で 今日あたり 人鹿しか伏せとるで 鹿の皮着て つの頭付け》
                         ―作者未詳―〔巻十六・三八八四〕 

★これほどに 苦し思いで 居るけども あんたに気持ち 届くんやろか
恋草こひぐさを 力車ちからぐるまに 七車ななくるま 積みて恋ふらく 我が心から
《恋草を  荷車七台 積むほどに 苦し思いは 惚れた弱みや》
                         ―広河女王ひろかわのおおきみ―〔巻四・六九四〕

★つつじ花 桜の花も みんなみな お前に見える これが恋かな
物思はず 道くも      《もの思わんと  道を来た
青山を け見れば      青い山見て  振りむいた
つつじ花 にほえ娘子をとめ        つつじ綺麗や お前の
桜花さくらばな さか娘子をとめ           桜美し お前の
なれをそも われすといふ    ワシに似合いや  みんな言う
われをもそ なれすといふ    お前に似合いや  みんな言う
荒山あらやまも 人しすれば       噂をしたら  山さえも
そるとぞいふ が心ゆめ   その気なる言う  気ィ付けや (他人と噂  されんよに)
                         ―作者未詳―〔巻一三・三三〇五〕 

歴史編(24)あんたとうとう逝ってもた

2009年10月23日 | 日めくり万葉集
■平成21年10月23日■
万葉集に詠われた歌を 歴史の流れに沿って 採り上げ 「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★壬申を 制し王権 確立した君
           ついに逝くかと  持統の嘆き

やすみしし  わが大君の 
夕されば し給ふらし 
明けくれば  問ひ給ふらし 
神岳かむおかの 山の黄葉もみぢを 
今日もかも  問ひ給はまし 
明日もかも し給はまし 
その山を  ふりさけ見つつ 
夕されば  あやに悲しみ 
明けくれば  うらさび暮し 
荒栲あらたへの 衣の袖は る時もなし

《朝夕に  神岡もみじ 見たい言う
 今日のはどやろ 明日あすはどや
 聞いてたあんた もうらん
 今日も聞いてや 明日あすも見て
 その山見るたび 悲しいて
 思い出すたび さみしゅうて
 涙流れて  止まらへん》
          ―持統天皇―〔巻二・一五九〕 





【見し給はまし】へ


日めくり万葉集<6月>(その2)

2009年10月22日 | 日めくり万葉集
■平成21年10月22日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★仲良しの 大国さんと 少御神すくなかみ 共に助けて この国立てた
大穴道おほなむち 少御神すくなみかみの 作らしし 妹背いもせの山を 見らくし良しも
大穴道おほなむち 少御神すくなみかみが 作られた 妹山背山 見るのんうれし》
                       ―柿本人麻呂歌集―〔巻七・一二四七〕 

★家持はん それは無いやろ このうちを その気にさして 移り気するか
君にひ いたもすべなみ 奈良山の 小松がもとに 立ち嘆くかも
《恋しいて どう仕様しょもないで 奈良山の 松の下来て 嘆息ぼおっとしてる》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〔巻四・五九三〕

★この世では 生きてるもんは みんな死に 生まれ変わって また死んでいく
いさなとり  海や死にする 山や死にする
          死ぬれこそ 海は潮干て 山は枯れすれ 

《鯨る 海死ぬやろか 山死ぬやろか
          そや死ぬで 海干あがって 山枯れるやろ》 
                         ―作者未詳―〔巻十六・三八五二〕 

藤原京ふじわらへ 都移りで 明日香宮 むなしうなって 人かて居らん
うね  そでかへす 明日香あすかかぜ みやことほみ いたづらに吹く
采女うねめ袖 吹き返してた 風寂し 遠なってもた 明日香の都》
                         ―志貴皇子しきのみこ―〔巻一・五一〕

旅人たびとはん あんたの気持 よう分かる 代わりに詠むで 妻亡くし歌
くやしかも かく知らませば あをによし 国内くぬちことごと 見せましものを
《悔しいな こんなことなら 景色え 筑紫の国中くにじゅう 見せたったのに》
                         ―山上憶良―〔巻五・七九七〕 

歴史編(23)ええ女にはみな参る

2009年10月21日 | 歴史編
■平成21年10月21日■
万葉集に詠われた歌を 歴史の流れに沿って 採り上げ 「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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郎女いらつめの 魅力に負けて 大津皇子おおつみこ じっと我慢の 山陰やまかげしずく
あしひきの  山のしづくに 妹待つと われ立ちぬれぬ 山のしづくに
《お前待ち 夜更けの露に 濡れてもた お前待ってて しずくに濡れた》
                         ―大津皇子―〔巻二・一〇七〕 

★郎女の 返しの歌は 蠱惑的 大津益々 思いが募る
われ待つと  君がぬれけむ あしひきの 山のしづくに 成らましものを
《うち待って あんたが濡れた やましずく 成りたかったな そのやましずく
                         ―石川郎女いしかわのいらつめ―〔巻二・一〇八〕

★現場をば 持統密偵 暴かれて 開き直るは 大津の皇子おうじ
大船の 津守のうらに らむとは まさしに知りて わが二人
《見つかんの  分かってたんや 始めから 知ってた上で 二人寝たんや》
                         ―大津皇子―〔巻二・一〇九〕 






【われ立ちねれぬ】へ


日めくり万葉集<6月>(その1)

2009年10月20日 | 日めくり万葉集
■平成21年10月20日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★待つ気持ち 弦の音にも ハッとする ほんまやろうか お成りやなんて
梓弓あづさゆみ 爪引つまび夜音よおとの 遠音とほおとにも 君の御幸みゆきを 聞かくししも
《夜に引く 弓音のに ほのかにも お成りと聞くと うれしてならん》
                         ―海上女王うなかみのおおきみ―〔巻四・五三一〕

★子を持って 知る親心 もっと早よ 分かってたなら 孝行したに
しろかねも くがねも玉も 何せむに まされる宝 子にかめやも
《金銀も 宝の玉も そんなもん なんぼのもんじゃ 子供が一番》
                         ―山上憶良―〔巻五・八〇三〕 

醜男ぶおとこは これがチャンスと 必死やで そこに女が 惚れるんちゃうか
うましもの いづくもかじを 坂門さかとらが つののふくれに しぐひあひにけむ
別嬪べっぴんで 引く手数多あまたの 児がなんで あんな醜男おとこと 引っ付いたんや》
                         ―児部女王こべのおおきみ―〔巻十六・三八二一〕

★真珠玉 今も昔も おんなじや 女心を 繋いで止める
我妹子わぎもこが 心なぐさに らむため おきつ島なる 白玉もがも
《独り待つ お前の心の 慰みに 沖合い島の 真珠が欲しい》 
                         ―大伴家持―〔巻十八・四一〇四〕 

葛城王かづらきは 非礼接待 気に食わぬ 采女帰りが 機転の詠い
安積香山あさかやま 影さへ見ゆる 山のの 浅き心を 我が思はなくに
安積香山あさかやま 写る泉の な浅い 心とちゃうで うちの気持ちは》
                         ―作者未詳―〔巻十六・三八〇七〕 


歴史編(22)からこうたけどワシの負け

2009年10月19日 | 歴史編
■平成21年10月19日■
万葉集に詠われた歌を 歴史の流れに沿って 採り上げ 「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★すぐそこの 実家の妻に かまい文 したり顔する 天武のみかど
わが里に 大雪降れり 大原のりにし里に 降らまくはのち
《わしの里 大雪降った お前る そっちの田舎 まだまだやろな》
                         ―天武天皇―〔巻二・一〇三〕 

★受け取った 機知の夫人は 負けてない 思わず苦笑 天武のみかど
わが岡の おかみに言ひて 降らしめし 雪のくだけし そこに散りけむ 
《そらちゃうで うちの神さん 願いして 降らしてもろた 雪のカケラや》
                         ―藤原夫人ふじはらのぶにん―〔巻二・一〇四〕





【大雪降れり】へ


日めくり万葉集<5月>(その5)

2009年10月16日 | 日めくり万葉集
■平成21年10月16日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★吉野行幸ゆき 従駕の歌は 詠わぬが 独り静かに 寂寥思い
大和やまとには 鳴きてからむ 呼子鳥よぶこどり きさの中山 呼びそ越ゆなる
郭公鳥かっこどり きさの中山 鳴き越えた 大和へ行って 鳴いてんやろか》 
                         ―高市黒人―〔巻一・七〇〕 

★わしのこと 待ってへんのか 待ってんか どっちなんやろ ほんまにあの子
たきぎる 鎌倉山の 木垂こだる木を 待つとが言はば 恋ひつつやあらむ
《枝垂れる 木は松ちゃうが 松〔待つ〕やでと お前言うたら 焦がれへんのに》
                        ―東歌・相模国歌―〔巻十四・三四三三〕 

★大津宮 雲を霞と 消えてもた 旧い都に 波だけ寄せる
楽浪さざなみの 志賀の大わだ よどむとも 昔の人に またもはめやも
せんいな よどみずみたいに とどまって 昔の人に おうおもても》
                         ―柿本人麻呂―〔巻一・三一〕 

★おべんちゃら 分かってるけど ええ気分 こんな男と 思うてみても
うつせみの 常の言葉と 思へども ぎてし聞けば 心まどひぬ
《平凡な 口説き文句と 思うけど 続けて聞くと その気になるわ》 
                         ―作者未詳―〔巻十二・二九六一〕 

★三日間 まともに寝んと 歌作り 三日め朝の 気分はいかに
朝床あさどこに 聞けばはるけし 射水川いみずかは 朝漕ぎしつつ うた舟人ふなびと
朝寝あさねどこ なんか聞こえる のんびりと 川で舟漕ぐ 漁師の声か》
                         ―大伴家持―〔巻十九・四一五〇〕 

歴史編(21)わし見て育て

2009年10月15日 | 歴史編
■平成21年10月15日■
万葉集に詠われた歌を 歴史の流れに沿って 採り上げ 「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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ふところに 皇子を抱き 思い出す 逃れし吉野 今ここに立つ
き人の        《よろし人〔わしが〕 
 よしとよく見て      よう〔状況〕見てからに 
  よしと言いし       よし〔出陣〕言うた 
   吉野よく見よ       吉野 よう見い〔覚えとくんや〕 
    良き人よく見       よろし人〔わしを〕よう見〔見習うんや〕》 
                         ―天武天皇―〔巻一・二七〕 

<日めくり万葉集5月(その2)との重複 ご容赦ください>



【吉野よく見よ】へ


日めくり万葉集<5月>(その4)

2009年10月14日 | 日めくり万葉集
■平成21年10月14日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
――――――――――――――――――――――――――――――――
★宵闇に 続く蛍火 延々と 志貴皇子はん 送る人群ひとむら
梓弓あずさゆみ 手に取り持ちて 大夫ますらをの 得物矢さつやばさみ 
立ちむかふ 高円たかまと山に 春野焼く 野火と見るまで  
もゆる火を いかにと問へば 
 
武人ますらおが 手に持つ弓に 矢をつがえ 射るため向かう まと
 高円山たかまとめぐる 春の野を 焼く火みたいに 燃えるのは
 何の火ィかと 尋ねたら》 
玉桙たまほこの 道来る人の 泣く涙 小雨に降り  
白拷しろたへの ころもひづちて 立ちとまり われに語らく
 
《道を来る人 顔上げて  あふれる涙 雨みたい 
 着てる服まで 濡れそぼち  足をとどめて 語るには》
何しかも もとな問ふ  
聞けば のみし泣かゆ 語れば 心そ痛き  
天皇すめろきの 神の御子みこの いでましの 手火たびの光そ 
ここだ照りたる 

なんで聞くんや そんなこと
 聞いたら余計よけい 泣けてくる 話すと胸が 痛うなる 
 天皇おおきみさんの 御子みこはんが あの世旅立つ 送り火や 
 こんないっぱい 光るんは》 
                         ―笠金村かさのかなむら歌集―〔巻二・二三〇〕
高円の 野辺のへ秋萩あきはぎ いたづらに 咲きか散るらむ 見る人無しに
高円たかまとの 野に咲く萩は むなしいに 咲いて散ってる 見る人おらんで》
                         ―笠金村歌集―(巻二・二三一) 
三笠山 野辺行く道は こきだくも しげり荒れたるか ひさにあらなくに
うなって 日もたんのに 野辺の道 えらい荒れてる 三笠の山は》
                         ―笠金村かさのかなむら歌集―(巻二・二三二)


歴史編(20)歴史の波に翻弄されて

2009年10月13日 | 歴史編
■平成21年10月13日■
万葉集に詠われた歌を 歴史の流れに沿って 採り上げ 「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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大友皇子つれ失くし 悲し運命さだめの 十市皇女とおちひめ 大岩いわに願うは 永遠とわの命か
河のの ゆつ岩群いはむらに 草さず 常にもがもな 常処女とこをとめにて
《川の岩 草も生えんと 変わりない 姫さんあんたも 変わらずって》
                         ―吹黄刀自ふきのとじ―〔巻一・二二〕

★不慮の死を 嘆けど遅し 姉上を 守れず悔し 異母弟高市皇子おとうとたけち
山振やまぶきの 立ちよそひたる 山清水やましみづ みに行かめど 道の知らなく
《山吹の 花咲く清水 かえり水 みたいけども 道わかからへん》
                         ―高市皇子―〔巻二・一五八〕 






常処女とこおとめにて】へ


日めくり万葉集<5月>(その3)

2009年10月09日 | 日めくり万葉集
■平成21年10月9日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
――――――――――――――――――――――――――――――――
★春出挙すいこ 巡回終えて 船着いて 月を仰いで ほっと家持
珠洲すすの海に 朝びらきして 漕ぎ来れば 長浜のうらに 月照りにけり
《朝珠洲すずを 船出ふなで日中ひなか 漕ぎ続け 長浜着いたら ええ月出てる》
                         ―大伴家持―〔巻十七・四〇二九〕 

十市皇女とおちひめ 可哀そうやと 高市皇子たけちみこ 募うてきたが 救うてやれず
山吹の 立ちよそひたる 山清水やましみづ 汲みに行かめど 道の知らなく
《山吹の 花咲く清水 かえり水 みたいけども 道わかからへん》
                         ―高市皇子―〔巻二・一五八〕 

★ほととぎす 昔恋しと 鳴く声に 昔思うて しみじみするよ
信濃しなぬなる すがの荒野あらのに ほととぎす 鳴く声聞けば 時過ぎにけり
《ほととぎす 須我の荒野で 鳴いとおる あれから何年 経ったことやろ》 
                         ―東歌・信濃国歌―〔巻十四・三三五二〕 

★酒める 歌と言いつつ 嘆いてる 酒は涙か 溜息やろか
しるしなき 物をおもはずは 一坏ひとつきの にごれる酒を 飲むべくあるらし
仕様しょうもない 考えせんと 一杯の どぶろく酒を 飲むがええで》
                         ―大伴旅人―〔巻三・三三八〕 

★藤原の 都移りの 宮殿で 見る香久山は 初夏の趣
春過ぎて 夏来るらし 白たへの 衣干したり 天の香久山 
《香久山に 白い衣が 干したある ああ春がて 夏が来たんや》
                         ―持統天皇―〔巻一・二八〕 

歴史編(19)流れ流されここまでも

2009年10月08日 | 歴史編
■平成21年10月8日■
万葉集に詠われた歌を 歴史の流れに沿って 採り上げ 「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
とが受けて 麻続王おみのおおきみ 流される 因幡・板来や 伊良虞いらごの島へ

打つを 麻続王をみのおほきみ 海人あまなれや 伊良虞いらごの島の 玉藻たまもります
粗末衣ぼろ着てる 麻続王おみのおおきみ 漁師あまやろか 伊良湖の岸で ってはる》
麻続 王をみのおほきみを見た人―〔巻一・二三〕

うつせみの 命を惜しみ 浪にぬれ 伊良虞いらごの島の 玉藻刈り
仕様しょうなしに 伊良湖の島で 波に濡れ 藻ぉうんは 死にとないから》
麻続 王をみのおほきみ―〔巻一・二四〕




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