家持編（二）青春・内舎人青雲（06）石麿殿が 憐れじゃないか

■平成23年10月20日■
万葉集に詠われた歌を　作者別に採り上げ　人となりを「大阪弁（満載弁）」で訳します
いわく　「大阪弁（関西弁）万葉集」
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ニシワキタダシさんの「かんさい絵ことば辞典」が好評です。
「大阪弁（関西弁）万葉集」も　あやかりたいものです。
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★八束への　軽口嫌いやみ　言うたなら　さらに厳しい　諫いさめの返し

けだしくも　人の中言なかごと　聞きかせかも　ここだく待てど　君が来きまさぬ
《悪噂ちゅうしょうを　きっと聞いたに　違いない　こんだけ待って　八束あんた来こんのは》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻四・六八〇〉
なかなかに　絶たゆとし言はば　かくばかり　気いきの緒をにして　吾わが恋ひめやも
《縁切えんぎりや　言われたほうが　気ィ楽や　こんな思うて　気に懸けるより》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻四・六八一〉
思ふらむ　人にあらなくに　ねもころに　情こころ尽つくして　恋ふるわれかも
《思うても　呉れへん人に　一生懸命いっしょけめ　心尽くすん　アホやでうちは》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻四・六八二〉

　
石麿いはまろに　われ物もの申まをす　夏痩やせに　良よしといふ物そ　鰻むなぎ捕り食めせ
《言うたろか　石麿いわまろさんよ　夏痩せに　よう効きく言うで　鰻食たどや》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十六・三八五三〉
痩やす痩やすも　生いけらばあらむを　はたやはた　鰻を捕ると　川に流るな
《痩せてても　生きてる方が　まだ良ええで　鰻捕ろして　溺おぼれたあかん》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十六・三八五四〉

　

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家持編（二）青春・内舎人青雲（05）わしの歌じゃが いかがじゃお主

■平成23年10月17日■
万葉集に詠われた歌を　作者別に採り上げ　人となりを「大阪弁（満載弁）」で訳します
いわく　「大阪弁（関西弁）万葉集」
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ニシワキタダシさんの「かんさい絵ことば辞典」が好評です。
「大阪弁（関西弁）万葉集」も　あやかりたいものです。
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★歌習い　手応え感じ　家持は　友の八束に　歌送る　

ひさかたの　雨間あままも置かず　雲隠くもがくり　鳴きそ行くなる　早稲田わさだ雁がね
《雲の陰かげ　雨降る間まぁも　休まんと　雁鳴き飛ぶよ　早稲わせ田の上に》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五六六〉
雲隠くもがくり　鳴くなる雁の　去ゆきて居ゐむ　秋田の穂立ほたち　繁しげくし思ほゆ
《雲隠かくれ　鳴き飛ぶ雁の　行き先の　秋田の穂ほぉは　たわわやろうか》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五六七〉
雨隠あめごもり　情こころいぶせみ　出で見れば　春日かすがの山は　色づきにけり
《雨降りが　欝うっとしいんで　出てみたら　春日の山は　色づいてたで》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五六八〉
雨晴れて　清く照りたる　この月夜つくよ　また夜よくたちて　雲な棚引き
《雨止やんで　月さわやかに　照っとるで　もうこれからは　雲出んときや》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五六九〉

此処ここにありて　春日かすがや何処いづく　雨障あまつつみ　出でて行かねば　恋ひつつそ居をる
《この雨に　降り込められて　春日山　足遠とおのいた　行ってみたいで》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―藤原八束ふじわらのやつか―〈巻八・一五七〇〉
春日野かすがのに　時雨しぐれ降る見ゆ　明日あすよりは　黄葉もみち插頭かざさむ　高円たかまとの山
《春日野に　時雨しぐれ降ってる　黄葉もみじやな　明日あした髪挿かざしに　高円山たかまど行こか》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―藤原八束ふじわらのやつか―〈巻八・一五七一〉



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家持編（二）青春・内舎人青雲（04）上達振りは 中々じゃわい

■平成23年10月13日■
万葉集に詠われた歌を　作者別に採り上げ　人となりを「大阪弁（満載弁）」で訳します
いわく　「大阪弁（関西弁）万葉集」
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ニシワキタダシさんの「かんさい絵ことば辞典」が好評です。
「大阪弁（関西弁）万葉集」も　あやかりたいものです。
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★どうじゃなと　叔父稲公いなきみも　駆け参じ　出来は如何にと　修行の加勢

時雨しぐれの雨　間ま無くし降れば　三笠山　木末こぬれあまねく　色づきにけり
《時雨しぐれ雨　降り続いたで　三笠山　梢全部ぜえんぶ　色づいて仕舞もた》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴稲公おおとものいなきみ―〈巻八・一五五三〉
大君おほきみの　三笠の山の　黄葉もみちばは　今日の時雨しぐれに　散りか過ぎなむ
《三笠山　山のもみじ葉ば　降る雨に　今日あたりもう　散るんと違ちゃうか》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五五四〉

我が屋戸やどの　草花をばなが上の　白露を　消たずて玉に　貫ぬくものにもが
《庭にある　ススキに降おりた　玉露を　消さんと糸に　通とおしてみたい》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五七二〉
今日けふ降りし　雪に競きほひて　わが屋前やどの　冬木の梅は　花咲きにけり
《今日降った　雪に負けんと　庭の梅　枯れ木やけども　白花はな咲いたがな》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一六四九〉
沫雪あわゆきの　庭に降りしき　寒き夜を　手枕たまくら纏まかず　独ひとりかも寝む
《淡雪あわゆきが　庭に降ふり積つみ　寒い夜　手ぇ繋つなげんと　独り寝るんか》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一六六三〉

あしひきの　石いは根ねこごしみ　菅すがの根を　引かば難かたみと　標しめのみそ結ゆふ
《山の岩　ごつごつしてて　菅すがの根を　抜かれへんので　印しるししといた》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻三・四一四〉

牽牛ひこぼしの　嬬つま迎へ船ぶね　漕ぎ出づらし　天あまの川原かはらに　霧の立てるは
《彦星の　迎えの船が　出たんやな　天あまの川原かわらに　霧出てるがな》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―山上憶良やまのうえのおくら―〈巻八・一五二七〉

織女たなばたし　船乗ふなのりすらし　真澄まそ鏡かがみ　清き月夜つくよに　雲立ち渡る
《織姫おりひめが　迎船ふね乗った様よや　波しぶき　澄んだ月夜つきよに　雲起してる》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十七・三九〇〇〉



 



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家持編（二）青春・内舎人青雲（03）なるほどこうか 歌作り

■平成23年10月10日■
万葉集に詠われた歌を　作者別に採り上げ　人となりを「大阪弁（満載弁）」で訳します
いわく　「大阪弁（関西弁）万葉集」
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★歌作り　褒めの指導に　導かれ　日夜錬磨の　修行が続く


わが屋前やどの　花はな橘たちばなを　霍公鳥ほととぎす　来鳴かず地つちに　散らしてむとか
《庭咲いた　橘たちばな花はなを　ほととぎす　鳴きに来んまま　散らすんかいな》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八六〉

わが屋前やどの　花はな橘たちばなに　霍公鳥ほととぎす　今こそ鳴かめ　友に逢へる時
《庭に咲く　橘たちばな花はなに　ほととぎす　今鳴かんかい　友と居おるのに》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴書持おおとものふみもち―〈巻八・一四八一〉

わが屋前やどの　花はな橘たちばなの　何時いつしかも　珠に貫ぬくべく　その実みなりなむ
《庭植えた　花はな橘たちばなは　いつ頃に　糸通としできる　実みぃ成るんやろ》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四七八〉
わが屋前やどの　花はな橘たちばなは　散り過ぎて　玉に貫ぬくべく　実みになりにけり
《庭咲いた　橘の花　散って仕舞まい　糸通とおしする　実みになって仕舞もた》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八九〉

夏まけて　咲きたる唐棣はねず　ひさかたの　雨うち降れば　うつろひなむか
《夏待って　咲いたハネズは　雨来たら　やっと咲いたん　色褪あせるがな》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八五〉
隠こもりのみ　居をればいぶせみ　慰なぐさむと　出で立ち聞けば　来鳴く晩蝉ひぐらし
《籠こもってて　沈んだ気ィを　晴らそうと　出たら蜩ひぐらし　来て鳴いたがな》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四七九〉
わが屋前やどの　瞿麦なでしこの花　盛さかりなり　手折たをりて一目ひとめ　見せむ児もがも
《庭で咲く　撫子なでしこの花　今盛り　採とって見せる児　居おらんもんかな》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九六〉

 



【今こそ鳴かめ】へ

家持編（二）青春・内舎人青雲（02）とてもお前に 及びはせんわ

■平成23年10月6日■
万葉集に詠われた歌を　作者別に採り上げ　人となりを「大阪弁（満載弁）」で訳します
いわく　「大阪弁（関西弁）万葉集」
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★書持ふみもちの　手引きよろしく　家持は　歌修練に　余念ない

霍公鳥ほととぎす　待てど来き鳴かず　菖蒲あやめ草ぐさ　玉に貫ぬく日を　いまだ遠みか
《ほととぎす　待ってるのんに　まだ鳴かん　菖蒲あやめ薬玉たまする　日ィ来こんからか》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九〇〉

わが屋戸やどに　月おし照れり　霍公鳥ほととぎす　心あらば今夜こよひ　来鳴き響とよもせ
《家うちの庭　月照っとるで　ほととぎす　せっかくやから　鳴きに来こんかい》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴書持おおとものふみもち―〈巻八・一四八〇〉

霍公鳥ほととぎす　思はずありき　木この暗くれの　かくなるまでに　なにか来鳴かぬ
《なんでまた　木ィの茂みが　濃こなるまで　鳴きに来こんのや　なあほととぎす》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八七〉

あしひきの　木この間ま立ち潜くく　霍公鳥ほととぎす　かく聞きそめて　後のち恋ひむかも
《初聞きは　木の間潜くぐりの　ほととぎす　聞いたその声　忘れられへん》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九五〉
何処いづくには　鳴きもしにけむ　霍公鳥ほととぎす　吾家わぎへの里に　今日のみそ鳴く
《他所よそでもう　鳴いてたんやろ　ほととぎす　やっと此里ここ来て　鳴いてくれたな》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八八〉
卯うの花も　いまだ咲かねば　霍公鳥ほととぎす　佐保さほの山辺やまへに　来鳴き響とよもす
《卯うの花が　まだ咲かへんで　ほととぎす　佐保の山来て　咲けて鳴いてる》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四七七〉
卯うの花の　過ぎば惜しみか　霍公鳥ほととぎす　雨間あままもおかず　此間こゆ鳴き渡る
《卯うの花の　散るん惜おしいか　ほととぎす　雨降る中を　鳴き渡りよる》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九一〉
夏山の　木末こぬれの繁しげに　霍公鳥ほととぎす　鳴き響とよむなる　声の遥はるけさ
《夏山の　繁る梢こずえで　ほととぎす　鳴き響くんが　はるか聞こえる》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九四〉





【なにか来鳴かぬ】へ

家持編（二）青春・内舎人青雲（01）親父亡くなり このわし当主

■平成23年10月3日■
万葉集に詠われた歌を　作者別に採り上げ　人となりを「大阪弁（満載弁）」で訳します
いわく　「大阪弁（関西弁）万葉集」
――――――――――――――――――――――――――――――――
ニシワキタダシさんの「かんさい絵ことば辞典」が好評です。
「大阪弁（関西弁）万葉集」も　あやかりたいものです。
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★家待へ　旅人たびと仕えの　余明軍よみょうぐん　別れて行くか　言伝て残し


見み奉まつりて　いまだ時だに　更かはらねば　年月のごと　思ほゆる君
《お仕えし　日ィ浅いのに　長いこと　仕つかえた思える　家持あなた様です》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―余明軍よのみやうぐん―〈巻四・五七九〉
あしひきの　山に生おひたる　菅すがの根の　ねもころ見まく　欲ほしき君かも
《出来るなら　菅すがの根みたい　長々と　お仕えしたい　家持あなた様です》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―余明軍よのみやうぐん―〈巻四・五八〇〉

うち霧きらし　雪は降りつつ　しかすがに　吾家わぎへの園に　鴬うぐひす鳴くも
《空覆おおい　雪降るのんに　鶯が　もう来てからに　庭で鳴いとる》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四四一〉
春の野に　あさる雉きぎしの　妻つま恋ごひに　己おのがあたりを　人に知れつつ
《春の野で　餌えさ捕とる雉きじは　連れ呼んで　居場所猟師りょうしに　教えとるがな》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四四六〉


 



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