ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

古事記ものがたり・掲載します

2013年09月30日 | メッセージ
■古事記ものがたり■

平成24年は古事記編纂1300年に当たります。
これを機に「古事記の現代訳」を試みました。
題して
血湧き肉躍る活劇譚叙事詩的古事記ものがたり」
現在全国主要書店で並んでいます。
一話ずつ掲載して 少しづつ紹介しています。

(訳してみよう万葉歌はしばらく休みます)

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古事記編纂1300年を期に
万葉学の気鋭が放つ
一大スペクタクル絵巻

稗田阿礼も地下で頷く
リズムやまとことばで
現代に甦る
エピック・ポエトリイ

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現在 全国主要書店にて 販売中です。
お読み頂けるようでしたら
店頭 or 書店予約申込み or 出版社(JDC出版)への申込み
を お願い致します。





古事記ものがたり・下つ巻(23)暴き為すのは 天皇為ならず

2013年09月09日 | 古事記ものがたり

うらうらみて 余りある
雄略ゆうりゃく天皇おおきみ 如何いかにせん

墓をあばきて やつ霊魂みたま
報復ほうふくせずに 置くべきや








顕宗けんぞう天皇おおきみ 積年せきねん
墓をこわせの めい出すに
兄の意祁命おけみこ 申し出る

うらみ抱くは 我れもまた
 墓をあばくは 我が役目
 屹度きっとの果たし 約束やくすにて」









行きて意祁命おけみこ みささぎ
かたわらら少し 取りこぼ
帰り 「役目を 果たせり」と

報告すに 顕宗天皇おおきみ
「早き帰りは いぶかしや
 如何いかこぼちし 兄者人あにじゃひと

「少しこぼち」と 意祁命おけみこと

「父があだなる 墓なるぞ
 ことごこぼち 何故なぜん」

聞きて兄意祁命あにみこ さとすには
うらみ晴らすは 孝行こうこう

 したが父上 従弟いとこにて
 国の天皇おおきみ なれる方
 ことごこぼち のちの世の
 人の誹謗そしりを 受けずかや

 如何いかがなるかや 天皇すめらみこ

兄のじょう 道理どうりなと
顕宗天皇すめらみことは うなずけり








顕宗けんぞう天皇おおきみ 後受けて
兄の意祁命おけみこ 即位して
仁賢にんけん天皇おおきみ 御代みよとなる

続きその皇子みこ 小長谷おはつせの
若雀命わかささぎみこ 即位され
武烈ぶれつ天皇おおきみ なるぞかし

武烈ぶれつ天皇おおきみ 御子なしに
近江国おうみお住みの 袁本杼命おおどみこ
応神おいじん天皇おおきみ 五世子孫まご

上京のぼらせ申し 皇后きさきにと
武烈ぶれつ天皇おおきみ 姉君の
手白髪郎女たしからいらつめ お迎えし
継体けいたい天皇おおきみ お成りなる















以下にと続く 天皇おおきみ
安閑あんかん天皇おおきみ
宣化せんか天皇きみ
欽明きんめい天皇おおきみ
敏達びだつ天皇きみ
用命ようめい天皇おおきみ
崇峻すしゅん天皇きみ
最後推古すいこの 天皇おおきみ
継がれるちて 巻とじじる

ここに縷々るるとぞ 語り
古事記ふることふみの ものがたり 
全巻まさに 完結おわりなり









古事記ものがたり・下つ巻(22)優し天皇にて 厳し天皇

2013年09月02日 | 古事記ものがたり
やさ天皇きみにて きび天皇きみ

兄のゆずるを 受け入れて
袁祁命おけのみことが 皇位くらい継ぐ
顕宗けんぞう天皇おおきみ その人ぞ

無念思いで 身罷みまかりし
父の市辺之いちのへ 忍歯王おしはみこ
近江の国に 御骨みかばね
探すに老媼おうな で来たり

御骨みかばね場所を 我れ知れり
 特徴なみなき歯にて 知れるべし」

老媼おうな言葉に 土掘れば
まがいも無しに 御骨みかばね
老媼おうな見知りを 誉めたた
置目おきめ老媼おうなと 名付け
(見覚え老女)








ぐうすに参内さんだい 許すにと
宮殿みやそば住まい 与え

顕宗天皇きみ老媼おうなを 気に入りて
日毎ひごとしの 合図あいずにと
釣鐘つりがねすずを るし下げ
呼ぶに鳴らせば 老媼おうな来る










顕宗天皇すめらみことの 謡う歌

浅茅あさじ響きて 小谷おだに越え
遠く 届けと 鈴が鳴る
置目おきめ老媼おうなが 来るぞかし

  浅茅原あさじはら 小谷おだにを過ぎて
  百伝ももづたう ぬてゆらくも
  置目おきめらしも
               ―古事記歌謡(百十一)―

月日がって とある日の
置目おきめ老媼おうなが 申し出は
「我が身老いしに 故郷さと恋し」
未練顕宗天皇おおきみ 別れにと
帰るをしみ 謡う歌

近江置目おきめや ああ置目おきめ
明日 が来たなら 山隠れ
見えはんぞよ 逢えも

  置目おきめもや 淡海おうみ置目おきめ
  明日よりは み山がくりて
   見えずかもあらん
               ―古事記歌謡(百十二)―










父が殺され 危害きがい避け
逃げて変姿やつした 辛苦しんくをば
思うに付けて うらめしは

途中山城やましろ 刈羽井かりはい
かてを食すに 奪われし
あだを返さで なんとする

思い返しの り取りは
かてを惜しいと 思わねど
  名告れ盗賊 名は何と」
返る答は 「猪飼いかい」とぞ

さがせやその名 草別けて
顕宗天皇おおきみめいの 探索たんさく
遂に捕えた 猪飼いかいをば
飛鳥川あすか河原で 斬り殺す

残る眷属けんぞく ことごとく
ひざすじ切りの 刑に処す