ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

赤人編(12)おおらか赤人 寛(くつろ)ぎお供

2011年03月24日 | 赤人編
■平成23年3月24日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★のどやかな 難波行幸は 遊興気分 皆それぞれに 楽しみ詠う

大夫ますらをは 御猟みかりに立たし 少女をとめらは 赤裳あかもすそ引く 清き浜廻はまび
《男らは 狩りに行ったで 女官おとめらは 赤い裳裾すそ引き 浜辺遊びや》
                         ―山部赤人―〔巻六・一〇〇一〕 

住吉の  粉浜のしじみ 開けも見ず 隠りてのみや 恋ひ渡りなむ
《殻閉めた 粉浜シジミの 貝みたい わしめ恋を し続けるんか》
                         ―作者未詳―〔巻六・九九七〕 

まよごと 雲居くもゐに見ゆる 阿波あはの山 かけて漕ぐ舟 とまり知らずも
《眉のな 雲の向こうの 阿波山あわやまを 目指し漕ぐ舟 何処どこ泊まるやろ》
                         ―ふなの おほきみ―〔巻六・九九八〕

血沼廻ちぬみより 雨そ降りる 四極しはつ白水郎あま 網手あみてしたり 濡れにあへむかも
血沼浦ちぬらから 雨降ってきた 網を干す 四極しはつの漁師 濡れたんちゃうか》
                         ―守部王―〔巻六・九九九〕 

子らがあらば 二人聞かむを 沖つに 鳴くなるたづの あかときの声
ったなら おまえと二人 聞きたいな 沖鳴く鶴の 夜明けの声を》
                         ―守部王―〔巻六・一〇〇〇〕 

馬のあゆみ おさとどめよ 住吉すみのえの 岸の黄土はにふに にほひて行かむ
手綱たづな引き 馬止めてんか 住吉の 岸の黄土はにゅうを 服に付けてこ》
                         ―安倍豊継―〔巻六・一〇〇二〕 




【清き浜廻はまびを】へ


赤人編(11)明日香の地こそ 歌の里

2011年03月17日 | 赤人編
■平成23年3月17日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★赤人は 明日香訪ねて いにしえを 辿りて歌の 心に触れる

三諸みもろの 神名備かむなび山に 五百枝いほえさし しじひたる つがの木の いやぎに 
玉かづら 絶ゆることなく ありつつも まず通はむ 明日香あすかの ふる京師みやこは 山高み かは雄大とほしろ
 
神名備かんなび山に 生えとおる 枝次々と やすつが つる長々と 伸ばすつた
 次々長々 通いたい ふるい都の 明日香宮 山は高こうて 河広い》
春の日は 山し見がほし 秋のは 河しさやけし 朝雲あさぐもに たづは乱れ 夕霧ゆふぎりに 河蝦かはづはさわく 
見るごとに のみし泣かゆ いにしへ思へば

《春の日ィには  山見たい 秋の夜には 河清い 朝立つ雲に 鶴飛んで 夕霧立つと 蛙鳴く
 こんな景色を 見るたんび しきりと泣けて しょうがない 昔栄えた この都》
                         ―山部赤人―〔巻三・三二四〕 
明日香あすか河 川淀かはよどさらず 立つ霧の 思ひ過ぐべき 恋にあらなくに
《立ち淀む 明日香の川の 霧みたい ずっと思うで 旧宮あすかへの恋》
                         ―山部赤人―〔巻三・三二五〕 
いにしへの ふるき堤は 年深としふかみ 池のなぎさに 水草みぐさ生ひにけり
《昔見た 古い堤は 年たで 池に水草 生えてしもてる》
                         ―山部赤人―〔巻三・三七八〕 



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赤人編(10)歌人の わしもとうとう ここ来たぞ

2011年03月14日 | 赤人編
■平成23年3月14日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★こここそは 伊予の伊佐爾波いざにわ 天皇おおきみが 訪ね来られた 歌聖地

皇神祖すめろきの 神のみことの きいます 国のことごと はしも さはにあれども 
《神であられる 天皇おおきみの お治めなさる この国に で湯仰山ぎょうさん あるけども》
島山の よろしき国と こごしかも 伊予いよ高嶺たかねの 射狭庭いさにはの 岡に立たして 
おもひ 辞思ことおもはしし み湯のうへの 樹群こむらを見れば
 
《島山立派な 伊予国いよくにの けわしい峰に うち続く  射狭庭いさには岡に その昔 天皇すめらみことが お立ちなり
 かつての昔 みし歌 捧げし言葉 思われた で湯の木立ち 眺めたら》
おみの木も ぎにけり 鳴く鳥の 声も変らず とほき代に かむさびゆかむ 行幸処いでましどころ
もみの木ずっと え続け 鳥鳴く声も 変わらへん 後の世までも 神秘やで 天皇おおきみられた この地こそ》
                         ―山部赤人―〔巻三・三二二〕 
ももしきの 大宮人おほみやびとの 飽田津にきたつに 船乗ふなのりしけむ としの知らなく
何時いつやろか 大宮人が 飽田津にきたつを 船出ふなでしたんは はるか昔や》
                         ―山部赤人―〔巻三・三二三〕 



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赤人編(09)鵜になりたいで このわしも

2011年03月10日 | 赤人編
■平成23年3月10日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★目に入る 景がそのまま 歌となり 歌がそのまま 景なり変わる

あぢさはふ いもれて 敷栲しきたへの まくらかず 
桜皮かにはき 作れる舟に 真楫まかじき わがれば
 
《お前の顔も  見られへん 安らか眠りも 出けん旅
 桜の皮を 張った船 梶いっぱいに 漕いできた》 
淡路あわじの 野島のしまも過ぎ 印南都麻いなみつま 辛荷からにの島の 島のゆ 吾家わぎへを見れば 
青山の 其処そことも見えず 白雲も 千重ちへになり
 
《淡路の島の 野島過ぎ 印南都麻島いなみつましま 後にして 唐荷の島の 間から 家のあるほう 見たけども
 山つらなって 分かれへん 雲重なって 見えやせん》
むる 浦のことごと 行きかくる 島の崎々 くまも置かず 思ひぞわが来る 旅の長み
《漕ぎまわり行く 浦々や 通りすぎてく 島々で お前のことを 思い出す 旅の日数ひかずが なごなったんで》
                         ―山部赤人―〔巻六・九四二〕 
たま刈る 辛荷からにの島に 島廻しまみする にしもあれや 家おもはざらむ
辛荷島からにしま エサ捕る海鵜うみう 島めぐる 呑気でええな わし家恋し》
                         ―山部赤人―〔巻六・九四三〕 
がくり わがれば ともしかも  大和やまとへのぼる 熊野くまのふね
《島伝い 船で来たなら 熊野くまのぶね 大和行くんや うらやましいで》
                         ―山部赤人―〔巻六・九四四〕 
風吹けば 浪か立たむと 伺候さもらひに 都太つだ細江ほそえに うらがく
《風が出て  浪立ってくる 風待ちに 細江の浦で 船足止めや》
                         ―山部赤人―〔巻六・九四五〕 



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赤人編(08)気分爽快 船路旅

2011年03月07日 | 赤人編
■平成23年3月7日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★穏やかな 瀬戸内廻る 赤人に 湧く歌心 紡ぎて結ぶ

なはの浦ゆ 背向そがひに見ゆる 沖つ島 漕ぎる舟は つりしすらしも
《縄の浦 そのこ見える 沖の島 漕いでる船は 釣りしてるらし》
                         ―山部赤人―〔巻三・三五七〕 
武庫むこの浦を 漕ぎ小舟をぶね 粟島あはしまを 背向そがひに見つつ ともしき小舟
《武庫の浦 漕いでく小船こぶね うらやまし 淡路背にして 都へ行くよ》
                         ―山部赤人―〔巻三・三五八〕 
阿倍あべの島 の住むいそに 寄する波 なくこのころ 大和やまとし思ほゆ
《阿倍島で  磯にしょっちゅう 波寄せる ひっきりなしに 大和が恋し》
                         ―山部赤人―〔巻三・三五九〕 
潮干しほひなば 玉藻め いへの妹が 浜づとはば 何を示さむ
《潮たら 綺麗な藻刈り 持ち帰ろ 家で待つ妻 土産はたら》
                         ―山部赤人―〔巻三・三六〇〕 

秋風の 寒き朝明あさけを 佐農さぬをか 越ゆらむ君に きぬさましを
《佐野の岡  越えてくあんたに 服貸そか 秋風寒い 夜明けやよって》
                         ―山部赤人―〔巻三・三六一〕 
みさごゐる 磯廻いそみふる 名乗藻なのりその 名はらしてよ 親は知るとも
海草かいそうも 言うてるやんか 名告なのりやと あんたも名告り 親に露見ばれても》
                         ―山部赤人―〔巻三・三六二〕 
みさごゐる 荒磯ありそふる 名乗藻なのりその よし名は告らせ 親は知るとも
荒磯あらいその なのりそみたい 名告ってや 親知ったかて かめへんやんか》
                         ―山部赤人―〔巻三・三六三〕 



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赤人編(07)辿る海路に 思うは誰か

2011年03月03日 | 赤人編
■平成23年3月3日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★赤人は 人麻呂歌の 跡追うて 敏馬みぬめへ須磨へ 海路を辿る

御食みけむかふ 淡路あはぢの島に ただ向ふ 敏馬みぬめの浦の 
沖辺おきへには 深海松ふかみるり 浦廻うらみには 名告藻なのりそ刈る
 
供御くごを生み出す 淡路の島の 真向いにある 敏馬みぬめの浦の
 沖の海底うみでは 海松みる採っとおる 浦の浅瀬で 名告藻なのりそ刈るよ》
深海松の 見まくしけど 名告藻なのりその おのが名惜しみ 
間使まつかひも らずてわれは けりともなし

海松みると聞いたら お前が見たい 名告藻なのりそ〔なりそ=名を言うな〕言うに 名前は言えん
 言うたら他人ひとに 知られるよって 使い出せんで わし気ィえる》
                         ―山部赤人―〔巻六・九四六〕 
須磨の海人あまの 塩焼衣しほやきぎぬの れなばか 一日ひとひも君を 忘れておもはむ
《身に馴染なじむ 塩焼き海人あまの 服みたい 心馴染なじんだ あんた忘れん》
                         ―山部赤人―〔巻六・九四七〕 



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