ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

日めくり万葉集<5月>(その3)

2009年10月09日 | 日めくり万葉集
■平成21年10月9日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★春出挙すいこ 巡回終えて 船着いて 月を仰いで ほっと家持
珠洲すすの海に 朝びらきして 漕ぎ来れば 長浜のうらに 月照りにけり
《朝珠洲すずを 船出ふなで日中ひなか 漕ぎ続け 長浜着いたら ええ月出てる》
                         ―大伴家持―〔巻十七・四〇二九〕 

十市皇女とおちひめ 可哀そうやと 高市皇子たけちみこ 募うてきたが 救うてやれず
山吹の 立ちよそひたる 山清水やましみづ 汲みに行かめど 道の知らなく
《山吹の 花咲く清水 かえり水 みたいけども 道わかからへん》
                         ―高市皇子―〔巻二・一五八〕 

★ほととぎす 昔恋しと 鳴く声に 昔思うて しみじみするよ
信濃しなぬなる すがの荒野あらのに ほととぎす 鳴く声聞けば 時過ぎにけり
《ほととぎす 須我の荒野で 鳴いとおる あれから何年 経ったことやろ》 
                         ―東歌・信濃国歌―〔巻十四・三三五二〕 

★酒める 歌と言いつつ 嘆いてる 酒は涙か 溜息やろか
しるしなき 物をおもはずは 一坏ひとつきの にごれる酒を 飲むべくあるらし
仕様しょうもない 考えせんと 一杯の どぶろく酒を 飲むがええで》
                         ―大伴旅人―〔巻三・三三八〕 

★藤原の 都移りの 宮殿で 見る香久山は 初夏の趣
春過ぎて 夏来るらし 白たへの 衣干したり 天の香久山 
《香久山に 白い衣が 干したある ああ春がて 夏が来たんや》
                         ―持統天皇―〔巻一・二八〕