ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

訳してみよう万葉集(20)ふたり行けど

2011年12月29日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その20>

●題材歌

 二人行けど 行き過ぎ難き 秋山を いかにか君が 独り越ゆらむ
                         ―大伯皇女おおくのひめみこ―(巻二・一〇六)


●現代訳
①弟の君と一緒に行っても うらさびしいあの秋山を どんな風にして 今ごろ弟の君は ただ一人で越えて行かれることか

② ―

③二人で行っても 足のすくむような淋しい秋山を どのような気持ちであの人は 一人で越えていることでしょう

④二人でいってさえ越えがたい秋の山を どのようにしてあなたは今一人で越えていることだろう

⑤二人で歩を運んでも寂しくて行き過ぎにくい暗い秋の山なのに その山を 今ごろ君はどのようにしてただ一人越えていることであろうか

⑥二人で出かけても行き過ぎにくい寂しい秋の山道を 弟よ 今ごろどんな風に君はただ独りで越えているのであろうか


⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《二人でも 行きにくい秋山やま どないして お前 一人で 越え行くのんか》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その17><その18>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【暁露に】へ




訳してみよう万葉集(19)我が背子を

2011年12月26日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その19>

●題材歌

我が背子せこを 大和へるとさ夜更けて あかときつゆに わが立ち濡れし
                         ―大伯皇女おおくのひめみこ―(巻二・一〇五)



●現代訳
①我が弟の君が 大和に帰られるのを送ろうと 夜更けに立っていて 暁の露にぬれてしまったことだ

② ―

③弟を大和へ帰そうとして 門口に立って見送りながら 夜が更けわたっての鶏鳴あかときの露に 私は濡れてしまった

④わが背子を大和に送るとて 夜もふけ やがて明け方の露に濡れるまで 私は立ちつづけたことであった

⑤わが弟を大和へ送り帰さなければならぬと 夜も更けて朝方近くまで立ちつくし 暁の露に私はしとどに濡れた

⑥我が弟を大和へと送り返すと 夜は深く沈み あかつきの露に わたくしは立ちつくしたまま濡れてしまった


⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

 お前だけ 大和帰して 夜明けまで 夜露に濡れて 立ち尽くしてた》

さあ あなたの訳は 如何ですか?




訳してみよう万葉集(18)我を待つと

2011年12月22日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その18>

●題材歌

を待つと 君が濡れけむ あしひきの 山のしづくに 成らましものを
                    ―石川郎女いしかわのいらつめ―(巻二・一〇八)

●現代訳
①わたしを待つとして、あなたが濡れたという山の雨雫 わたしはその雨雫になりとうございます。

② ―

③私を待つとて、あなたがお濡れになった山の雫に、なりたかったものを。

④私を待つとてあなたがお濡れになったという山のしずくに、私はなりたいものです。

⑤私をお待ち下さるとてあなたがお濡れになったという、そのあしひきの山の雫になることができたらよいのに。

⑥私を待って あなたが濡れたという その山のしずくになれたらよいな

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《うち待って あんたが濡れた やましずく 成りたかったな その山雫》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その17><その18>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【われ立ちぬれぬ】へ




訳してみよう万葉集(17)あしひきの

2011年12月19日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その17>

●題材歌

あしひきの 山のしづくに 妹待つと 我れ立ちぬれぬ 山のしづくに
                    ―大津皇子おおつのみこ―(巻二・一〇七)

●現代訳
①おまえの来るのを待って、山の木の下に立っていたものだから、木からおちる雨雫にぬれたよ。

② ―

③あなたを待つとて、山の雫に、私は立ち濡れてしまった。その山の雫に。

④あしひきの山の雫に、妹を待つとて私は立ちつづけて濡れたことだ。山の雫に。

⑤あなたをお待ちするとてたたずんでいて、あしひきの山の雫に私はしとどに濡れました。その山の雫に。

⑥山のしずくに 貴女あなたを待って わたしは立ち濡れてしまった 山のしずくに

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《お前待ち 夜更けの露に 濡れて仕た お前待ってて しずくに濡れた》


さあ あなたの訳は 如何ですか?


訳してみよう万葉集(16)否と言へど

2011年12月15日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その16>

●題材歌

いなと言へど かたかたれと らせこそ 志斐しひいはまをせ かたりと言ふ
                    ―志斐嫗しいのおみな―(巻三・二三七)


●現代訳
①もうお話は止しましょうと申し上げても、語れ語れと仰せになったのでございましょう。それを今無理強いのお話とおっしゃる、それはご無理でございます。

② ―

③「いやだ」と言っても、「語れ、語れ」としつこくあなたがおっしゃればこそ、志斐は申し上げているのです。それなのに、強い語りなどとおっしゃいます。

④もうお話ししませんと申し上げるのに、語れ語れとおっしゃるからこそ志斐は申し上げるのです。それが「強い語り」でございましょう。

⑤「もういやです」と申しても、「語れ、語れ」と仰せになるからこそ、この志斐めはお話申し上げるのです。それを無理強いのこじつけ話などとおっしゃいます。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

いや言うに しゃべしゃべれと おっしゃるに しゃべったわてを ばばうか》


さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その15><その16>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

ころもしたり

皇后こうごう持統じとうは 安らぎの日々を 送っていた
(これで 草壁くさかべ帝位ていいは 決まった様なもの
 先帝もがりうちは われと草壁のしょうせいとし
  先帝の偉業を継ぎ
 政治まつりごとの固めをすといたそう) 

樹々 を渡る風
皇后持統の むねうちそのままに 清々すがすがしい

春過ぎて 夏きたるらし 白栲しろたへの ころもしたり あめやま
《香久山に 白いころもが したぁる ああ春って 夏たんやな》
                         ―持統天皇じとうてんのう―(巻一・二八)

 そうじゃ
 久方ぶりに 志斐嫗しいのおみなを 呼んでみよう
  何か面白い話が 聞かれるやも知れぬ
 そう 言えば こういうことも あったな)

いなと言へど ふる志斐しひのが かたり このころ聞かずて れ恋ひにけり
不要ええても いて聞せる 志斐しいかたり 久し聞かんで さみてたで》
                         ―持統天皇じとうてんのう―(巻三・二三六)
いなと言へど かたかたれと らせこそ 志斐しひいはまをせ かたりと言ふ
いや言うに しゃべしゃべれと おっしゃるに しゃべったわてを ばばうか》
                         ―志斐嫗しいのおみな―(巻三・二三七)

 これは これは 皇后様
  お久しゅう ございました
 多分たぶん わたくしめのおしゃべり 所望しょもう存知ぞんじ
 用意致しました 天竺てんじくむかしがたりに御座います」

鬼子おにこの母は 子沢山こだくさん 生みも産んだり 千人せんにん
中ですえっ子 おとんぼが いとしてならぬ どの子より
自分子供は 可愛かわいいが ほかの人の子 憎らしい
見つけ次第に 取ってう 鬼の形相ぎょうそう すさまじい
釈迦しゃかうれいて 思うには これをらさで なんとする
鬼母おにははらん すきを見て すえの子供を 隠し置く
千人なかの 只一人 見えず鬼母おにはは 泣き騒ぐ
千人なかの 只一人 消えて鬼母おにはは 気も狂う
どうじゃりたか 鬼母おにははよ 子供いとしい みな同じ
千人うちの 一人さえ らず嘆いて くるうのに
まして一人子ひとりこ われたら 母の悲しみ 如何いかばかり
釈迦しゃかさとしに 気付きづかされ 心入れ替え 仏道ぶつど帰依きえ
修行しゅぎょう果たして 慈母じぼ仏 生まれ変わって 鬼子母神きしもじん

(浮いた心持ち 台無しにして仕舞しもうた
 志斐嫗しいめ 何か考えあっての 鬼子母神きしもじん
 われは 草壁皇子くさかべがため 鬼母おにははであり続けようぞ
 何が 釈迦しゃかの教えじゃ)

果たして 釈迦しゃかは見ているか




訳してみよう万葉集(15)いなと言へど

2011年12月12日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その15>

●題材歌
いなと言へど ふる志斐しひのが かたり このころ聞かずて れ恋ひにけり
                    ―持統天皇じとうてんのう―(巻三・二三六)

●現代訳
①話はもう沢山だといっても、無理に話して聞かせるお前の話も、このごろ暫く聞かぬので、また聞きたくなった。

② ―

③「いやだ」と言っても、無理強いする志斐しいの強い語りを、このごろは聞かないで、私は恋しくなりました。


④もう聞きたくないというのに強いる志斐の強い語りだけけれど、近頃は聞かないので私は恋しく思っているようだ。

⑤「もうたくさん」というのに、なおも無理強いに聞かそうとする、志斐婆さんの強い語り、そんなこじつけ話も、ここしばらく聞かないでいると、私としてからが心惹かれてしまっている次第です。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

不要ええても いて聞せる 志斐しいかたり 久し聞かんで さみてたで》


さあ あなたの訳は 如何ですか?



訳してみよう万葉集(14)河の上の

2011年12月08日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その14>

●題材歌
川のの ゆつ岩群いはむらに 草さず  常にもがもな 常処女とこをとめにて
                         ―吹芡刀自ふふきのとじ―(巻一・二二)

●現代訳
①この河の辺の多くの巌には少しも草の生えることがなく、綺麗で滑らかである。そのようにわが皇女の君も永久に美しく容色のお変わりにならないでおいでになることをお願いいたします。

② ―

③川のほとりの神聖な巌むらに草が生えていない、そのように永久に若々しい処女おとめでありますように。

④川のほとりの聖石には苔もはえていない。あのようにいつも変わらずにありますように。永遠の少女(おとめ)として。

⑤川中の神々しい岩々に草もはびこることがないように、いつも不変であることができたらなあ。そうしたら、永遠に若く清純なおとめでいられるのに。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《川の聖岩いわ 草も生えんと 変わりない うちも未亡人やもめで このまま過ごす》


さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その14>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【常処女にて】へ




訳してみよう万葉集(13)我が岡の

2011年12月05日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その13>

●題材歌
我が岡の おかみに言ひて 降らしめし 雪のくだけし そこに散りけむ
                    ―藤原夫人ふじわらのぶにん―(巻二・一〇四)

●現代訳
①陛下はそうおっしゃいますが、そちらの大雪とおっしゃるのは、実はわたくしが岡の龍神にお祈りして降らせました雪の、ほんの砕けが飛ばっちりになったに過ぎないのでございましょう。

② ―

③違いますよ。私がおります大原の岡の竜神に言って降らせました雪のかけらが、そちらに散ったのでしょう。

④いえそうではありません。この里の竜神に言いつけて降らせた雪のかけらが、そちらにちらついたのでしょう。

⑤私が住むこの岡の水神に言いつけて降らせた雪の、そのかけらがそちらの里に散ったのでございましょう。

⑥大雪が降ったとたいへんご自慢ですが その雪は私が住む
この岡の龍神に命じて 降らせた雪
その砕けた ほんの欠片かけらが あなたのもとに 飛び散っただけでしょう

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《そらちゃうで うちの神さん お願いし 降らしてもろた 雪のカケラや》


さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その12><その13>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【大雪降れり】へ





訳してみよう万葉集(12)我が里に

2011年12月01日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その12>

●題材歌
我が里に 大雪降れり 大原の りにし里に 降らまくはのち
                  ―天武天皇てんむてんのう―(巻二・一〇三)

●現代訳
①こちらの里には今日大雪が降った、まことに綺麗だが、おまえの居る大原の古びた里に降るのはまだまだ後だろう。

② ―

③私のいる里には、大雪が降っている。お前のいる大原の古ぼけた里に降るのは、その後のこと。くやしかろうね。

④わが飛鳥の里には大雪が降っている。お前のいる大原の古びた里に降るのは、もっとあとだろうね。

⑤わがこの里に大雪が降ったぞ。そなたが住む大原の古ぼけた里に降るのは、ずっとのちのことでござろう。

⑥おまえはうらやましがるだろうな
私の里にはもう雪がたんと降り積もってきている
そなたの住む大原の古びた里に雪が降るのは しばらく先になるのだろうからね

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《わしの里 大雪降った お前る そっちの田舎 まだまだやろな》

さあ あなたの訳は 如何ですか?