ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

訳してみよう万葉集(29)打ち麻を

2012年01月30日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その29>

●題材歌

打つを 麻続王をみのおほきみ 海人あまなれや 伊良虞いらごの島の 玉藻たまもります
                         ―麻続王おみのおおきみを見た人―(巻一・二三)


●現代訳
①麻続王は 海人だからであろうか 伊良虞の島で 玉藻を刈って居られる

② ―

③麻績王は 海人なのだろうか そうではないのに いたわしいことに 伊良虞の島の藻を刈っていられる

④打った麻をうむ 麻続王は海人だからだろうか 伊良虞の島の玉藻をわびしく刈っていらっしゃるよ

⑤打ち柔らげられた麻 その麻続(麻績)王は海人なのかなぁ そうではないのに海人そっくりに 伊良虞の島の玉藻を刈っていらっしゃる

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

粗末衣ぼろ着てる 麻続王おみのおおきみ 漁師あまやろか 伊良湖の岸で ってはる》

さあ あなたの訳は 如何ですか?


訳してみよう万葉集(28)冬こもり

2012年01月26日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その28>

●題材歌

冬こもり 春さりれば
 鳴かざりし 鳥も鳴きぬ
   咲かざりし 花も咲けれど
   山をしげみ 入りても取らず
    草ふかみ 取りても見ず
秋山の の葉を見ては
  黄葉もみちをば 取りてぞしの
   青きをば 置きてぞなげ
    そこしうらめし
  秋山我れは



●現代訳
① ―

②(冬ごもり)春になりますと これまで鳴かなかった鳥も鳴きだしますし
 今まで咲かなかった花も咲きますけれど 春の山は木が茂っていたり
 また草が深いので その中へ入っても 花を取ることができません
 ですから 春は楽しみが少のうございます
 それにひきかえ 秋の山の木々の葉を見るときは 紅葉した葉は手にとってながめ
 そのまま枝に残しておいて なぜ紅葉しないのかと嘆息します
 そういうわけですから 私は秋山の方がすぐれていると思います
 ただ 全部紅葉しないで 青葉が残っていることだけは恨めしいと思います

③冬がすぎて春がやって来ると 今まで鳴かなかった鳥も来て鳴く
 咲かなかった花も咲く しかし 山は茂り合っていて 入って手にとれもせず
 草も深く 手折ってみることもできない
 一方 秋の山の木の葉を見るにつけ 黄葉を手にとっては賞美し
 青い葉を措いては嘆く そこに思わず恨めしさを覚える
 そんな心ときめく秋山こそ 私は

④冬木も茂る春がやって来ると これまでそんなに鳴かずにいた鳥も来て鳴く
 咲かずにいた花も咲く だが 山が茂っているので分け入って取ることも出来ない
 草が深いので折取って見ることもできない
 秋山の木の葉を見るについては 色づいた葉を手に折り取って賞美することができる
 ただし青い葉 それをそのままに捨て置いて嘆息する
 その点が残念です しかし 何と言っても秋山です 私どもは
 

⑤ ―

⑥(冬ごもり)春がやてくると 鳴かなかった鳥も来て鳴く 咲かなかった花も咲くけれども 山が茂っているので 入って取りもしない 草が深いので 取って見ることもしない
秋山の木の葉を見るときは 色づいた葉を折りとって愛で まだ青い葉は そのまま置いてため息をつく そう そこだけが残念 秋山がよい 私は

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《冬って仕舞て 春来たら
   鳴けへんかった 鳥も鳴く 
    咲かへんかった 花も咲く 
そや けども
 山茂ってて はいられん
  草深いから 取られへん
秋山はいって 葉ぁ見たら
 黄葉いろづきした葉 え思う
けど青いは も一つや
そこが かなんな

 うう~ん・・・)秋やな うちは》


さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その28>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【秋山われは】へ




訳してみよう万葉集(27)香久山は

2012年01月23日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その27>

●題材歌

香久山かぐやまは 畝傍うねびしと
 耳梨みみなしと あひあらそひき
  神代かみよより かくにあるらし 古昔いにしへも しかにあれこそ
   うつせみもつまを あらそふらしき

                         ―天智天皇てんちてんのう―(巻一・一三)

●現代訳
① ―

② ―

③香久山は畝傍山が雄々しいとして 耳成山と戦い争った。神代から 妻争いと言えばこうだったに違いない。大昔もそうだったからこそ 肉身の人間も 妻争いをするのに違いない。

④香久山は畝傍山を男らしい者として古い恋仲の耳成山と争った。神代から こうであるらしい。昔もそうだったからこそ 現実にも 愛する者を争うらしい。

⑤香久山は 畝傍をば失うには惜しい山だと 耳成山と争った。神代からこんなふうであるらしい。いにしえもそんなふうであったからこそ 今の世の人も妻を取りあって争うのであるらしい。

⑥香具山は畝傍山を取られるのが惜しいと耳梨山と争いあった 神代からこのようであるらしい 昔もそうだったからこそ 今の世の人も妻を取り合って争うのであるらしい

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《香久山は 畝傍うねびのお山 可愛かいらしと
  耳成さんと 喧嘩けんかした
   神代からして  そうなんや 昔からして そうやから
    今もよめさん 取り合いんや》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その26><その27>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【畝傍を愛しと】へ




訳してみよう万葉集(26)香久山と

2012年01月19日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その26>

●題材歌

香久山かぐやまと 耳梨山みみなしやまと ひしとき 立ちて見にし 印南国原いなみくにはら
                         ―天智天皇てんちてんのう―(巻一・一四)


●現代訳
①出雲の吾菩大神が 香久山と耳成山が相争った時 それを止めようとしてここ印南国原まで来たことだ

② ―

③香久山と耳成山が戦ったとき 出雲の阿菩大神が 仲裁のため立って見に来られたという あの印南国原が此処よ

④香久山と耳成山とが争った時に 阿菩の大神が立ち上がって見に来た印南の国原よ

⑤香久山と耳成山とが妻争いをした時 阿菩大神がみこしをあげて見にやって来たという地だ この印南国原は

⑥香具山と耳梨山とが妻争いをした時 阿菩あぼの大神が立ち上がって見に来たという印南国原だ ここは

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《香久山と 耳成山が めたとき ここに来たんや 印南いなみの地まで》

さあ あなたの訳は 如何ですか?




訳してみよう万葉集(25)磯の上に

2012年01月16日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その25>

●題材歌

磯のうへに ふる馬酔木あしびを らめど見すべき君が 在りと言はなくに
                         ―大伯皇女おおくのひめみこ―(巻二・一六六)


●現代訳
①石のほとりに生えている 美しいこの馬酔木の花をて手折りもしようが その花をお見せ申す弟の君はもはやこの世に生きて居られない

② ―

③岩のほとりに生えた馬酔木の花を手折ろうとするけれど それをお目にかけるべきお方が あるというわけではないのだもの

④岸のほとりに咲く馬酔木を手折って 思わず花を見せたいと思う けれども 見せるべきあなたはいないことだのに

⑤岩のあたりに生い茂る馬酔木の枝を手折りたいとは思うけれども これを見ることのできる君がこの世にいるとは 誰も言ってくれないではないか

⑥岩の上に生えている馬酔木(あしび)を折りとってもみようが
お見せしようとする君が生きているとは 誰もいわないので

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《岸に咲く 馬酔木花あしび手折ろと 思うたが 見せるお前は もう居らんのや》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その23><その24><その25>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【二上山を】へ




訳してみよう万葉集(24)うつそみの

2012年01月12日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その24>

●題材歌

うつそみの 人にある我れや 明日あすよりは 二上山ふたかみやまを 弟世いろせと我が見む
                         ―大伯皇女おおくのひめみこ―(巻二・一六五)



●現代訳
①生きて現世に残っている私は 明日からはこの二上山をば弟の君とおもって見て偲ぼう

② ―

③現実の人間であるこの私は 明日からは 二上山を親しい弟とも思って 眺めていよう

④現し身の人である私は 明日からは二上山をわが弟と見ようか

⑤現世の人であるこの私 私は 明日からは二上山を我が弟としてずっと見つづけよう

⑥ 現世(うつしよ)の人であるわたしは
明日からは二上山を弟として見るのでしょうか


⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

明日あしたから 二上山ふたかみやまを 弟と おもうて暮らそ この世でひとり》

さあ あなたの訳は 如何ですか?




訳してみよう万葉集(23)百伝ふ

2012年01月09日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その23>

●題材歌

ももづた  磐余いはれの池に 鳴く鴨を 今日けふのみ見てや 雲隠りなむ
                    ―大津皇子おおつのみこ―(巻三・四一六)



●現代訳
①磐余の池に鳴いている鴨を見るのも今日限りで 私は死ぬのであるか

② ―

③たびたびやってきた磐余の池で鳴く鴨を見るのも 今日を限りに 私は天に上って行くことであろう

④百に伝う磐余の池に鳴く鴨を見るのも今日を限りとして 私は雲の彼方に去るのだろうか

ももに伝い行く五十 ああその磐余の池に鳴く鴨 この鴨を見るのも今日を限って 私は雲の彼方に去って行くのか

⑥(百伝ふ) 磐余(いわれ)の池に鳴いている鴨を 今日を限りと見て
私は雲に隠れ去って死んで行くのか


⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《今日の日が 磐余いわれいけで 鳴く鴨を 見るん限りと この世を去るか》

さあ あなたの訳は 如何ですか?



訳してみよう万葉集(22)見まく欲り

2012年01月05日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その22>

●題材歌

見まくり 我がする君も あらなくに 何しかけむ 馬つかるるに
                         ―大伯皇女おおくのひめみこ―(巻二・一六四)
                         

●現代訳
① ―

② ―

③せっかく逢いたいと思ってやって来たあの方も もうおいででないのに 何でやって来たのだろう 馬も疲れるばかりなのに

④会いたいと思うあなたも もういないことだのに どうして来たのだろう 徒に馬が疲れるだけだのに

⑤逢いたいと私が願う弟もこの世にいないのに どうして帰って来たのであろう いたずらに馬が疲れるだけだったのに

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《逢いたいと 思うお前は らんのに なんで来たんか 馬疲れるに》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その21><その22>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【君もあらなくに】へ




訳してみよう万葉集(21)神風の

2012年01月02日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その21>

●題材歌

神風かむかぜの 伊勢の国にも あらましを 何しかけむ 君もあらなくに
                         ―大伯皇女おおくのひめみこ―(巻二・一六三)


●現代訳
①伊勢国にそのままとどまっていた方がよかったのに 君もこの世を去って もう居られない都に何しに還って来たことであろう

② ―

③いっそこんなことなら 伊勢の国に居ればよかったのに 何でやって来たのだろう あの方もおいででないのに

④神風の吹く伊勢の国にもいればよかったものを どうして都に帰って来たのだろう あなたもいないことだのに

⑤荒い風の吹く神の国伊勢にでもいた方がむしろよかったのに どうして帰って来たのであろう 我が弟ももうこの世にいないのに

⑥ ―

⑦私は何をしているのだろう こんなところに来たって もうあなたはいないのに

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《伊勢の国 ったよかった 何のため 帰ってきたか お前らんに》

さあ あなたの訳は 如何ですか?