ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

家持編(一)青春・恋の遍歴(02)本気かどうか わしかて知らん

2011年06月30日 | 家持編(一)青春・恋の遍歴
■平成23年6月30日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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郎女いらつめの 誘いに乗るか 家持は 大嬢おおいらつめを かもうてみせる

月立ちて ただ三日月の 眉根まよねき 長く恋ひし 君に逢へるかも
《三日月の ようなまゆを いたんで こいがれてた あんたに逢えた》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―〈巻六・九九三〉

ふりけて 若月みかづき見れば 一目見し 人の眉引まよひき 思ほゆるかも
《振りあおぎ 三日月見たら 一目見た おまえのまゆを 思い出したで》
                         ―大伴家持―〈巻六・九九四〉 

我が屋外やどに きし瞿麦なでしこ いつしかも 花に咲きなむ なそへつつ見む
《庭植えた 撫子なでしこ咲くん 楽しみや 女らしなる お前おんなじ》
                         ―大伴家持―〈巻八・一四四八〉 

石竹なでしこの その花にもが 朝な朝な 手に取り持ちて 恋ひぬ日けむ
《撫子の お前花やと えのにな 毎朝手にし いつくしめるに》
                         ―大伴家持―〈巻三・四〇八〉 

生きてあらば 見まくも知らず 何しかも 死なむよ妹と いめに見えつる
《生きてたら 逢えるんやのに なんでまた 夢に出てきて 死のやてうの》
                         ―大伴坂上大嬢―〈巻四・五八一〉 
大夫ますらをも かく恋ひけるを 弱女たわやめの 恋ふるこころに たぐひあらめやも
《男でも 夢に見るほど 恋苦くるう おんな恋苦くるしん 当たり前やん》
                         ―大伴坂上大嬢―〈巻四・五八二〉 
つき草の 移ろひやすく 思へかも 我が思ふ人の ことも告げ
《移りな 露草の児や 思うんか 逢いたいあんた 何もん》
                         ―大伴坂上大嬢―〈巻四・五八三〉 
春日山かすがやま 朝立つ雲の ゐぬ日無く 見まくの欲しき 君にもあるかも
《春日山 朝雲いつも かかってる うち、、もいっつも あんた思てる》
                         ―大伴坂上大嬢―〈巻四・五八四〉 




若月みかづき見れば】へ


家持編(一)青春・恋の遍歴(01)ほんに可愛いや 童女(わらわめ)よ

2011年06月27日 | 家持編(一)青春・恋の遍歴
■平成23年6月27日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★家持は 幼なじみの 童女わらわめに 幼い恋の 芽を吹かす

葉根蘰はねかづら 今する妹を いめに見て こころのうちに 恋ひ渡るかも
《大人なる かずらかぶる児 夢に見て ひそかに恋を し続けてんや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻四・七〇五〉

葉根蘰はねかづら 今する妹は 無かりしを いづれの妹そ 幾許ここだ恋ひたる
《うち知らん かずらかぶる児 てへんで 何処どこ何方どなたに 恋したんやろ》
                         ―童 女―〈巻四・七〇六〉 





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坂上郎女編(19)何で越なぞ 行かしたんやろ

2011年06月23日 | 家持編(一)青春・恋の遍歴
■平成23年6月23日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★我が娘 越へ送りて 郎女は 老い身に沁みる 寂しさ辛い

海神わたつみの 神のみことの 御櫛笥みくしげに たくはひ置きて いつくとふ たままさりて 思へりし が子にはあれど うつせみの 世のことわり大夫ますらをの 引きのまにまに しなざかる 越路こしぢをさして つたの 別れにしより 
海神かみさんが 櫛箱入れて 貯め置いて 大事にしてる 真珠玉 その真珠たまよりも いとおしい お前やけども 仕様しょう無しに 家持さんの 招きゆえ 遠い越国こしへと 行かしたが》
沖つ波 とを眉引まよびき 大船おほふねの ゆくらゆくらに 面影おもかげに もとな見えつつ かく恋ひば おいづくが身 けだしへむかも
《波によう似た  眉引きが ゆらゆらゆらと 眼に浮かぶ こんな恋しゅう 思てたら 老い先短い この身体からだ 耐えることなど できようか》   
                         ―大伴坂上郎女―〈巻十九・四二二〇〉 
かくばかり  恋しくしあらば まそ鏡 見ぬときなく あらましものを
《こんなにも 恋しゅう思う あんたなら ずうっとそばに 置けばよかった》 
                         ―大伴坂上郎女―〈巻十九・四二二一〉 

霍公鳥ほととぎす 五月さつきに 咲きにほふ 花橘の ぐはしき 親の御言みこと 朝暮あさよひに 聞かぬ日まねく
《ホトトギス 来て鳴く五月 咲きにおう たちばなはなの それみたい うるわし聞いた かあさんの 声聞かへんで 日ィ経った》  
天離あまざかる ひなにしれば あしひきの 山のたをりに 立つ雲を よそのみ見つつ 嘆くそら やすけなくに 思ふそら 苦しきものを  
《山の陰から  立つ雲を 見ながら思う 里の空 嘆く心も 頼りなく 思う気持ちも えてくる》
奈呉なご海人あまの かづき取るといふ 真珠しらたまの 見が御面みおもわ ただむかひ 見む時までは 松柏まつかへの 栄えいまさね 貴きが君
奈呉なごの漁師が もぐる 真珠みたいな あのお顔 見たいと思う 今日日頃 お会いするまで お元気で 暮らし下さい お母さま》 
                         ―大伴家持―〈巻十九・四一六九〉 
白玉しらたまの 見がし君を 見ず久に ひなにしれば 生けるともなし
《逢いたいに 逢われへん日ィ 続いてる ひなるんで 仕様しょう無いけども》
                         ―大伴家持―〈巻十九・四一七〇〉 




おいづくが身】へ


坂上郎女編(18)鄙への赴任 大丈夫やろか

2011年06月20日 | 坂上郎女編
■平成23年6月20日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★家待の 越への赴任 思い遣る 郎女思い 家待腐心

草枕 旅行く君を さきくあれと 斎瓮いはひべゑつ とこ
《赴任旅 どうか無事でと とこに 陰膳かげぜんえて 祈っておるで》
今のごと  恋しく君が 思ほえば いかにかもせむ するすべのなさ
《今更の  ようにあんたが 思われる どしたらえんか わからへんがな》
旅ににし 君しもぎて いめに見ゆ が片恋の 繁ければかも
《旅った あんたしょっちゅう 夢に見る 一人思いが 激しいからか》
道のなか 国つ御神みかみは 旅行きも らぬ君を 恵みたまはな
《越中の  国の神さん 守ってや この子あんまり 旅知らんから》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻十七・三九二七~三〇〉 

常人つねひとの 恋ふといふよりは あまりにて 我れは死ぬべく なりにたらずや
《恋しさは  普通のもんと 違うんや この恋しさは 死んでまうほど》 
片思かたおもひを 馬にふつまに おほて 越辺こしべらば 人かたはむかも
《この思い  馬の背中に 全部乗せ 送れば誰ぞ 知ってくれるか》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻十八・四〇八〇~一〉 

天離あまざかる ひなやっこに 天人あめひとし かく恋すらば 生けるしるしあり
《越にる わしをこんなに 恋慕う 天女おるんや 嬉しいかぎり》
常のこひ いまだまぬに みやこより 馬に恋ば になへむかも
《恋心  募ってるのに 更にまた 馬の恋荷で 潰れてしまう》
                         ―大伴家持―〈巻十八・四〇八二~三〉 

あかときに 名告なのり鳴くなる 霍公鳥ほととぎす いやめづらしく 思ほゆるかも
《朝やでと うて鳴いてた ホトトギス 常より一層 うるわし思う》 
                         ―大伴家持―〈巻十八・四〇八四〉 



斎瓮いはひべゑつ 】へ


坂上郎女編(17)幼いあの子 大丈夫やろか

2011年06月16日 | 坂上郎女編
■平成23年6月16日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★嫁に遣り 気遣う親の 郎女は 帰しともあり 帰しともなし

ひさかたの あま露霜つゆじも 置きにけり 家なる人も 待ち恋ひぬらむ
《もう帰り  露や霜かて 置くよって 家で待つ人 心配しとる》

玉主たまもりに 玉はさづけて かつがつも 枕と我れは いざ二人寝む
《ご主人に  お前返して もうわたし 枕と一緒に 寝さしてもらう》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・六五一~二〉 

常世とこよにと 我が行かなくに 小金門をかなとに もの悲しらに 思へりし わが児の刀自とじを 
ぬばたまの 夜昼よるひるといはず 思ふにし 我が身はせぬ なげくにし 袖さへ濡れぬ
かくばかり もとなし恋ひば 古郷ふるさとに この月ごろも 有りかつましじ

《帰らへん 旅でもないに もんに立ち 別れ悲しむ 我が娘
 夜るだけちごて 昼間でも 思い出したら 身は痩せる 嘆く涙は 袖濡らす
 こんな心に かるなら この故郷さとひとり 幾月も じっと出けへん 心配で》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・七二三〉 
朝髪の 思ひ乱れて かくばかり 汝姉なねが恋ふれぞ いめに見えける
《髪乱し 寝られんほどに うちのこと 恋しがるから 夢見るやんか》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・七二四〉 

うち渡す 竹田の原に 鳴くたづの ときし 我が恋ふらくは
《鳴くつるは 引っ切り無しや それみたい あんた思うん 絶え間あれへん》
早河はやかはの 瀬にる鳥の よしを無み おもひてありし 我が児はもあはれ
《瀬早よて 羽根休めどこ ない鳥か あんた心配 気ぃ休まらん》 
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・七六〇~一〉 




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坂上郎女編(16)やっと念願 叶うか今宵

2011年06月13日 | 坂上郎女編
■平成23年6月13日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★家待が とうとう来るぞ 我が娘 大嬢おおいらつめと 結ばれせんと

月立ちて ただ三日月の 眉根まよねき 長く恋ひし 君に逢へるかも
《三日月の ような眉毛まゆげを いたんで 恋焦がれてた あんたに逢えた》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻六・九九三〉 
振仰ふりさけて 若月みかづき見れば 一目見し 人の眉引まよびき 思ほゆるかも
《振り仰ぎ  三日月見たら 一目見た おまえの眉を 思い出したで》
                         ―大伴家持―〈巻六・九九四〉 

我が背子せこが きぬ薄し 佐保風は いたくな吹きそ 家に至るまで
《あんた着る  服薄いから 佐保の風 えろ吹いたんな 家帰るまで》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻六・九七九〉 

我が背子が 見らむ佐保道さほぢの 青柳をおやぎを 手折たをりてだにも 見むよしもがも
《佐保みちの あんた見ておる 青柳 せめて一枝 見たいもんやな》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻八・一四三二〉 
うち上る  佐保の川原の 青柳は 今は春へと なりにけるかも
《佐保川の  河原の柳 青々と 春が来たんや 春やで春が》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻八・一四三三〉 

まじり 雪は降るとも 実にならぬ 吾家わぎへの梅を 花に散らすな
《風吹いて  雪が降っても 散らしなや まだ実ィ着けへん うちの梅花》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻八・一四四五〉 

玉桙たまほこの 道は遠けど はしきやし 妹を相見に 出でてぞ
《遠い道 苦にもせんとに いとおしい 叔母あんたに逢いに 出かけて来たで》
                         ―大伴家持―〈巻八・一六一九〉 
あらたまの 月立つまでに まさねば いめにし見つつ 思ひぞがせし
《ひと月が ってもあんた んよって 夢にまで見て 待ってたんやで》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻八・一六二〇〉 




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坂上郎女編(15)うちが頑張り 精出しせんと

2011年06月09日 | 坂上郎女編
■平成23年6月9日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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天皇おおきみの よすが通じて 大伴の 家の栄えを 成し遂げみたい

橘を 屋前やどおほし 立ちてゐて のちゆとも しるしあらめやも
《高級な 橘庭に 植えたんで 上手じょうず育てな 悔いが残るで》 
吾妹子わぎもこが 屋前やどの橘 いと近く ゑてしからに 成らずはまじ
貴女あんたはん 植えた橘 うち身近 きっと一緒に 実のらせましょや》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻三・四一〇~一〉 
木綿畳ゆふたたみ 手向たむけの山を 今日けふ越えて いづれの野辺のへに いほりせむ我れ
木綿布ゆうぬのを 畳み手向ける 手向け山 越えて泊まりは どこの野辺やろ》 
                         ―大伴坂上郎女―〈巻六・一〇一七〉 

あしひきの 山にしをれば 風流みやびなみ 我がするわざを とがめたまふな
《山里で 無粋ぶすいな暮らし してるんで つまらんもんで 御免なさいね》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・七二一〉 
にほ鳥の かづ池水いけみづ こころあらば 君に我が恋ふる こころ示さね
《にほ鳥の もぐる水さん 知ってたら うちの気持ちを 天皇きみに伝えて》
よそに居て 恋ひつつあらずは 君がいへの 池に住むといふ 鴨にあらましを
《宮中の 外で恋しと 思うより 天皇きみ住む池の 鴨なりたいな》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・七二五~六〉 

大夫ますらをの 高円山たかまとやまに めたれば 里にる むざさびそこれ
狩勇士ますらおが 高円山で 追うたので 里逃げりた むささびやこれ》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻六・一〇二八〉 



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坂上郎女編(14)身より無い身に 憐れが寄せる

2011年06月06日 | 坂上郎女編
■平成23年6月6日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★佐保邸に 寄宿の理願 うなった 留守居郎女 嘆きの挽歌

栲綱たくつのの 新羅しらきの国ゆ 人言ひとごとを よしと聞かして 問ひくる 親族うから兄弟はらから 無き国に 渡りまして
《新羅から 日本の国が ええ聞いて 親兄弟も れへんに 渡り来られた この国の》
大君の 敷きます国に うち日さす みやこしみみに 里家さといへは さはにあれども 
いかさまに 思ひけめかも つれもなき 佐保さほ山辺やまへに 泣く児なす したまして 
敷栲しきたへの いへをも造り あらたまの 年の長く 住まひつつ いまししものを
 
《都に家は 多いのに どない思たか 縁もない この佐保山に したい来て
 家作られて 年月を 住まい暮らして 来られたが》 
生ける者 死ぬといふことに まぬかれぬ ものにしあれば 
たのめりし 人のことごと 草枕 旅なるほど
佐保河さほかはを 朝川あさかは渡り 春日野かすがのを 背向そがひに見つつ
あしひきの 山辺やまへをさして くれくれと かくりましぬれ
 
《世の中定め  人いつか 死ぬと決まった ことやけど
 頼りうてた 人みんな たまたま旅で 留守のうち
 佐保の川瀬を 朝渡り 春日かすがの野原 背ぇ向けて 山の闇へと 隠られた》
言はむすべ むすべ知らに たもとほり ただひとりして 
白栲しろたへの 衣手ころもでさず 嘆きつつ 我が泣く涙 有間山ありまやま 雲居たなびき 雨に降りきや

《何もでけへん 言われへん あちこち彷徨さまよい 一人して 
 喪服の袖を 泣き濡らす 流す涙は 雲となり 有間山へと 雨降らす》     
                         ―大伴坂上郎女―〈巻三・四六〇〉 
とどめ得ぬ 命にしあれば 敷栲しきたへの 家ゆはでて 雲隠くもがくりにき
《永遠の 命ちゃうから 住み慣れた 家を出ていき 雲なりはった》 
                         ―大伴坂上郎女―〈巻三・四六一〉 




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坂上郎女編(13)うちが音頭の 宴の席じゃ

2011年06月02日 | 坂上郎女編
■平成23年6月2日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★身内での 宴席続く 昨日今日 梅に酒杯さかづき 酔うのはどっち

かくしつつ  遊び飲みこそ 草木すら 春は咲きつつ 秋は散りゆく
《草木かて 春に花咲き 秋は散る 飲んで遊んで たのしに暮らそ》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻六・九九五〉 

酒杯さかづきに 梅の花け 思ふどち 飲みてののちは 散りぬともよし
梅花うめはなを 酒杯さかづき浮かべ 友どうし 飲んで仕舞しもたら 散ってええやん》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻八・一六五六〉 
つかさにも 許したまへり 今夜こよひのみ 飲まむ酒かも 散りこすなゆめ
《おかみかて かめへんてる 宴会や 酒のみ明かそ 梅散らさんと》
                         ―こたふる人―〈巻八・一六五七〉

山守やまもりの ありける知らに その山に しめひ立てて ひのはぢしつ
《山番が るの知らんと 山はいり しるし付けたで 恥ずかしことに》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻三・四〇一〉 
山主やまもりは けだしありとも 吾妹子わぎもこが ひけむしめを 人かめやも
《山番が ってもええで あんた来て 付けたしるしや 誰ほどくかい》
                         ―大伴駿河麻呂―〈巻三・四〇二〉 





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