ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

訳してみよう万葉集(36)東の

2012年02月27日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その36>

●題材歌

ひむがしの 野にかぎろひの 立つ見えて かへり見すれば 月かたぶきぬ
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻一・四八)



●現代訳
①日の出前の東天に既に暁の光がみなぎり それが雪の降った阿騎野にも映って見える。その時西の方をふりかえると もう月が落ちかかっている。

② ―

③東の野に曙の光がさしそめるのが見えて 振り返ると 月は西の空に傾いている いよいよ御狩りに出で立つ刻限が近づいてきた。

④東方の野の果てに曙光がさしそめる。ふりかえると西の空に低く下弦の月が見える。

⑤東の野辺には曙の光がさしそめて、振り返って見ると、月は西空に傾いている。

⑥東の野に陽炎の立つのが見えて 振り返って見ると月は西に傾いている

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《日ぃ昇る 月沈んでく 西空に 草壁皇子みこの面影 浮かんで消える》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その36>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【東の】へ




訳してみよう万葉集(35)潮騒に

2012年02月23日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その35>

●題材歌

潮騒しほさゐに 伊良虞いらご島辺しまへ 漕ぐ船に 妹乗るらむか 荒き島廻しまみ
                           ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻一・四二)


●現代訳
①潮が満ちてきて鳴りさわぐ頃 伊良虞の島近く漕ぐ船に 供奉してまいった自分の女も乗ることだろう あの浪の荒い島のあたりを

② ―

③どよめく潮流に乗って 伊良虞の島(神島)辺りを漕いでいる船に あの子は乗っているだろうな その荒い島のめぐりを

④潮鳴りの中に 伊良虞の島のあたりを漕ぐ船に 恋しい妻は乗っているだろうか あの荒々しい烏のめぐりを。

うしおざわめく中、伊良虞の島辺を漕ぐ船に、今頃、あの娘は乗っていることであろうか。あの風波の荒い島のあたりを。

⑥潮の騒ぐ時に 伊良虞の島辺を漕ぐ船に あの娘も乗っているだろうか 波の荒い島のまわりなのに

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

 波荒い 伊良湖の島の 島巡り 喜んでるか あの児も乗って》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その34><その35>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【嗚呼見の浦に】へ




訳してみよう万葉集(34)嗚呼見の浦に

2012年02月20日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その34>

●題材歌

鳴呼うらに 船乗ふなのりすらむ 娘子をとめらが 玉裳たまもすそに 潮つらむか
                           ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻一・四〇)


●現代訳
①嗚呼見の浦で船に乗って遊楽する女官等の裳の裾が海潮に濡れるであろう

② ―

③アミの浦に船乗りしてるであろう処女おとめの 美しく引いた裳の裾に 潮が満ちてきているだろうよ

④あみの浦で船に乗って遊んでいるだろう少女たちの あの美しい裳裾には潮が豊かに満ちているだろうか

⑤鳴呼見の浦で船遊びをしているおとめたちの美しい裳の裾に、今頃は潮が満ち寄せていることであろうか。

⑥あみの浦で船に乗っているであろう乙女たちの 美しい裳の裾に今ごろは潮が満ちていることだろうか

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《あみの浦 船遊びする あの児らの 裾濡らすかな 潮満ちてきて》

さあ あなたの訳は 如何ですか?


訳してみよう万葉集(33)近江の海

2012年02月16日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その33>

●題材歌

淡海あふみうみ 夕波ゆふなみ千鳥ちどり が鳴けば
       心もしのに いにしへ思ほゆ
                    ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻三・二六六)


●現代訳
①淡海の湖に その湖の夕暮れの浪に 千鳥が群れ鳴いている。千鳥等よ お前等の鳴く声を聞けば 真から心が萎れて 昔の都の栄華のさまを偲ばれてならない

② ―

③近江のうみ その夕浪にさわぐ千鳥よ。お前が鳴けば 私の心はうちしおれて しきりに昔のことが偲ばれる。

④淡海の海の夕波を飛ぶ千鳥よ お前が鳴くと心もしなえるようにむかしのことが思われる。

⑤近江の海 この海の夕波千鳥よ お前がそんなに鳴くと 心もたわみ萎えていにしえのことが偲ばれてならぬ

⑥近江の海の夕波千鳥よ おまえが鳴くと心もしみじみと昔のことが思われる

⑦たそがれの水辺に千鳥が鳴く それは 失った昔へ僕を誘う声

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《おい千鳥 そんなにきな 啼くたんび 往古むかし思うて たまらんよって》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その31><その32><その33>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【ささなみの】へ




訳してみよう万葉集(32)楽浪の

2012年02月09日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その32>

●題材歌

楽浪ささなみの 志賀の大わだ よどむとも 昔の人に またもはめやも
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻一・三一)


●現代訳
①近江の湖水の大きく入り込んだ処 即ち大曲おおわだの水が人恋しがって 人懐かしく 淀んでいるけれども もはやその大宮人等に逢うことが出来ない

② ―

③志賀の海の入り込んだ大曲よ。それがこのように 人待ち顔に淀んでいようとも 昔やってきて遊んだ貴人たちに 二度と逢えるものか 逢えはしないのだ

④楽浪の志賀の大わだに 水は昔ながらにたたえられているにしても 昔の人にまた逢うことはあろうか

⑤楽浪の志賀の〈比良の〉大わだよ、お前がどんなに淀んだとしても、ここで昔の人に、再びめぐり智うことができようか、できはしない。

楽浪ささなみの志賀の入江は流れることなく淀んでいても 昔の人に再び逢うことができようか できはしない

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《淀み水 今もあるのに せんいで 昔の人に 逢うことうて》

さあ あなたの訳は 如何ですか?




訳してみよう万葉集(31)楽浪の

2012年02月06日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その31>

●題材歌

楽浪ささなみの 志賀の唐崎からさき さきくあれど 大宮びとの 船待ちかねつ
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻一・三〇)


●現代訳
楽浪さざなみの志賀の唐は元の如く何の変わりはないが 大宮処も荒れ果てたし むかしの船遊びをした大宮人も居なくなった。それゆえ 志賀の唐が 大宮人の船を幾ら待っていても待ち甲斐がない

② ―

③志賀の唐よ。その名のように 幸く 変わらず神の恵みにあふれてはいるが 昔この水で遊んだ大宮人の船を待つことはできない


楽浪さざなみの志賀の唐は その名の通り変わらずあるのに 大宮人を乗せた船は いつまで待っても帰って来ない。


⑤楽浪の志賀の唐崎よ、お前は昔のままにたゆとうているけれども、ここで遊んだ大宮人たちの船、その船はいくら待っても待ちうけることができない。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《唐崎は そのまま此処ここに 在るけども 古都人むかしのひとも 船もんがな》

さあ あなたの訳は 如何ですか?




訳してみよう万葉集(30)うつせみの

2012年02月02日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その30>

●題材歌

うつせみの 命をしみ 波にぬれ 伊良虞いらごの島の 玉藻刈り
                         ―麻続王おみのおおきみ―(巻一・二四)


●現代訳
①自分は命を愛惜してこのように海浪に濡れつつ伊良虞の島の玉藻を刈って食べている

② ―

③そんなに嘆かないでくれ 私は命惜しさに 波に濡れて この伊良虞の島の藻を刈って食べているのだ

④現実に生きているこの命をいとおしんで 浪に濡れては伊良虞の島の玉藻を刈っては食べておられるのだ

⑤このうつし世の命の惜しさに 波に濡れながら 私は伊良虞の島の 玉藻を刈って食べています

⑥この世のはかない命惜しさに 波に濡れながら伊良虞いらごの島の 海藻を刈りとって食べているのです

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

仕様しょうなしに 伊良湖の島で 波に濡れ 藻ぉうは 死にとないから》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その29><その30>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【伊良虞の島の】へ