ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

訳してみよう万葉集(03)熟田津に

2011年10月31日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その3>

●題材歌
熟田津にきたつに 船乗ふなのりせむと 月待てば しほもかなひぬ 今はでな
                        ―額田王ぬかたのおおきみ―〔巻一・八〕

●現代訳
①伊予の熟田津で、御船が進発しようと、月を待っていると、いよいよ月も名月となり、潮も満ちて船出するのに都合良くなった。さあ榜ぎ出そう。

②熟田津で船に乗ろうと思って、月の上がるのを待っていると、月が出て来たばかりでなく、潮もほどよく満ちてきました。さあ今、船を漕ぎ出そうではありませんか。

③熟田津の海で船遊びをしようと、月の出を待っていると、ちょうど月も出て、汐もよい満ち加減になってきた。さあ、漕ぎ出そうよ。

④熟田津に船出をしようと月ごろを待っていると、潮流もちょうどよくなった。さあ、いまこそ漕ぎだそう。

⑤熟田津から船出をしようと月の出を待っていると、待ち望んでいたとおり、月も出、潮の流れもちょうどよい具合になった。さあ、いまこそ漕ぎ出そうぞ。

⑥熟田津で 船出しようとして 月の出を待っていると 月も出 幸い潮も満ちて来た さあ 今こそ漕ぎ出そう

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>


これらを踏まえて 私はこう訳しました。
熟田津にきたつで 月待ち潮待ち 船出ふなで待ち きた きた 来たぞ 今こそ行くぞ》


さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その3>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【熟田津に】へ




訳してみよう万葉集(01)あかねさす

2011年10月27日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その1>

●題材歌
あかねさす 紫野行き 標野しめの行き 野守は見ずや 君が袖振る
                         (巻一・二〇)―額田 王ぬかたのおおきみ

●現代訳
①お慕わしいあなたが紫草の群生する蒲生のこの御料地をあちこちとお歩きになって、私にお袖を振り遊ばすのを、野の番人から見られはしないでしょうか。それが不安心でございます。

②紫草のにおうこの御料地をあちらこちらお歩きになって、私に袖をお振りなさいますが
野の番人から見られはしないでしょうか。

③紫草の群生した野を行き、めじるしをつけた立入禁止の御料の野を行きして、あなたが私に向って袖を振っていらっしゃる。野の番人が見咎めはしないかしら。

④あかね色をおびる、あの紫の草の野を行き、その御料地の野を行きながら、―――野の番人は見ていないでしょうか。あなたは袖をお振りになることよ。

⑤茜色のさし出る紫、その紫草の生い茂る野、かかわりなき人の立ち入りを禁じて標を張った野を往き来して、あれそんなことをなさって、野の番人が見るではございませんか。あなたはそんなに袖をお振りになったりして。

⑥紫草の生える、御料地の野をいらっしゃるあなた 野の番人に見られてしまいますよ そんなに袖を振って 私をお誘いになっては

⑦あなたはやって来る 紫草の野を 禁じられたこの野を ああ、そんなに手を振って 噂になるのも 怖くないの

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>


これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《春野摘み 野守りが見るで して うち、、向こて 袖なぞ振って》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

訳してみよう万葉集(02)紫の

2011年10月24日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その2>

●題材歌
紫の にほえるいもを 憎くあらば 人妻ゆゑに われ恋ひめやも
                         ―大海人皇子おおあまのおうじ―〔巻一・二一〕

●現代訳
①紫の色の美しく匂うような美しい妹(おまえ)が、若しも憎いのなら、もはや他人の妻であるおまえに、かほどまでに恋する筈はないではないか。そういうあぶないことをするのも、おまえが可愛いからである。

②紫草の色美しくにおうようなあなたがにくいものなら、人妻であるあなたをどうして恋しましょうぞ。

③紫草の色の映えるような、はでやかに美しいお前よ。お前が憎いと思うなら、人妻なのに、自分はこんなに恋い焦がれようか。よくよくの思いなのだよ。

④紫草のように美しいあなたが憎かったら、あなたは人妻だのに、どうして恋したうことがあろう。

⑤紫草のように色美しくあでやかな妹よ、そなたが気に入らないのであったら、人妻と知りながら、私としてからがどうしてそなたに恋い焦がれたりしようか。

⑥紫草の花のように 美しいあなたを 憎いと思ったら 人妻であるのに どうして恋しく思いましょうか

⑦紫草のように美しい君 きらいなんかじゃない、それなら 人妻の君を こんなに気にしたりしない

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>


これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《そういな 可愛かわいお前に 連れ合いが るん承知で さそたんやから》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その1><その2>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【茜さす】へ




内容が変わります

2011年10月24日 | 訳してみよう万葉集
平成23年10月24日

大阪弁(関西弁)万葉集は 別ブログ「万葉歌ものがたり」と重複しています。
そこで このシリーズは「万葉歌ものがたり」に譲り 新たな企画を立ち上げたいと思います。
題して 『訳してみよう万葉集』

これまで 万葉集の解釈本をいろいろ読んでみました。
・万葉歌を読み
・歌解釈を読む
・難しいところは脚注を参考に 再度読み返す
「なるほど そういう意味か」と 納得する
次の歌に進む・・・

どうも 感動が伝わらない。
「あぁ そうですか」といった感じ。

自分ならどう訳すか 考えてみました。
さて訳すとなると 歌の読み込みが違ってきます。
歌の背景がどうかも知りたくなります。

私の経験では 普通に訳すと これまでの訳と同じに
「あぁ そうですか」に なってしまいます。
現代訳にすると どうしても 散文訳になってしまい
韻文としての万葉歌の歌心が失われてしまうからなのでしょう。
作者の心情が伝わって来ないのです。
ならば 思い切って<五七五七七>で訳すと どうかなと思いました。
そこで出来たのが 「歌ごころ関西訳」。

これなら あなたも訳せないことはないですね。

●企画
1,万葉集に詠まれた著名な歌を題材に選びます
2,その歌のこれまでの先達の訳を掲載します
3,これを踏まえた「歌ごころ関西訳」を次に載せます。
4,もしあなたの訳が生まれれば コメントに投稿ください。
5,それぞれの感性の訳が集まれば 歌の解釈が深まることでしょう

この企画果たしてうまくいくでしょうか。
ものは試しです やってみましょう。
コメント投稿を期待します。

では 始めてみましょう(次へ)

家持編(二)青春・内舎人青雲(06)石麿殿が 憐れじゃないか

2011年10月20日 | 家持編(二)青春・内舎人青雲
■平成23年10月20日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁(満載弁)」で訳します
いわく 「大阪弁(関西弁)万葉集」
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ニシワキタダシさんの「かんさい絵ことば辞典」が好評です。
「大阪弁(関西弁)万葉集」も あやかりたいものです。
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★八束への 軽口いやみ 言うたなら さらに厳しい いさめの返し

けだしくも 人の中言なかごと きかせかも ここだく待てど 君がまさぬ
悪噂ちゅうしょうを きっと聞いたに 違いない こんだけ待って 八束あんたんのは》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻四・六八〇〉
なかなかに ゆとし言はば かくばかり いきにして わが恋ひめやも
縁切えんぎりや 言われたほうが 気ィ楽や こんな思うて 気に懸けるより》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻四・六八一〉
思ふらむ 人にあらなくに ねもころに こころつくして 恋ふるわれかも
《思うても 呉れへん人に 一生懸命いっしょけめ 心尽くすん アホやでうちは》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻四・六八二〉

 
石麿いはまろに われものまをす 夏やせに しといふ物そ むなぎ捕り
《言うたろか 石麿いわまろさんよ 夏痩せに ようく言うで 鰻食たどや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十六・三八五三〉
すも けらばあらむを はたやはた 鰻を捕ると 川に流るな
《痩せてても 生きてる方が まだえで 鰻捕ろして おぼれたあかん》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十六・三八五四〉

 


むなぎ捕りせ】へ


家持編(二)青春・内舎人青雲(05)わしの歌じゃが いかがじゃお主

2011年10月17日 | 家持編(二)青春・内舎人青雲
■平成23年10月17日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁(満載弁)」で訳します
いわく 「大阪弁(関西弁)万葉集」
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ニシワキタダシさんの「かんさい絵ことば辞典」が好評です。
「大阪弁(関西弁)万葉集」も あやかりたいものです。
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★歌習い 手応え感じ 家持は 友の八束に 歌送る 

ひさかたの 雨間あままも置かず 雲隠くもがくり 鳴きそ行くなる 早稲田わさだ雁がね
《雲のかげ 雨降るぁも 休まんと 雁鳴き飛ぶよ 早稲わせ田の上に》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五六六〉
雲隠くもがくり 鳴くなる雁の きてむ 秋田の穂立ほたち しげくし思ほゆ
《雲かくれ 鳴き飛ぶ雁の 行き先の 秋田のぉは たわわやろうか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五六七〉
雨隠あめごもり こころいぶせみ 出で見れば 春日かすがの山は 色づきにけり
《雨降りが うっとしいんで 出てみたら 春日の山は 色づいてたで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五六八〉
雨晴れて 清く照りたる この月夜つくよ またくたちて 雲な棚引き
《雨んで 月さわやかに 照っとるで もうこれからは 雲出んときや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五六九〉

此処ここにありて 春日かすが何処いづく 雨障あまつつみ 出でて行かねば 恋ひつつそ
《この雨に 降り込められて 春日山 足とおのいた 行ってみたいで》
                         ―藤原八束ふじわらのやつか―〈巻八・一五七〇〉
春日野かすがのに 時雨しぐれ降る見ゆ 明日あすよりは 黄葉もみち插頭かざさむ 高円たかまとの山
《春日野に 時雨しぐれ降ってる 黄葉もみじやな 明日あした髪挿かざしに 高円山たかまど行こか》
                         ―藤原八束ふじわらのやつか―〈巻八・一五七一〉



【秋田の穂立ほたち】へ


家持編(二)青春・内舎人青雲(04)上達振りは 中々じゃわい

2011年10月13日 | 家持編(二)青春・内舎人青雲
■平成23年10月13日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁(満載弁)」で訳します
いわく 「大阪弁(関西弁)万葉集」
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「大阪弁(関西弁)万葉集」も あやかりたいものです。
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★どうじゃなと 叔父稲公いなきみも 駆け参じ 出来は如何にと 修行の加勢

時雨しぐれの雨 無くし降れば 三笠山 木末こぬれあまねく 色づきにけり
時雨しぐれ雨 降り続いたで 三笠山 梢全部ぜえんぶ 色づいて仕舞た》
                         ―大伴稲公おおとものいなきみ―〈巻八・一五五三〉
大君おほきみの 三笠の山の 黄葉もみちばは 今日の時雨しぐれに 散りか過ぎなむ
《三笠山 山のもみじ 降る雨に 今日あたりもう 散るんとちゃうか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五五四〉

我が屋戸やどの 草花をばなが上の 白露を 消たずて玉に くものにもが
《庭にある ススキにりた 玉露を 消さんと糸に とおしてみたい》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五七二〉
今日けふ降りし 雪にきほひて わが屋前やどの 冬木の梅は 花咲きにけり
《今日降った 雪に負けんと 庭の梅 枯れ木やけども 白花はな咲いたがな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一六四九〉
沫雪あわゆきの 庭に降りしき 寒き夜を 手枕たまくらかず ひとりかも寝む
淡雪あわゆきが 庭にみ 寒い夜 手ぇつなげんと 独り寝るんか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一六六三〉

あしひきの いはこごしみ すがの根を 引かばかたみと しめのみそ
《山の岩 ごつごつしてて すがの根を 抜かれへんので しるししといた》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻三・四一四〉

牽牛ひこぼしの つま迎へぶね 漕ぎらし あま川原かはらに 霧の立てるは
《彦星の 迎えの船が 出たんやな あま川原かわらに 霧出てるがな》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―〈巻八・一五二七〉

織女たなばたし 船乗ふなのりすらし 真澄まそかがみ 清き月夜つくよに 雲立ち渡る
織姫おりひめが 迎船ふね乗ったや 波しぶき 澄んだ月夜つきよに 雲起してる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十七・三九〇〇〉







【消たずて玉に】へ


家持編(二)青春・内舎人青雲(03)なるほどこうか 歌作り

2011年10月10日 | 家持編(二)青春・内舎人青雲
■平成23年10月10日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁(満載弁)」で訳します
いわく 「大阪弁(関西弁)万葉集」
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「大阪弁(関西弁)万葉集」も あやかりたいものです。
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★歌作り 褒めの指導に 導かれ 日夜錬磨の 修行が続く


わが屋前やどの はなたちばなを 霍公鳥ほととぎす 来鳴かずつちに 散らしてむとか
《庭咲いた たちばなはなを ほととぎす 鳴きに来んまま 散らすんかいな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八六〉

わが屋前やどの はなたちばなに 霍公鳥ほととぎす 今こそ鳴かめ 友に逢へる時
《庭に咲く たちばなはなに ほととぎす 今鳴かんかい 友と居るのに》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻八・一四八一〉

わが屋前やどの はなたちばなの 何時いつしかも 珠にくべく そのなりなむ
《庭植えた はなたちばなは いつ頃に 糸しできる ぃ成るんやろ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四七八〉
わが屋前やどの はなたちばなは 散り過ぎて 玉にくべく になりにけり
《庭咲いた 橘の花 散って仕舞い 糸とおしする になって仕舞た》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八九〉

夏まけて 咲きたる唐棣はねず ひさかたの 雨うち降れば うつろひなむか
《夏待って 咲いたハネズは 雨来たら やっと咲いたん 色せるがな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八五〉
こもりのみ ればいぶせみ なぐさむと 出で立ち聞けば 来鳴く晩蝉ひぐらし
こもってて 沈んだ気ィを 晴らそうと 出たらひぐらし 来て鳴いたがな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四七九〉
わが屋前やどの 瞿麦なでしこの花 さかりなり 手折たをりて一目ひとめ 見せむ児もがも
《庭で咲く 撫子なでしこの花 今盛り って見せる児 らんもんかな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九六〉





【今こそ鳴かめ】へ


家持編(二)青春・内舎人青雲(02)とてもお前に 及びはせんわ

2011年10月06日 | 家持編(二)青春・内舎人青雲
■平成23年10月6日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁(満載弁)」で訳します
いわく 「大阪弁(関西弁)万葉集」
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書持ふみもちの 手引きよろしく 家持は 歌修練に 余念ない

霍公鳥ほととぎす 待てど鳴かず 菖蒲あやめぐさ 玉にく日を いまだ遠みか
《ほととぎす 待ってるのんに まだ鳴かん 菖蒲あやめ薬玉たまする 日ィんからか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九〇〉

わが屋戸やどに 月おし照れり 霍公鳥ほととぎす 心あらば今夜こよひ 来鳴きとよもせ
うちの庭 月照っとるで ほととぎす せっかくやから 鳴きにんかい》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻八・一四八〇〉

霍公鳥ほととぎす 思はずありき くれの かくなるまでに なにか来鳴かぬ
《なんでまた 木ィの茂みが なるまで 鳴きにんのや なあほととぎす》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八七〉

あしひきの 立ちく 霍公鳥ほととぎす かく聞きそめて のち恋ひむかも
《初聞きは 木の間くぐりの ほととぎす 聞いたその声 忘れられへん》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九五〉
何処いづくには 鳴きもしにけむ 霍公鳥ほととぎす 吾家わぎへの里に 今日のみそ鳴く
他所よそでもう 鳴いてたんやろ ほととぎす やっと此里ここ来て 鳴いてくれたな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八八〉
の花も いまだ咲かねば 霍公鳥ほととぎす 佐保さほ山辺やまへに 来鳴きとよもす
の花が まだ咲かへんで ほととぎす 佐保の山来て 咲けて鳴いてる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四七七〉
の花の 過ぎば惜しみか 霍公鳥ほととぎす 雨間あままもおかず 此間ゆ鳴き渡る
の花の 散るんしいか ほととぎす 雨降る中を 鳴き渡りよる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九一〉
夏山の 木末こぬれしげに 霍公鳥ほととぎす 鳴きとよむなる 声のはるけさ
《夏山の 繁るこずえで ほととぎす 鳴き響くんが はるか聞こえる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九四〉





【なにか来鳴かぬ】へ


家持編(二)青春・内舎人青雲(01)親父亡くなり このわし当主

2011年10月03日 | 家持編(二)青春・内舎人青雲
■平成23年10月3日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁(満載弁)」で訳します
いわく 「大阪弁(関西弁)万葉集」
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★家待へ 旅人たびと仕えの 余明軍よみょうぐん 別れて行くか 言伝て残し


まつりて いまだ時だに かはらねば 年月のごと 思ほゆる君
《お仕えし 日ィ浅いのに 長いこと つかえた思える 家持あなた様です》
                         ―余明軍よのみやうぐん―〈巻四・五七九〉
あしひきの 山にひたる すがの根の ねもころ見まく しき君かも
《出来るなら すがの根みたい 長々と お仕えしたい 家持あなた様です》
                         ―余明軍よのみやうぐん―〈巻四・五八〇〉

うちらし 雪は降りつつ しかすがに 吾家わぎへの園に うぐひす鳴くも
《空おおい 雪降るのんに 鶯が もう来てからに 庭で鳴いとる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四四一〉
春の野に あさるきぎしの つまごひに おのがあたりを 人に知れつつ
《春の野で えさきじは 連れ呼んで 居場所猟師りょうしに 教えとるがな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四四六〉






【あさるきぎしの】へ