ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

古事記ものがたり・上つ巻(01)伊耶那岐・伊耶那美 国を産む

2012年11月29日 | 古事記ものがたり
伊耶那岐いざなき伊耶那美いざなみ 国を産む

この 世出来たる その昔
天上 世界 現れし
三つのおはしら その御名みな

天御中あめのみなかの 主神ぬしのかみ
高御産巣日たかみむすひの かみ次に
神産巣日神かんむすひのかみ 三の神

のちも神々 次々と
生まれ現れ 末つい

生まれでたる おとこ
名を伊耶那岐いざなきの かみと言い
次いで生まれし おんな
名は伊耶那美いざなみの かみと言う

伊耶那岐神いざなきかみと 伊耶那美神いざなみ
あめの神々 おおせなる

 下界広がる 海なせる
 ただよう国を 固めなせ」
言いて下さる あま沼矛ぬぼこ

天と地かる 浮き橋に
立ちて沼矛ぬぼこを さしおろろし

くに海水うみみず こおろころ
しずく 垂れ落ちて
 と固まり 島となる

淤能碁呂島おのごろじまへ 二つ神
くだりなされ この島を
拠点あしばして 産みのわざ






   伊耶那岐神いざなきかみと 伊耶那美神いざなみ
    と神とを お産みなる

   先ず にお産みの 島八つ

   一に淡路の 狭別島さわけしま
   次に伊予なる 二名島ふたなしま
   三は隠岐おきなる 三子島みつごしま
   筑紫島つくしのしまに 壱岐いきの島
   対馬つしま佐渡島さどしま お産みなり

最後 産んだる 大き島
大倭豊おおやまととよ 秋津島あきづしま

全てまとめて 大八島おおやしま
これぞやまとの 国々ぞ
 に神々 お産みなる

 の神やら 海の神
 や野の神 川の神
やがて 産んだは 火の神で

燃える炎で 伊耶那美神いざなみ
焼かれ哀れや 身罷みまかりて
黄泉よみの国へと お隠れに



古事記ものがたり・はじめに

2012年11月26日 | 古事記ものがたり
  じ め に

 これは違うぞ」
そう 思ったのです。
古事記 本文は、全て漢字で五万字になんなんとする量を有している。
稗田阿礼ひえだのあれ口誦こうしょうしたものを太安万侶おおのやすまろが採録したとされる。
 天地発之時於高天原成神名天之御中主神次高御産日神次神神産巣日神三柱神・・・』
原文 の書き出しである。
これ が延々五万字続く。
稗田阿礼ひえだのあれは、「生まれながら聡明にして、文章ふみ暗誦あんずるに一瞥いちべつ、言の葉記憶おぼえ一耳ひとみみ」とある。
信じがたい 
 天地発之時於高天原成神名・・・』五万語を暗誦していたとは。

われわれ日本人は、「やまとことば」、すなわち、漢語が渡来する以前から存在した固有の倭語わごを用いていた。
そして 、それはある種のリズムをもって語られていた。「歌謡」である。
序文において、読みは「おん」と「くん」とを併用したと太安万侶おおのやすまろは記す。

然らば 、こうだ。
稗田阿礼ひえだのあれは、リズムを持った「やまとことば」で、全てを暗誦していた。
そして、これの暗誦を聞き語りしつつ、太安万侶おおのやすまろが簡潔で読みやすく意味の通る文章とした。
これ なら分かる。

しかし、読んでみると、「よみくだし」にしても「現代語訳」にしても、読みづらい。
これ は、古事記が一概に昔の歴史の内容に関するものの故ではなさそうである。

リズム 「やまとことば」
   
漢字 五万字
   
よみ下し
   
現代語 

これ を、思い切って最初に戻せばどうか。
稗田阿礼ひえだのあれが、歌謡然と謡っていたように。

現代語 
 
リズム 現代語訳

読める は読める。
 つく間もなしに読める。
こう して生まれたのが、叙事詩的「古事記ものがたり」である。
内容 は、「ものがたり」さながらに、血湧き肉躍る活劇譚となっていた。

古事記 編纂千三〇〇年の今年。
今によみがえる、神話・伝承世界。
数多く の人達に読んで頂きたい。

地下で、稗田阿礼ひえだのあれが、我が意を得たりと深く頷くのが見える。


■訳してみよう万葉集■<その102>諾児なは

2012年11月01日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その102>

●題材歌

うべなは ぬにふなも つくの のがなへ行けば こふしかるなも
                          ―東 歌―(巻十四・三四七六)

●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④たしかに、あの子は私に恋しているらしい。月々が立ちつづけていくと、恋に苦しいことだろう。

⑤無理もない、あの子は今頃私に頻りに焦がれているのであろう。新月がどんどん流れて行くのだから、さぞかし逢いたがっていることだろう。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《そやあの児 きっとこのわし れとんや 逢えん日いと 恋しいやろな》


さあ あなたの訳は 如何ですか?