ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

歴史編(18)天下分け目の決戦や

2009年10月06日 | 歴史編
■平成21年10月6日■
万葉集に詠われた歌を 歴史の流れに沿って 採り上げ 「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★陣頭指揮する 高市皇子たけちのおおじ 勇猛果敢さ 目に浮かぶ

かけまくも ゆゆしきかも はまくも あやにかしこき 明日香の 真神まがみが原に
ひさかたの あま御門みかどを かしこくも 定めたまひて かむさぶと 磐隠いはがくります 
やすみしし わご大君の 

《言葉にするのは はばかられもし おそれも多いが 真神まがみの原に
 都造られ やがてのことに お隠れなされた 天武のみかど
きこしめす 背面そともの国の 真木まき立つ 不破ふは山越えて
高麗剣こまつるぎ 和射見わざみが原の 行宮かりみやに 天降あもいまして
 
《都の北の 不破山ふわやま越えて 和射見わざみが原に 陣敷きまして》
あめの下 をさめ給ひ す国を 定めたまふと とりが鳴く 吾妻あづまの国の
御軍士みいくさし給ひて ちはやぶる 人をやはせと 服従まつろはぬ 国を治めと 
皇子みこながら よさし給へば

《天下しずめて 泰平たいへい得んと あずまの国から 軍隊集め
 そむきの心 改めさせろ 逆賊討てとの 命令下す》 
大御身おほみみ大刀たち取りかし 大御手おほみてに 弓取り持たし 
御軍士みいくさを あどもひたまひ

大刀かたないて 弓取り持って 全軍指揮する 高市皇子たけちのおおじ
ととのふる つづみの音は いかづちおとと聞くまで 吹きせる 小角くだおとも 
あた見たる とらゆると 諸人もろひとの おぴゆるまでに

《並ぶ太鼓は 雷みたい 響く笛の 敵見てうなる 虎の吼声こえかと 怖気おじけを誘う》
ささげたる はたなびきは 冬ごもり 春さり来れば 野ごとに きてある火の 
風のむた なびくがごとく

ささげる旗は 真紅になびき 風にはためく 野を焼くほのお
取り持てる 弓弭ゆはずさわき み雪降る 冬の林 に 飃風つむじかも い巻き渡ると 
思ふまで きのかしこ

《弓のつる鳴り 冬吹く旋風つむじ 耳に恐れの 渦巻きわたる》  
引きはなつ 矢のしげけく 大雪の 乱れてきたれ 服従まつろはず 立ち向かひしも 
露霜つゆしもなばぬべく 行く鳥の あらそふはし

《放つ矢しげく 吹雪のごとく あだなす敵は 意気消え果てて
 慌てふためき 争い逃げる》 
渡会わたらひいつきの宮ゆ 神風かむかぜに い吹きまどはし 天雲あまくもを 日の目も見せず
常闇とこやみおほひ給ひて 定めてし 瑞穂みづほの国を

《伊勢の神風 呼び寄せ吹かせ 天雲あまぐも起こして 太陽隠し
 敵を闇へと ほうむり去って 平和に戻した 瑞穂みずほの国くにを》
神ながら 太敷ふとしきまして やすみしし わご大君おほきみの 天の下 まをし給へば 
万代よろづよに しかもあらむと 木綿花ゆふはなの 栄ゆる時に ・・・

《治めなさって 引き継ぎ行けば 今のさかえは 万代よろずよまでに 続かんものと 思えはしたが》
                         ―柿本人麻呂―(巻二・一九九前半) 






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