■哀れ黒比売 歩行にて帰る
応神天皇 そのお子の
大雀命 即位して
仁徳天皇 お成りなる
仁徳天皇 国見して
「炊煙立たぬは 貧困きや
以後の課役を 免ずべし」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/bc/3648f0ca5552ab6f2d76764a8d9c6344.jpg?random=0baa924e567e2d050f1d50706359572f)
襲う雨風 宮殿破れ
漏れ降る雨に 繕わず
箱以て受けて 雨避ける
三年の後の 国見には
民の竈は 賑わいて
課役復活て 宮殿栄う
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/60/34680a709ac996d464dd83ac66e34047.jpg?random=58974adc0c3c6ffa149f60bd070a63a4)
仁徳天皇 皇后は
葛城曽都彦 娘にて
石之日売命 申すなり
嫉妬心の 只成らず
仁徳天皇の気移り 耳するや
火点き恨みの 足悶え
片や仁徳天皇 女好き
吉備の海部の 黒比売を
召して傍にと 思い為し
呼びて寵愛 思いしに
石之日売命怖と 逃げ帰る
帰り乗る船 遠望み見て
仁徳天皇 謡う歌
沖に小舟が 連なりて
愛し黒比売 朕の児が
故郷へ帰るぞ ああ黒比売が
沖方には 小舟連らく
黒鞘の 美児我妹
国へ下らす
―古事記歌謡(五十三)―
聞いた石之日売命 人遣りて
船の黒比売 引き下ろし
歩行にて行けと 追い払う
恋しさ募る 仁徳天皇は
「淡路島見たい」と謀りて
吉備を望みて 謡う歌
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/75/de10d831210cc0c946b1196ff81a74ed.jpg?random=1d8628b1f900b01bda9404d4ca65b0f6)
難波の津より 船出して
朕が治める 国見れば
淡島おのごろ 島向こう
檳榔の生える 島見える
遠く離れた 吉備島見える
押し照るや 難波の崎よ
出で発ちて 我が国見れば
淡島 おのごろ島
檳榔の 島も見ゆ
離けつ島見ゆ
―古事記歌謡(五十四)―
募る愛しさ 島伝い
吉備に至りて 供御給う
吸物煮るに 黒比売が
青菜摘む丘 登り来て
仁徳天皇謡う 楽し歌
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/9a/6e1f17a6d5e36df9a9bc52a2bfcfcba4.jpg?random=71368acff770847121ea46d515fbcf98)
山の畑に 蒔いた青菜を
吉備の乙女と 摘むならば
楽しや嬉し さて楽しやな
山方に 蒔ける青菜も
吉備人と 共にし摘めば
楽しくもあるか
―古事記歌謡(五十五)―
楽し一時 過ぎ去りて
別れ黒比売 謡う歌
吹く西風は 大和へと
天皇雲共に 離れても
我れ天皇を 忘れは為まい
倭方に 西風吹き上げて
雲離れ 退き居りとも
我忘れめや
―古事記歌謡(五十六)―
大和帰るは 誰夫かな
山下潜る 水の様に
秘やか慕う 我が天皇なれや
倭方に 往くは誰が夫
隠り水の 下よ延えつつ
往くは誰が夫
―古事記歌謡(五十七)―
応神天皇 そのお子の
大雀命 即位して
仁徳天皇 お成りなる
仁徳天皇 国見して
「炊煙立たぬは 貧困きや
以後の課役を 免ずべし」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/bc/3648f0ca5552ab6f2d76764a8d9c6344.jpg?random=0baa924e567e2d050f1d50706359572f)
襲う雨風 宮殿破れ
漏れ降る雨に 繕わず
箱以て受けて 雨避ける
三年の後の 国見には
民の竈は 賑わいて
課役復活て 宮殿栄う
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/60/34680a709ac996d464dd83ac66e34047.jpg?random=58974adc0c3c6ffa149f60bd070a63a4)
仁徳天皇 皇后は
葛城曽都彦 娘にて
石之日売命 申すなり
嫉妬心の 只成らず
仁徳天皇の気移り 耳するや
火点き恨みの 足悶え
片や仁徳天皇 女好き
吉備の海部の 黒比売を
召して傍にと 思い為し
呼びて寵愛 思いしに
石之日売命怖と 逃げ帰る
帰り乗る船 遠望み見て
仁徳天皇 謡う歌
沖に小舟が 連なりて
愛し黒比売 朕の児が
故郷へ帰るぞ ああ黒比売が
沖方には 小舟連らく
黒鞘の 美児我妹
国へ下らす
―古事記歌謡(五十三)―
聞いた石之日売命 人遣りて
船の黒比売 引き下ろし
歩行にて行けと 追い払う
恋しさ募る 仁徳天皇は
「淡路島見たい」と謀りて
吉備を望みて 謡う歌
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/75/de10d831210cc0c946b1196ff81a74ed.jpg?random=1d8628b1f900b01bda9404d4ca65b0f6)
難波の津より 船出して
朕が治める 国見れば
淡島おのごろ 島向こう
檳榔の生える 島見える
遠く離れた 吉備島見える
押し照るや 難波の崎よ
出で発ちて 我が国見れば
淡島 おのごろ島
檳榔の 島も見ゆ
離けつ島見ゆ
―古事記歌謡(五十四)―
募る愛しさ 島伝い
吉備に至りて 供御給う
吸物煮るに 黒比売が
青菜摘む丘 登り来て
仁徳天皇謡う 楽し歌
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/9a/6e1f17a6d5e36df9a9bc52a2bfcfcba4.jpg?random=71368acff770847121ea46d515fbcf98)
山の畑に 蒔いた青菜を
吉備の乙女と 摘むならば
楽しや嬉し さて楽しやな
山方に 蒔ける青菜も
吉備人と 共にし摘めば
楽しくもあるか
―古事記歌謡(五十五)―
楽し一時 過ぎ去りて
別れ黒比売 謡う歌
吹く西風は 大和へと
天皇雲共に 離れても
我れ天皇を 忘れは為まい
倭方に 西風吹き上げて
雲離れ 退き居りとも
我忘れめや
―古事記歌謡(五十六)―
大和帰るは 誰夫かな
山下潜る 水の様に
秘やか慕う 我が天皇なれや
倭方に 往くは誰が夫
隠り水の 下よ延えつつ
往くは誰が夫
―古事記歌謡(五十七)―
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/6a/c0696f3418213b2ee3104571fc547ba4.jpg?random=14e18d374f81f40b61ed2d9ad5e97136)