ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

「七五調 源氏物語」掲載開始~はじめに~

2014年12月31日 | 七五調 源氏物語
■七五調 源氏物語■

平成26年3月の刊行開始に先立ち
本ブログに於いて 先行掲載をすることにしました。

正式タイトルは
『古語紛い・腑に落ち・まんま訳 七五調 源氏物語
です。












まずは 現代訳に取り組む事とした趣旨を「はじめに」として掲載します。

 ■は じ め に■

とある夢に 立ちたるは
女房 装束 姿なの
才長さいたけ見えし 女性にょしょうにて
何や心痛うれたき 面持ちに
我れの枕辺まくらべ 座り為し
嘆き言 の葉 申すには

 時空飛来の からくり乗りて
  今のこの世に 来たりてみれば
 わらわ作りし 語りの物を
  今風なりに 写して作る
 なにがし源氏 様々あるを
 とくと眺めて 読みき見るに
 およそ二つの たぐいと見たり
  
 先ずはわらわの 元物語
  噛みて砕きて 我が物と為し
  読み易きにと 編み変え為すの
 さながら作者 今人いまひとなるは
  面白きにも 我が意と為さず
  
  またの一つは 元物語
 わらわ作りし 流れに則し
  言葉古きを 今にと変えて
  忠実なるに 訳してあれど
 古言ふるごと訳す 辞書さながらに
  読むに飽きるの 物とぞ見ゆる
  
 さらに二つの たぐいは共に
 わらわ作りし 古きの時代
  言わず語らず 分かりしことを
 わらわ略して 書かざるなるを
 時るにしも おぼろとなるや

 写筆写筆の 重なるたび
  過ち積り 通じずなるを
  新た解釈 改変為すの
 あれやこれやの ゆがみの故に
  
  我が意離れの 語りの流れ
  ぎくしゃくなりて 腑に落ちぬ箇所
 数多あまたにありて 読み手は惑い

  遺志の固きに 読み進みしの
  須磨の返りは まだしもなるに
 気軽取り組み 紙りしなの
 桐壺挫折 累々るいるいなるを
  知りての嘆き 堪え難かりし』

夢中ゆめなかなるの 我れはしも
「如何によとぞ 現れし
  我れは力の さも無きに」
言いしに女性にょしょう 答えるは

 すでに分別 為したる通り
 わらわ式部の 紫にてぞ
 なれが訳せし 万葉歌まんよううた
  今に易きの 七五の訳で
  詠い作者の 思いの全て
 捉え心情こころの 機微きび鮮やかに
 よみがえらせし 評判うわさを聞くに

 なれに頼めば 我が物語
  古語を使いて 七五の調べ
  我れの編みたる 展開まんま
  腑に落ち訳を 見事と為せば
  読み手喜び 嬉々とに読みて
 広きに流布ながれ 我が意に添うと
  時空飛来の からくりに乗り
 なれ夢中ゆめなか 出でせるなり』

 されど長きの 物語
  訳す歳月 ただならず
  我が身持つやの 気掛かりぞ」
言う に式部は またに言う

わらわ毎夜に 夢中ゆめなか出でて
 元原文もとふみを 読み聞かせるに
  そなた言葉で 言い換えなせば
 すらすら訳の たがいは無しぞ
 全て五十四ごじゅうし 帖にてあるも
  これを十五に 小分けとなして
 一つ二月ふたつき こなせばなんと
 二年ふたとせ半ば 楽々なるに
 だくと申せや もう夜が明ける』

くなる次第 始めしに
およそ二月ふたつき 一の巻
 足り無きの 出来なるも
形整い 出でしを
世に問う恥を ここさら

やがてある夜に 式部しきぶ

 言い忘れしの ことあり来たる
 なれのもの為す 訳文なるを
 読むに一夜に 一巻いちまき全て
  止まず一息 読み果て為せり
 この分なれば 源氏物語げんじの全て
  読むに一月 掛からずなりや
 正に読み手の 福音ふくいんにてぞ
 くて礼にぞ 罷りてしぬ


  さらに一言 付け足すならば
 我れの原文もとふみ 並べて読むに
 真の我が意が 今世いまよにまさに
  速やか伝え 叶うは固し

  これを為すにて 副読本に
  使い読み為し 然るの後に
 講義入れば はかどり早く
 聞き手楽しは たがいも無しぞ
  夢と疑う ことこそ無けれ』

くて式部の 夢出で来ずに