ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

源氏:桐壺(13)いみじき絵師と

2014年02月13日 | 七五調 源氏物語



いみじき絵師と
     ―偲ぶみかどの憂いは深く―



類稀たぐいまれなる 絵師描く
楊貴妃ようきひにして 容貌かんばせ
生気 無かりし 止む無しか


大液池たいえきいけの 蓮花はちすばな(顔)
未央宮びおうきゅうなる 柳とぞ(眉)
たたえられたる 容貌かんばせ
唐風衣装 まといしの
麗し絵姿すがた ご覧ずも

 ここには あらずして




 惹かれる 優しさと
気高けだか可愛かわいげ 思い出し
 の色やの 鳥の声
たとえるものの あらばこそ

朝夕毎に 「比翼鳥ひよくとり
連理枝れんりえだに」と 誓いしに
叶う 無きかの 命とは
 めしなるの 限りにて

庭に吹く風 虫の
いや 更増して 迫る胸



みかど御局上おのぼり 久しきに
無きのお過ごし 弘徽殿女御こきでん
管弦遊あそび されしの
深夜よふけと云うに 興じ声

め聞くみかど 不愉快ふゆかげを
みかどこの頃 お気持ちを
察し給える 女房輩にょうぼども
殿上人てんじょうびとも にがと聴く

弘徽殿女御こきでん性質さがの 傲慢ごうまん
みかど嘆きも 知らぬ
無視されしの わざなるを
くも耐えずと 月も


  宮にても
    涙曇らす
      秋の月
  浅茅あさじの里で
    澄むはずも無き

                           雲の上も
                           涙にくる
                               秋の月
                            いかで澄むらむ
                              浅茅生あさじふの宿


桐壺更衣こうい実家さとを 思いつつ
かか灯火あかりの つくまでと
みかどせ無く お過ごしに

聞こえ来たるは 右近衛府うこのえ
宿直とのいもうしの 丑の刻
 巡回警護の名告り)(午前二時)
周囲ひとめ憚り 寝御殿おとどへも
みかど微睡まどろみ さぬまま


                          【右近衛府】
                             近衛府(帝親衛軍)の一つ






起床おおきされの お思いは
「明くるも知らで」の さきの日々

先の怠り 政務まつりごと
 も怠り 続くにて

 もからきし 進まずて
朝餉あさげ膳箸 形のみ
昼餉ひるげ膳には 見向きすら
はべりし給仕きゅうじ 気の毒な
様子拝見つつに 嘆くのみ



そば仕えの 男女みなみな

「嘆かわしやな くなるも
 前世ぜんせ宿縁しゅくえん なりしかや

 周囲ひとの非難も 恨みをも
 はばかげに 女人ひと
 分別ふんべつ無しの されよう

 今また政務まつり 怠りは
 沙汰さたの限りや 嘆かわし」

ひそひそ 声の 到りしは
またも唐土もろこし くとぞに


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