まどか先生の「ママ達のおやつ」

ママの笑顔は、我が子が幸せであるためのママ・マジック。ママが笑顔であるために、この「おやつ」が役立つことを願っています!

ママ、5分遅れるよ!

2006年02月18日 | めそめそ
 今日、駅のホームで、制服姿の女子中学生が携帯電話で話していました
 私が横に立って急行を待っていると、自然にその子の会話が聞こえてきました。
「・・・うん、ごめんごめん 先輩のお説教で・・・え?今?菊名だよ。そう、急行に乗り換えるから、遅れても5分くらいなんだけど、やっぱり知らせておこうと思って。ごめんね、ママ

 どうも、彼女は横浜駅付近で、お母さんと待ち合わせをしているらしい・・・5分遅れます、とママにちゃんと知らせるなんて、律儀で良い子だなあと思いました
 私もその子も、やってきた急行に乗り換えました。私は、さっきの電話で、ちょっぴり和んだ気分になり、ドアのところに立って外を見ていました。
 次の瞬間、通過する駅と、その駅の脇にある踏切が見えました。外から、ホワン、ホワン・・・と踏切の音が聞こえ、遠ざかっていきました。その時、私は急にむかーし昔のとっても悲しい出来事を思い出しました・・・

 私は、大阪の帝塚山学院という学校に、中学受験をして入学をしました 帝塚山学院は、私鉄の南海電鉄の高野線という路線にある「帝塚山駅」のすぐそばにあります。
 登下校時、その小さい駅も周辺も、学院生達でいっぱいになります。道いっぱいに広がって歩くな!とか、駅では静かにして、他の乗客のご迷惑にならないように! とか、頻繁に注意を受けていましたが、ぜーんぜんお構いなし。私も含めて「この駅は、うちの学校のためにある駅なんやから・・・」などと思っていたものです
 この小さな駅は、南海電鉄の始発駅である「なんば」という駅から6つ目の駅で、当然、各駅停車しか止まりません。

 私が中学1年の、確か2学期だったと思います。
6時間目の授業が終わって、私は仲良しの友達と一緒に、とっても厳しいバレーボール部の練習を開けた窓越しに見ながら、机の上に腰掛けておしゃべりをしていました
 今ではすっかり改築されてしまいましたが、当時は運動場を囲むように校舎が建っていて、線路に沿って立っている小学部がもっとも電車の音が聞こえ、その校舎の向かいにあった中学部は、一番電車の音の影響がありませんでした。
 しかし、駅がすぐそば、ということもあり、どの教室からも、カンカンカン・・・という踏切の音はよく聞こえました
 お友達と話しているその時も、カンカンカン・・・と鳴り始めました。遮断機は、下り電車が発車する時、上り電車が駅に到着する時に鳴り、駅を通過する急行列車が通る時にも鳴るのです。

 当時よく問題になったのは、上りの各駅停車がホームに到着する時に降りている遮断機をすり抜けて、その停車中ののぼり電車に乗ろうとする生徒が多く、非常に危険だ、ということでした
 もちろん、上りホームに電車が入ってしまうと、本来は遮断機は開くのです。しかし、その時に、下りの急行電車が駅を通過する時間に当たってしまうと、閉まった遮断機の前に立ち、乗れたはず?の駅に停車中の上り電車を見送らなければならなくなります

 あの日もカンカンカン・・・いつものように、踏切の音。すると次の瞬間、キキキキキーーーー! 明らかに、急行電車が無理に急ブレーキをかけて止まった音でした。
 私達は、見えるわけもありませんが、窓のところに駆け寄りました。
 この時、私達は、いえ、私達だけではなく、この時、学校にいた小学校から中学、高校生の全員、そして教職員の全員が、得体の知れない不吉を感じたはずです。
 この駅の乗降客のほとんどは学院生で、ましてや放課後のこの時間、駅周辺にいるのは、ほとんどが学院生のはず・・・

 同じ中学部1年のAちゃんは、「なんば」のデパートの前で、お母さんと待ち合わせをしていたのだそうです。しかし、ちょっと何かをしたことで下校する時間が遅れ、Aちゃんはお母さんとの約束の時間に遅れそうになっていた・・・ 
 そして、彼女は上りホームに停車中の電車に乗りたいために、お母さんとの待ち合わせ場所に急ぐために、遮断機をくぐったのでした・・・

 帝塚山駅から「なんば」駅まで、約15分。その決して長くはない時間を思えば、彼女がもし遅刻をしたとしても、時間は、ほんの5、6分くらいだったことでしょう きっとお母さんは、ニコニコ笑って待っていてくれたはず・・・
 
 私は、ふっと悲しい思い出から覚め、次のドアのところに立っていた さっきのお嬢さんのほうを見ました。彼女は、熱心にメールを打っていました。
「ごめんごめん!ママ、私、5分くらい遅れるから・・・」

 もし、あの頃に携帯電話があったら? きっとAちゃんは、ママに連絡が出来たでしょうね。そしてママはきっと、「いいわよ、大丈夫!待ってるから、気をつけていらっしゃいね」と応えてくれたでしょう。
 
 子供達が使う携帯電話には、賛否両論がありますね。幼い子達が持つGPS携帯は、親達の不安や心配を、大きく緩和する役目を果たしています その反面、女子高生の携帯利用によって、性犯罪や薬物犯罪の危険は、思いのほか、身近なものになっています

 それでもなお・・・ 私は13歳で逝ったAちゃん、Aちゃんを喪ったお父様やお母様の思いを考えると、携帯電話も「便利さ」に、軍配を上げたくなるのです

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6 コメント

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Unknown (dama)
2006-02-19 00:27:45
子供が大きくなると、待ち合わせ機会が増えてきました。車の行き交う道の向こうに子供が見えても絶対声をかけずに待つようにしていますが、姿を見つけたら子供の目は母親しか見えなくなってしまいます。道を渡るまでどうか見つかりませんように・・といつも思います。

この話、先生の小さな生徒さんたちにも機会があったら是非話してあげてください。親から聞くより心に残ると思います。

不幸な形で命を失う子供達が一人でも少なくなるように祈っています。

コメント、ありがとうございました (まどか先生)
2006-02-19 09:21:39
 コメント、ありがとうございました。

そうですね、この道の横断については、是非、子供達に、彼らの心にひびき、ちゃんと理解出来るように伝えたいと思います

 娘が小学生の頃、彼女の学校では、基本的には下校時の親との待ち合わせを禁止していました。何とお堅い、何と融通の利かない、と思ったものですが、確かに意図はわからなくはありません。

 それにしても・・・子どもに教えること、たくさんありますね。
初めまして! (bb)
2006-03-21 16:47:40
私は貴女の母校の関係者ではないのですが、帝塚とは不思議と縁があり、よく顔を出します。近頃では、守衛のオジサンとも顔なじみになり、入校時の手続きも楽になりました。

自身も頻繁に利用するあの踏切で、そんな悲劇があったとは、知る由も無く、上り電車に乗車するため、踏切が上がると同時にダッシュをしているメンバーの一人です。

今でも大きな事故に繋がってはいないのですが、小さな事故はあるようです。

二度と悲しい思いをする人がないよう、全ての人が気を配らねばならないと、改めて感じました。

コメントありがとうございました (まどか先生)
2006-03-21 22:23:17
bbさん、コメント、ありがとうございました!bbさんは「あの踏切」をよく利用されるのですね。そして、私の母校にもよく出入りされているとか。たぶん母校でも、もう35年も前の事故のことを覚えている先生も少なくなられたことでしょう。人の記憶は、良くも悪くも薄れていくものです。しかし、教訓として記憶に残しておくべきことは多いはず。私の母校は、それをしているでしょうか・・・
Unknown (bb)
2006-03-22 02:56:39
私の妻は貴女の後輩ですが、事故のことは、伝え聞いています。現役で教師をされている方の中にも当時を知る方もいらっしゃるようです。

ちなみに携帯電話については、校内では使用禁止、所持については、許可を取ればokだそうです。
bbさん、感謝! (まどか先生)
2006-03-22 18:33:30
わざわざお知らせをありがとうございました。先日、私の娘は高校を卒業しましたが、彼女の母校では、携帯電話は全面禁止でした。時代錯誤な校則として、親としてもかなり???状態だったのですが、なかなかこの問題はむずかしいですねえ。確かに、携帯電話は、ティーンエイジャーの道具としては、諸刃の剣でもありますから 奥様に、くれぐれもよろしくお伝えください

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