まどか先生の「ママ達のおやつ」

ママの笑顔は、我が子が幸せであるためのママ・マジック。ママが笑顔であるために、この「おやつ」が役立つことを願っています!

輪島塗のお箸が二膳・・・

2015年05月21日 | う゛う゛ー
 北陸新幹線開通で、一気に首都圏から近くなった石川県。
もともと、金沢は長年「行きたいねえ」と言っていた町でした。今まで何度も、貯めているマイル利用で行こうとしましたが、なかなか夫婦の仕事のタイミングが合わず、そのつど断念。今回、やっとその念願叶い、新幹線利用で行ってきました

 お昼前に金沢に到着。本当に近くなりました 昼食後は、夕方までしっかりと歩きまわり(帰ってから、距離を測るソフトを使ってみてみると、12キロ歩いていました)、主要な「見どころ」はほぼ訪れました。
 ゆったりとした、穏やかな時間の流れる町・・・それが私達夫婦が金沢に持った印象でした
新幹線の開通を機にリニューアルしたり、あらたに整備されたであろう建物や空間がたくさんあって、あっちもこっちも行き届き、ぴかぴか かと言って、もともと風土、文化ともに豊かな土地柄ですから、にわか仕立てのちょっと痛い空気?!というものもなく、本当に居心地の良い町でした 滞在中、何度も「前田家はすごいねえ」とか「さすが、加賀百万石!」と言葉にしました。(いやいや、石川県知事さんがご立派なのかな?)

 翌日は、朝から2時間かけてバスで輪島へ 私は中学生の頃に両親と訪れてから、ほぼ40年ぶり。その時に訪れた町の記憶はありませんが、輪島塗の工房を訪れ、製作工程を見学したことを、とってもよく覚えています 能登半島を一周したその時の旅では、九谷焼の工房、輪島塗の工房、金箔の蒔絵の工房を訪れ、まるで夏休みの自由研究のようですが・・・文化的なことが大好きだった父にとって、こういう全国の工房めぐりは、まさに教育パパの一環だったのでしょうね 
 幸いなことに、その思惑にまんまと引っかかった私は、今も自宅近くを歩いていても、何か町の説明があると立ち止まり、思わず読みふけってしまいます

 今回の輪島行きには、観光以外にもう一つの目的がありました。それは、夫の友人のご実家を訪ねる、というものでした ご高齢のお母様の一人暮らしとお聞きし、何が何でもお訪ねして、少し、お話し相手にでも・・・と考えたのです。
 とは言え、その夫のお友達に教えてもらった「お寿司屋さん」には行きたいし・・・お宅にお邪魔する前にお店に立ち寄り、「2名、カウンターでお願いします!」と予約をしました。
 お母様宅には、同じくご高齢のお友達という方が待っていてくださり、私達を車で郊外にある世界遺産まで案内してくださる手筈が整っていました 
 じゃあ、一緒にお寿司屋さんに行きましょうか!ということになり、4人で向かいました。
先に私達がお店に中に入り、4人になったのですが、大丈夫ですか?とたずねると、いきなり怖い顔で「無理無理」とすごい剣幕で言われ・・・急な変更を詫びながら、何とかならないかと再度お願いすると「2階に行って」と言われました。カウンターが4席空いていたので、「お二人はご高齢で、急な階段を上がられるのは難しいと思うのです。カウンター席でお願いできませんか?」とお聞きしましたが、「ちゃんとあんたらの2席はとってあったでしょ。とにかく、4人は無理。2階、2階」と繰り返すばかりで、舌打ちされ、睨まれ・・・ この会話も、実際には、途中で聞こえないふりをされたり、無視されたりで、決して字面ほどスムーズではなく・・・
 お年寄りお二人は、その場でオロオロするばかり。私は、何とも情けない気持ちでいっぱいになりました

 急な変更をお願いしたのは私達で、非は私達にあります。
確かに、お願いをしたのは2席で、その席はきちんと予約席として、意してくださってもいました。そういう意味では、お店のご主人に何の落ち度もありません。
 勝手かもしれませんが、ご一緒したのが地元の方で、高齢者お二人だったから、やっぱり「なんでこういう扱い?こういう応対?」と思ってしまったのです。

 結局、お二人にカウンター席に座っていただいて、私達夫婦は、2名で二階席を使う許しを乞うて、どう考えても杖をついて歩いているお年寄りには上り下りの出来ない急な階段を登っていきました。

 お寿司屋さんにご一緒しましょう、ということになった時、お二人は何度も、あそこは輪島では有名なお寿司屋さんで、本当においしいお店なのだと、自慢するように笑顔で話してくださっていたのです。
 そのお二人が、睨みつけながら声高に「2階!2階!」を繰り返すご主人の前で、どんなお気持ちだっただろうか?そして、どんなことを思いながら、カウンターでお寿司を二人で食べられたのか?

 2階の席に運ばれてきた、みんなが注文するというご主人お薦めの、地元のお寿司を前にしても、私はすっかり食べる気持ちが失せていました
あの、睨みつけていたご主人が握ったお寿司なんだなあと思うと、食べる前から、そこには「心」がないように思えてしまいました。きっと、手で握るお寿司だから、一層、気持ちが萎えたのかもしれません

 私も主人も下のお二人のことを気にしながら、ほとんど会話をすることもなく、砂を噛むような思いで「とても美味しいはずのお寿司」を食べました。
運んでくださるお店の方も、何となく居心地が悪そうで・・・でも、その方は私達のことを気遣い、下のお二人の食べているペースを教えてくださり・・・ ありがたく、申し訳ない思いでした

 お会計を済ませ、お店を出る時にも、ご主人はそっぽを向いたままだったので、その後ろ姿に「急なことでご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。ごちそう様でした。」とお声をかけました。
 帰り際に渡された輪島塗のお箸・・・ご主人お薦めのランチをいただくと、お土産にいただけるとのこと。そのお箸を持って、外に出ました。
申し訳なかったですねえ、と何度も詫びるお二人にお箸を渡し、車に乗り込みました その後は、努めてお寿司の事は忘れ、輪島の今昔物語を語ってくださるお二人に耳を傾けました

 言葉足らずは、心足らず・・・私がよく教室の子ども達やお母様方に話す言葉です。
恥ずかしさのあまりに「こんにちは」や「ありがとう」の言えない子どもはいます。少々常識に疎く、言葉の足りないお母様もおいでになります。
 でも、それが「仕事」となると話は違うよな、と私は思うのです 何か物を売る、とか、サービスを提供する、とか・・・それが仕事なのであれば、相手に対する「言葉」は、そのままで大切な仕事の一部ですよね。そして、心があれば、その心は、やはり思わず言葉となって出てくる・・・

 非は、私達にあります でもね、もしあの時「すみませんねえ、二人と聞いていたから、2席しか用意はありませんよ。4人であれば、2階のテーブルの席に行ってもらうしかないです。・・・え?お年寄りですか?いやー、事情はわかるけど申し訳ない。このカウンターの2席は、予約でとってある席でね。カウンターで4席ってのは無理なんですよ。」と言ってくださったら、きっと空気は違っていたことでしょう

 そのお寿司屋さんから、ほんのワンブロック先のお家に住んでいるお年寄りとは、お店の方は顔を合わせることはないのかな・・・一人暮らしのお年寄りでは、お寿司屋さんの常連客にはなり得ないから、大事には出来ないのかな・・・
 疑問はいっぱい残りました

 私達がお店を出る時には、カウンター席には2人の外国人客も座り、お寿司を食べていましたし、外に出ると、並んで待っている人達もいました。観光客に人気の、グルメサイトでも評価の高い有名店ですからね。お土産までいただけて。

 いただいたお箸、二膳・・・ 
何だか、本当にいろんなことを考えてしまう出来事でした。今週末も、きっと金沢や能登は、観光客で賑わうのでしょうね

 
コメント
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