まどか先生の「ママ達のおやつ」

ママの笑顔は、我が子が幸せであるためのママ・マジック。ママが笑顔であるために、この「おやつ」が役立つことを願っています!

自慢の子ども

2013年02月21日 | う゛う゛ー
  その日、想像以上に地下鉄は混雑していました。
ホームで私の前を歩いていた親子は、きっと私同様、もっと空いた電車をイメージしていたに違いありません。
 4、5歳の男の子とお母さん。乗り込んですぐ、混雑を気にして、ママは子どもに声をかけます。
 「すぐだからね。長い間、乗るんじゃないから。えーっと・・・1、2、3、あったあった、4つ目の駅だから。」
 そんな声が聞こえました。ママ自身も、その路線には不慣れなようでした。すぐに男の子の声が聞こえました。
 「大丈夫、電車好きだから。4つ・・・4個ね。」
 「そうそう、4つ目!」

 私はその会話を微笑ましく聞いていました 確かに、その混雑ぶりでは、背の低い男の子は、人と人との間に埋もれてしまっていたでしょう。必死にスペースを空け、我が子のために頑張るママの姿を想像しました。
 一つ目の駅が過ぎても、ほとんど状態は変わりませんでした。ママの声・・・
 「我慢してね。今、一つ過ぎたから、あと3つだからね。」
すると、すかさず男の子が返しました。
 「違うよ、ママ。3つじゃないよ。1つだよ。今、1個、駅が終わったの。今度は2個目の駅。ママ、わかんないのお?」

 私は、なるほどな・・・と、この噛み合わない会話を聞きました。
おわかりでしょうか?二人の問題は「言葉の問題」なのですね。
 この男の子は、1、2、3、4、と数は理解しています。順番は理解できているのですね 1つ目、2つ目・・・という言い方もわかるようでした。
 でも、ママが最初から語ったのは「あと○個」という言い方。二人が降りる駅は、乗車駅から4つ目の駅のようですから、1個駅がすぎれば、「あと3個、3つ」です。これが、ママが言っていること、です。
 しかし、この男の子は、「あと○個」という言葉が理解できなかったのです

 たぶん、もっと余裕のある状況であれば、ママはきっと話の食い違いの原因を推察し、気づかれたことと思います けれど、混雑した電車の中で、子どもの様子を気遣い、早く目的の駅に着けばいいなあと感じながらの時間。なぜ話しが食い違うのか?をしっかりと考えるだけの余裕はありません。ママは、我が子が「間違ったことを言った」ということだけに意識が集中したのでしょう。

 最初は、ママは子どもの言葉を無視しようとしていた様子でしたが・・・子どものほうが何度も、
 「ねえママ、3個じゃないよ、2個だよ。ねえ、ママ聞いてる?」
としつこく繰り返すので、ママは仕方なく
 「4個、乗らないといけなかったでしょう。1個済んだから、あと3個でしょ」と再度言いました。
 またまた、この意味のわからない子どもは、 
 「違うでしょ。次は2つ目。ママは間違ってるよ。もう、わかった?ママはわかんないの」と応酬。

 混雑はしているものの、ほとんど会話の聞こえない車内では、親子の声がよく聞こえました。
男の子は、とても賢い子どもだと思います それは、ホームを歩いている時、たまたまその親子の後ろを歩いていた私には、想像できました。
 手をつなぎ、黄色い線の内側を話しながら歩く母と子。ママは、子どものほうに顔を向けて何かを話すと、男の子もママを見上げて笑顔で応えています。
 私は、この親子は会話も多く、ママは我が息子を一生懸命に「賢い子に育てるため」に、日頃からたくさんの言葉かけをしているのだろうな、と思いました。それは、電車に乗ったとたん、「4個、乗るからね」とわざわざ「数」を使って話したことからもうかがえました。ママは、きっとしっかりと話し、ものをよく考える息子が自慢だったかもしれませんね・・・

 私は仕事がら、すぐに二人の会話の「食い違いの原因」がわかりましたが、何となく会話を耳にしているだけでは、男の子がママの言っていることが理解できず、それにも関わらず、母親を馬鹿にするような言葉を吐き、間違った勝手な数の持論を展開している・・・そんなふうに聞こえたでしょう
 いえ、もしかしたら誰も会話の内容などには気にも留めずにいたかもしれません。ただただ、「話しが噛み合わない、数に関して間違ったことを言っている我が子」にママは焦り、「うちの子がおバカちゃんだと思われているかもしれない!」と一人で小さなパニックになり始めたようでした

 二つ目の駅が過ぎました。混雑の中、親子の会話に耳を傾け、いろいろと考えていた私には、駅と駅との感覚が、ものすごく長く感じられました。きっとそのママにとってもそうだったでしょうねえ・・・
 「2つの駅が過ぎたから、あともうちょっと。もうおしゃべりしないで、静かにしてなさい」とママ。
  「ママ、何怒ってんの?ぼくはね、数を数えたんだよ。ママ、ぼくね・・・」
 「静かにしなさい

 町に出ると、あっちにも、こっちにも、「どうです、うちの子は賢いでしょ」と無言で語っているたくさんの親を目にします。見栄ってありますよね。よくよくわかります 子育て中は、私にもありましたよ
 でも、実際にそれを外から眺めていると、ちょっと恥ずかしく感じたり、いやらしく感じたりするものです。本人が、それに気づけないのは残念ですが・・・

 子どもが小さな頃から、夫や子どものことではなく、「自分のこと」で秘かに自慢できるような「自分磨き」を心がけておきませんか 子どもの手が離れた時、自慢できるのは夫や我が子だけだった・・・では、あまりにも悲しいですものね・・・



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「痛い」「辛い」ということ | トップ | プチギフト、素敵です! »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

う゛う゛ー」カテゴリの最新記事