ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその212-海街ダイアリー

2016年02月19日 | 邦画
淡々と描く、姉妹の絆。

姉妹。
世の中には様々な姉妹の形がある。仲の良い姉妹、関係のギスギスした姉妹、様々である。
私は兄弟がいないので、その人間的な間柄は想像できない。
しかし、仲の良い兄弟を見ると、つくづく羨ましく思う。
兄弟ならずとも、人間関係は良いのに越したことはない。
だが、兄弟も結婚し、それぞれの家庭を持つと、その関係に変化が現れるものだ。
本日紹介する映画は「海街ダイアリー」
腹違いの妹を含む四姉妹の物語である。
ストーリーを紹介しておこう。

鎌倉に住む三姉妹。幸、佳乃、千佳は十数年前に父親が愛人と駆け落ち、母も郷里に帰り両親がいない環境で暮らしている。
幸はナース、佳乃は銀行員、千佳はスポーツ店にとそれぞれ職に就いている。
ある日父親の訃報を幸が知る。
三姉妹は揃って父親の葬儀に参列する。
そこで腹違いの妹すずと出会う。
父を亡くした彼女は、身寄りのない状態に置かれていることを三姉妹は知る。
そこで幸は「鎌倉に来て一緒に暮らそう」とすずに提案する。
すずは快く幸の提案を受け入れ、鎌倉に住むことにする。
そして喪が明けた後、すずは三姉妹の住む鎌倉の家へ引越してくるのだが......

この映画には特別なイヴェントは無い。
正確に言えば、イヴェントはあるのだが、物語としては実に平坦に作ってある。
そこが良い。何も無い日常を実に上手く捕らえている。
特に長女、幸を演じた「綾瀬はるか」は気丈な役をうまくこなしている。
長女、幸はならぬ恋に悩み、やがて一人の女性として、また長女として精神的に成長を見せる。
その姿は、母性さえ感じさせるものだ。
三姉妹と、腹違いの妹すず。すずも徐々に三姉妹に打ち解け、心を開くようになってくる。
だが、どこか影のある部分もすずには見え隠れする。
この「すず」を演じた、広瀬すずが良い。難しい役どころをしっかりこなしている。
そしてこの映画全体を包む「空気」が良い。
前述したとおり、何も無い淡々とした物語である。それが非常に心地よい。
一見きれいごとに思えるストーリーであるが、それで良いのだ。何を無理して、人間関係の複雑さ等、描く必用は無い。
このような映画が有っても、私は良いと考える方だ。
じんわり、心に染み入る作品である。
都会の喧騒、疲れた時は、是非この作品を観ることをお勧めする。

2015年、日本製作、カラー、126分、監督:是枝裕和