マックンのメモ日記

気になったニュースや関心事などをピックアップ。
今チワワのプッチという犬を飼っています。
可愛いですよ。

記事のタイトルを入力してください(必須)

2016-06-29 11:14:42 | 政治(国内・海外)
米フロリダ州オーランドで起きた銃乱射事件の数週間前、オマル・マティーン容疑者は防弾チョッキを購入しようと銃販売店に立ち寄ったそうです。警察の拳銃の弾を止める能力を持つ防弾チョッキです。しかし、その店はそうした商品を扱っていませんでした。

 マティーン容疑者がもしネット通販を利用していたなら、拳銃の弾丸だけでなく、特殊火器戦術部隊(SWAT)の狙撃手が撃った弾丸も止められる防弾チョッキを簡単に入手できたでしょう。また、防弾チョッキを貫通するライフル用の弾薬でさえも、自宅の玄関先まで運んでもらえていたかもしれません。その際、同容疑者は質問を受けることも、本格的な身元調査を受けることもなかったでしょう。

 オーランドの事件を受けて、攻撃用銃器の禁止や、特定の種類の銃の入手をこれまでより難しくするよう求める声が改めて高まっています。だがしかし、防弾チョッキに関しては、犯人の制止をより困難にさせ得るにもかかわらず、規制が比較的緩いままです。警察などの法執行当局や一部のメーカーは、防弾装備がますます犯罪者の手に渡るようになるだろうとの懸念を抱いています。

 カリフォルニア州保安官協会の法制担当者コリー・サルジロ氏は、「民間人がなぜ、軍事用の防弾チョッキを必要とするのか明確ではありません。われわれは軍事レベルの装備を必要とするような環境で生活していない」と述べています。同協会は、連邦議会で現在検討されている民間人への防弾チョッキ販売禁止法案を支持しています。

 米司法省のアルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)の報道官によると、防弾装備について連邦政府が設けている唯一の規制は、凶悪犯罪などの重罪を犯した者は購入および所有できないというものです。ただし、販売の時点でそれを取り締まる仕組みはありません。大きな制限のある州はコネティカット州のみです。同州は対面販売を義務付け、通信販売を不可としています。

 マティーン容疑者は、フロリダ州ジェンセンビーチの銃販売店「ロータス・ガンワークス」で、大量の弾薬とともに防弾チョッキの購入を試みました。この店は、以前は防弾チョッキを扱っていましたが、何年か前に販売を中止していました。また、店のオーナーのロビー・アベル氏によると、この店は同容疑者への弾薬の販売も拒否しました。同容疑者があやしい人物に見えたからだといいます。

 わずか数年前まで、防弾チョッキは事実上の隙間(ニッチ)市場の商品で、軍や警察などの専門職に就いていなければ入手は困難でした。しかし最近、小さなメーカーや販売業者が相次いで市場に参入し、熱心なファンに装備を売り始めたのです。このファンは最近増えており、その中には、いわゆる「プレッパー(「備える人」の意。戦争など非常事態に備えて食糧や、武器・弾薬を備蓄している人々)」も含まれる。彼らはいつか政府が打倒され、自衛を迫られる日がやって来ると信じている人々です。

 防弾チョッキに関して地方および連邦政府が出している統計はほとんどなく、規制されていない市場での売り上げを特定するのは困難です。テキサス州にある緊急時出動係官向け研修施設「高等法執行緊急時出動訓練センター」の調査によると、2000年から12年までに同センターの調査官が特定した銃撃犯110人のうち5%が防弾チョッキを着用していました。

 インターネットで防弾装備を販売する「ターゲット・マン」の創業者で、最近この会社を売却した元海兵隊員のジェレミー・テッパー氏によると、同氏のウェブサイトから装備を購入する場合、購入者は重罪で有罪判決を受けた記録がないことを確認する必要がありました。

 同氏は同社売却以前に実施したインタビューで、「われわれのウェブサイトで何かを購入する際には、四角にチェックを入れる必要がありますが、それには何の意味もありません。誰だってうそがつける」と話していました。

 防弾チョッキ販売会社「ブレットセーフ」のオーナーであるトム・ナードン氏によると、オーランドで銃乱射事件が起きた翌日、同社サイトへのトラフィックは通常の2倍を記録したそうです。しかし、同氏は同社の製品がマティーン容疑者のような犯人と対峙(たいじ)する可能性のある警備員向けだと話しています。

 ナードン氏は、この市場に参入したのは、防弾チョッキへの関心が近年高まっていることに気付いたためでした。防弾チョッキへの関心が高まっている理由の1つには、比較的最近の連邦政府の取り組みがある。防弾チョッキの費用を法執行当局が一部負担するという取り組みです。

 同氏は、基本的なチョッキでさえ1000ドル(約10万5000円)もかかることを知り、中国製のチョッキを299ドルで販売する会社を約3年前に立ち上げました。これは主に警備員、消防署員、救急医療技術者などを対象にした製品です。

 同氏は「安全装備は自由に入手できるようにすべきだ」と述べています。ブレットセーフは消防署員や野犬捕獲員などに対し、1カ月で約700着のチョッキを販売しています。同氏によると、身元調査は必要ないそうです。火器を購入する際にすでに必要とされているケースが多いからだといいます。

 より大手のメーカーの中には、防弾チョッキの入手が極めて簡単にできることに反対し、民間人への販売を拒否している会社もあります。ポイント・ブランク・エンタープライゼズのマイケル・フォアマン上級副社長は、「われわれには、防弾着が確実に犯罪に使われないようにする義務があると考えている」と述べています。同社は軍、法執行当局や認可を持つ専門職の人々にかなりの量の防弾装備を販売していると言います。(ソースWSJ)