マックンのメモ日記

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米海軍の新世代兵器「レールガン」の驚異!

2016-06-07 21:00:02 | 政治(国内・海外)
米海軍の極秘施設にあるコンクリートの掩蔽壕(えんぺいごう)に警報が鳴り響いた。そこでは米軍のエンジニアたちが、ほぼ防御不能な武器の発射実験準備を整えていた。

 関係者らは恐るべき威力を持つ新型の超大砲を一目見ようと、ビデオモニターの前に集まった。この大砲から発射された約11.3キログラムの自走ミサイルは7枚のスチール製プレートを突き抜け、最終目標に約13センチメートルの穴を残すことができるのです。

 「レールガン(超電磁砲)」と呼ばれるこの武器には火薬も爆発物も必要ありません。電気伝導体のレールに挟まれた硬い発射体を驚異的なスピードまで加速させるのです。レールガンの推進者によると、これはまだ戦場における隕石(いんせき)ほどの威力を持つ一つの兵器にすぎないが、いつかは軍事戦略に採用され、武器開発を進めるロシアと中国に対する米国の優位性を維持するといいます。

 従来の機関砲では、弾丸の推進力は火薬に火が付いた瞬間から衰え始める。レールガンの発射体は約10メートルの砲身の中を加速しながら進み、砲口を出る時のスピードは時速7240キロ、秒速1.6キロほどに達します。

 海軍は敵の艦船に穴をあけ、戦車を破壊し、テロリストのキャンプを壊滅させる潜在的な攻撃兵器としてレールガンを開発してきました。米国防総省の幹部が注目しているこの兵器システムは、恐らく10年以内に、現在のミサイル防衛システムよりも低コストで、大量に敵のミサイルを空中で撃破できるだろうと期待されています。

 米軍が直面する総合的な課題は、海軍の艦船や陸上部隊の数が減少する中でも世界規模の軍事力を維持することです。防衛費が拡大する一方で予算は固定されており、侵略を思いとどまらせるのに十分な軍事力を適切な場所に維持することが一段と困難になりつつあります。

 レールガンの推進者の1人であるロバート・ワーク国防副長官は「冷戦時代のような部隊を欧州に復元する未来は想像できない。だが、低コストだが絶大な抑止効果が期待できるレールガンなら想定できる。レールガンは軍用機やミサイル、戦車など、ほぼ全ての標的に対して威力を発揮するだろう」と述べています。

 レールガンの後部からは何重ものワイヤが出ていますが、これには1万8750世帯の電力を賄うのに十分な25メガワットの電力が必要とされています。

レールガンの仕組み

1秒間に10発を発射させるパルス電力を供給するには25メガワットの発電装置と大規模な蓄電設備が必要です。

 レールガンが戦場に配備されるまでには多くの技術的障害が残されています。また、政策立案者が地政学的な問題を慎重に検討する必要もあります。中国とロシアはレールガンを含む米国のミサイル防衛能力の進歩が世界の軍事バランスを崩すと見ています。レールガンによって中ロが保有するミサイル兵器の効果が無に帰してしまうからです。

 米海軍は10年前にレールガンの開発に着手し、5億ドル(約560億円)以上の資金をつぎ込んできました。国防総省の戦略戦力整備室(SCO)もレールガンの防御能力を高めると同時に、既存の機関砲を使ってレールガンのハイテクミサイルを発射させることに8億ドルを追加投入しました。これはSCOのプロジェクトに投入された資金の中で最も大きい割合です。

 関係者の一部は、この技術があまりにも重視され、多大なリソースが割かれてきたことに懸念を表明しています。ただ、防衛関係者の1人は「こちらの方が良い仕事をする」と話しています。

 火薬を使った兵器では射程距離と正確さに限界があるため、第2次世界大戦以降、機関砲の役割は小さくなっていきました。冷戦時代にはミサイルとジェット戦闘機の役割が大きくなり、海軍は大砲を使った戦闘を縮小せざるを得なくなりました。ただ、レールガンと新たに開発された発射体が艦船の新世代の幕開けになる可能性が出てきたのです。

 現在、海軍が使用している6インチ(1インチ=約2.54センチメートル)砲の有効射程は24キロメートルほどです。予備役に回された第2次大戦時代の艦船に搭載された16インチ砲は約38.6キロメートルの有効射程を持ち、厚さ30センチほどのコンクリートを貫通できました。それに対し、レールガンの有効射程は約200キロメートル、威力は従来型の5倍に達すると、関係者は話しています。

レールガン発射のメカニズム

電気伝導体レールに逆方向の電流を流すことで、レールガンの発射体は約10メートルの砲身の中を加速しながら進み、砲口を出る時のスピードは時速7240キロに達します。

「スター・ウォーズ」の続編

 レーガン元大統領の「戦略防衛構想(通称スター・ウォーズ)」でも、核ミサイルを撃ち落とすためレールガンの使用が検討されたことがありました。しかし、その計画は1980年代までに技術的に行き詰まったのです。問題の一つは、1発撃つたびに砲身と電気伝導体レールを交換しなければならないことでした。

 現在、海軍が描いている計画では、1つの砲身で1秒間に10発を発射でき、それを1000回続ける能力を持つことになるのです。

 レールガンにはスピードだけでなく、収容能力の点でも優位性があります。通常、米海軍の駆逐艦には最大96発のミサイルを搭載できます。ただ、レールガンを装備した艦船なら1000発のミサイルを運ぶことが潜在的に可能となります。このため長時間にわたって素早く発射を繰り返し、敵が発射したミサイルを撃ち落としたり敵軍を攻撃できたりするのです。

 大国間の武力紛争が起こる可能性はまだ低いように見えます。ただ、冷戦後初めて、米国防総省は中国およびロシアとの緊張の高まりがどのような反応を引き起こすかについて、再び注視し始めました。

 米軍の戦略担当者は、ロシアからバルト諸国を防衛し、南シナ海で中国から同盟国を守る必要に迫られれば、レールガンが有効になるだろうと述べています。

 ロシアと中国は、それぞれの地域から米国の影響力を排除できるミサイルシステムに資金をつぎ込んでいます。一方、関係者によると、レールガンをベースにしたミサイル防衛システムなら海軍や地上部隊を守ることができ、ロシアや中国の国境近くまで米軍を展開するのが容易になるといいます。(ソースWSJ)