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英国国教会、年10%近いリターン出す投資術!

2016-06-15 09:42:11 | 経済・金融・投資
英国国教会の歴史はローマ帝国から宗教改革への流れをくんでいます。最高統治者は英国の女王で、現在でも毎週百万人ほどが欠かさず礼拝のため教会を訪れています。

 一方、英国国教会は市場を打ち負かす「投資ファンドの聖地」でもあります。

 英国国教会の財務委員会は約70億ポンド(約1兆円)の教会資産を基金を通じて運用して、この資産は教区支援から布教活動の援助まで、教会の運営費用を賄うのに役立てられています。基金は昨年8.2%のリターンを上げ、過去30年のリターンは年平均で9.7%に達します。基金は年間インフレ率を最低でも5ポイント上回る運用成績を目標としています。過去30年の年間インフレ率は3.4%でした。

 大部分の投資家は基金ほど忍耐強くはなれません。ただ、その成功は何らかの教訓となる可能性がありまうs。

超長期投資

 基金を率いるアンドレアス・ウィッタム・スミス氏によると、この基金は永続的な教会への献金を原資としているため、超長期的な視点を持つことができます。例えば、英国国教会が地方に保有する不動産の一部は、数百年前からの所有物です。ウィッタム・スミス氏は「他の投資家には不可能だが、私たち(教会)にはできることがある。他の投資家は安定的なリターンを得る必要があり、永遠に待つことなどできない」と述べています。

 基金のパフォーマンスから得られる教訓の一つは、投資を検討する際には公開株以外にも目を向けるということです。

 ウィッタム・スミス氏によると、基金はかねてから証券市場に上場している株式へのエクスポージャーを減らそうとしてきました。こうした動きは最近加速しており、基金は3月に国内外株式ポートフォリオの資産2億5000万ポンドを売却しました。ウィッタム・スミス氏は世界経済について、急激に勢いを失い、政府の対応能力にも限界がくるだろうとして、厳しい見方を示しました。

 「長年続けてきた投資戦略のポイントは、(株式)市場への依存度をゆっくり、慎重に減らすことです。流動性リスクを高めてしまうため、持ち高を急に削減することはできません。そこに限界があるのは明確です。ただ、それは資産の分散を続けるという意味で役に立つ」と。

 公開株へのエクスポージャーを減らす一方、基金は未公開株投資(PE)マネジャーを通じた投資を増やしたほか、森林などの非流動資産を取得してきました。これらは昨年に好調なパフォーマンスを上げ、PEマネジャーのリターンは20.0%に達したそうです。

 ウィッタム・スミス氏は、流動性の低さを恐れる投資家が多いと指摘しています。しかし、保有資産を異なる投資先に分散すればリスクを低く抑えられます。同氏は「最悪なのは流動性の低い資産を保有しすぎることだ。それぞれの非流動資産の組み入れ比率が2~3%ほどであれば管理しやすくなる」と説明しました。

 全ての投資家が大手ファンドや慈善団体と同じ規模で流動性の低い資産に投資できるわけではありません。ただ、同氏が投資家にとりわけ強調したい点は、投資を委託するマネジャー全員についてできる限り掘り下げた調査を行うことの大切さです。ウィッタム・スミス氏によると、同氏の部下で投資ディレクターを務めるトム・ジョイ氏は「運用会社が教会のポートフォリオに組み入れる個別銘柄の調査にかけるのと同じ位の時間を、委託する運用会社の吟味、調査、監視にかけている」と話しました。

 また、英国国教会は倫理的に正しい投資を優先させています。教会は、宗教団体か非宗教団体かにかかわらず、「社会責任投資」を重視しているのです。

 宗教団体の基金と同様に、投資家はキリスト教やイスラム教など特定の信仰を重視するファンドに投資することができます。アプローチとパフォーマンスはさまざまですが、ここで繰り返されるのは倫理的・社会的に責任ある投資にコミットすることです。

倫理を重視した投資方針

 OIPインベストメント・トラストと英国国教会の財務委員会は軍事やポルノなどに関連する分野への投資を避けています。OIPインベストメントは200以上のローマカトリック団体が保有する長期資産を管理しているのです。

 ただ、両者はより積極的なアプローチで倫理的な投資を行う場合があります。つまり、何らかの企業方針に同意できなくてもその銘柄を直ちに売るのではなく、その企業の方向性を変更させるよう働きかけることがあるのです。

 財務委員会は昨年、「気候変動」というテーマを投資方針に取り入れ、全売上高に占める石炭販売の割合が10%以上を占める企業とオイルサンドから原油を抽出している企業をポートフォリオから外しました。ただ、石炭の売上比率が10%に近いある企業については株式を売却せず、関与を続ける道を選びました。それは今後の事業における石炭の役割を確認するためだったのです。

 とはいえ、英ハーグリーブズ・ランズダウンのパッシブ運用マネジャー、アダム・レアド氏は、倫理基準だけがビジネスの成功を意味するわけではなく、投資家は利益から目をそらすべきではないと指摘しています。同氏は「最終的には利益を上げることが主目標になることが多い。倫理(的な側面)は考慮すべき重要なポイントだが、あくまでその(利益を上げるという)フレームワークの枠内にあることは明らかだ」と述べました。(ソースWSJ)

史上最大の手数料、サウジアラムコIPO狂想曲!

2016-06-15 09:40:26 | 経済・金融・投資
投資銀行がからむ取引案件の中には数年に一度、あるいは一世代に一度あるかないかの大規模な金額のものがまれにあります。しかし、ウォール街がサウジアラビアの砂漠に見ている案件は、一世代に一度どころではない、とてつもない規模の取引になりそうです。

 その案件とは、サウジ国営石油会社サウジアラムコが予定している新規株式公開(IPO)だ。サウジアラムコは実質、あらゆる指標で地球上最大規模の企業の1つです。サウジ政府は、サウジアラムコの企業価値は2兆〜3兆ドル(約214兆〜321兆円)になる可能性があるとしています。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、これは世界の他の上場石油・ガス会社全ての市場価値を合計した金額のほぼ半分に相当します。

銀行幹部がダーラン詣で

 このIPOの引受手数料は10億ドルになる可能性があり、世界有数の金融機関の幹部がこぞってサウジ湾岸の都市ダーランにあるサウジアラムコ本社につめかけています。IPOの手続きに詳しい関係者によると、中にはアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)やハリド・ファリハ会長に面会しようと何時間も待ったあげく、会えるのはもっと下位の幹部だと告げられた人たちもいるそうです。

 サウジアラムコの社屋の1つで最近ナセル氏と面会した銀行関係者によると、同氏はサウジの経済改革がいかに有望であるかをとうとうと語ったといいます。その上で、IPOで役割を得るためには、石油依存型経済からの脱却に向けた大規模インフラプロジェクトへの融資を検討するよう明確に促しました。

 こうした厳しい審査を経た後には大きな見返りが待っています。サウジ政府はサウジアラムコ株について、最大5%の上場や海外の複数の取引所での上場の可能性を示唆しています。5%上場された場合、調達額は1500億ドルに上る可能性があり、これは、中国の電子商取引大手、阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)が2014年に行ったIPOの調達額250億ドルという史上最高額をもはるかに上回ります。引き受け幹事になれば評判上のメリットも相当大きくなる可能性があります。

銀行がそろえる「強打者」

 経営コンサルティング会社マッキンゼーの元コンサルタントで、現在は米ペンシルバニア大学ウォートン校で経営者教育部門の責任者を務めるデービッド・ウェッセルズ氏は「契約を勝ち取った銀行は、エネルギー市場であらゆる種類の取引に関して極めて大きな信任を得ることになる」とした上で、「銀行はこの件に関して社内の『強打者』をそろえるだろう」と述べています。

 調査会社ディールロジックによると、引き受け幹事の手数料は通常、100億ドルを超える取引の場合、その約2%です。国営企業のIPOの手数料はもっと低いことが多く、アラムコは厳しい交渉を仕掛けてくることが予想されます。この案件に詳しい関係者によると、たとえ手数料が1%未満だとしても、最高10億ドルになる可能性があります。

 事情に詳しい関係者によると、現在のところ、サウジアラムコのIPOやサウジ政府の「国家変革計画(NTP)」、それに関連した2020年までに非石油収入を3倍以上に増やすプロジェクトに直接関わる仕事を手掛けた銀行やコンサルタント、弁護士はごく一部に限られています。銀行関係では、サウジとの関係が80年も前にさかのぼるJPモルガン・チェース、以前シティグループに勤めており、サウジ政府からIPO手続きの指南を任されている独立契約者のマイケル・クライン氏です。このほか、マッキンゼーやボストン・コンサルティング・グループのコンサルタント、ホワイト・アンド・ケース法律事務所の弁護士が関わっています。

 しかし、大鉱脈を追い求める上では多くのリスクも伴います。それら全ての株式を吸い上げられるだけの投資家からの十分な需要があるとは限らないからです。特に、サウジ政府は秘密主義で知られるため、当局者が十分な情報を開示しなかった場合はそうなる可能性があります。また関係者の一人は、サウジアラムコが最終的にIPOの規模を縮小し、サウジの取引所で比較的控え目な上場をするにとどまる可能性もあると話しています。

 いずれにしても、推定2610億バレルとされるサウジアラムコが確保している石油埋蔵量を株主が直接保有することはないでしょう。それよりも、他の国営石油会社と同じく、上場株式には長期採取権が付与されるとみられます。

 サウジ政府は、石油産業への依存軽減を目指す広範なプランの一環として、経済多様化に向けた資金を調達するためIPOを進めていて、今週、石油依存型経済からの脱却に向けた計画の概要も発表しています。

 事情に詳しい関係者によると、サウジは同国初となる国際市場での起債も準備しており、早ければ7月にも実施され、調達額は最大150億ドルになる可能性があり、その主幹事はIPOの幹事契約を獲得する上で有利になる可能性が高いといいます。

主幹事の最有力候補は?

 銀行各社は、サウジアラムコがIPOにどのような資産が含まれるかについて詳しい情報を提供し、夏には引き受け幹事を選定するとみています。事情に詳しい関係者によると、幹事は十数社になるようですが、主幹事は6社またはそれ以下になる可能性があります。

 関係者によると、主幹事の座を獲得すると広くみられているのがJPモルガンです。ディールロジックによると、JPモルガンはサウジアラムコの主力取引銀行であり、同社の融資のほぼ全てに関わっています。サウジ国内では「王国の銀行」として知られ、ここ数カ月もサウジ政府への100億ドルの融資の組成で主要な役割を果たしています。両者の関係は1930年代にまでさかのぼり、JPモルガンの前身であるモルガン・ギャランティー・トラストが米石油会社のサウジでの事業立ち上げと強化を支援したことがきっかけです。

 事情に詳しい関係者によると、JPモルガンのジェームズ・ダイモン最高経営責任者(CEO)は昨年後半以降サウジを訪れていませんが、政府高官と別の場所で定期的に会ったり、電話で話したりしています。また、JPモルガンの法人・投資銀行部門を率いるダニエル・ピント氏や投資銀行部門トップのカルロス・ヘルナンデス氏が定期的にサウジを訪問し、IPOやその他プロジェクトについてサウジアラムコの関係者や政府当局者と話し合っているといいます。

 シティグループ、ドイツ銀行、HSBCホールディングスは、2015年にサウジアラムコが確保した100億ドルの回転信用枠の設定に大規模銀行団の一員として関わりました。HSBC中東担当CEOのモハマド・トゥワイジリ氏が最近、サウジの経済企画省の副大臣に任命されたことから、HSBCに再びビジネスチャンスが与えられる可能性があります。

 中東でさまざまなプロジェクトに携わった銀行関係者は、1月にサウジアラムコのIPO計画が最初に報じられた際、懐疑的でした。サウジは過去にも石油市場の低迷時に石油依存からの脱却に乗り出したことがありますが、相場が回復するいつもそうした取り組みを断念していたからです。

 IPOは少なくとも1年は先になる可能性が高く、実際に行われる保証もありません。それでも、ウォール街の銀行はその機会を逃すまいと必死です。

 ウォートン校のウェッセルズ氏は「銀行はこのビジネスのニーズに応じようと、あらゆる手を尽くすだろう」と述べました。(ソースWSJ)