マックンのメモ日記

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米国の陰る威信で宇宙開発の勢力図が変わり、日本も財政難で脱落か?

2011-07-17 21:44:37 | 宇宙・サイエンス・科学技術
30年の歴史に幕を下ろしスペースシャトルの歴史が終わり、宇宙ステーションの有人飛行は当面ソユーズ頼みになってしまいました。それでもオオバマ大統領は火星への有人飛行を計画していますが財政難のためそれも危うくなっています。こうした間隙をぬうかのように台頭しているのが中国です。宇宙開発の勢力図が変わるかもしれないのです。その中にあって日本の宇宙開発も独自開発を標榜していますが、そこには米国と同じように財政難と言う壁が立ちはだかっているのです。ロシアもソ連時代に宇宙開発の財源がなくなり、打ち上げもままならないほどでしたが、ここに来て復活してきています。

今後は米国の宇宙開発は低軌道への輸送は民間に任せるようにし、NASAは火星など非常に遠い深宇宙への有人探査を担うようになるのですが、技術開発や資金面での課題が多いようです。ブッシュ前大統領のときの月への有人飛行の再挑戦を撤回し、オバマ大統領は2030年代半ばの火星軌道への有人飛行を掲げたのです。NASAは火星や小惑星への探査へ「深宇宙用の有人宇宙船と新たな大型ロケットという2つの重要な要素を追及していく」と意気込んでいます。ただNASAの年間予算は約190億ドル(約1兆5000億円)なのでこれをオバマ大統領は5年間で60億ドル増額する方針ですが、火星などの深宇宙への有人探査ともなると新技術の開発が不可欠で、その上20年強も先の話で、月への再飛行とは比べ物にならないくらい遠いし、費用もかかります。何と言っても財政難のこの時期、議会がこれを認めるかどうかは疑問です。

一方、国際宇宙ステーションへの物資や飛行士の輸送は基本的に民間企業に担わせ、打ち上げなどの費用の抑制を目指す予定です。昨年12月には著名な企業家のイーロン・マスク氏が率いるスペースX社が、民間企業として初めて大気圏に再突入する宇宙船の飛行に成功しています。こうした取り組みがうまくいくかどうかは分かりませんが、民間への移行が順調に進んだとしても米国製のロケットと宇宙船で飛行士を宇宙ステーションに送り届けられるのは早くても数年後と見られているのです。この間は、飛行士の輸送はロシアのソユーズに頼ることになり友人宇宙探査で米国の影響力が弱まるのは避けられないと言います。

そんなわけで、米スペースシャトルの引退で宇宙ステーションを往復する唯一の有人宇宙船保有国としてロシアの存在感が高まることは必死です。この機会にロシアは年内にも新たなロケット打ち上げ基地に着工し、「宇宙大国」としての地位を固めるつもりです。ロシア連邦宇宙局は極東アムール州政府との間でボストーチヌイ基地建設に関する合意をしたそうで、約1兆2000億円近い総工費を投じ2015年の稼動を目指すそうです。と言うのもソユーズを打ち上げる隣国のカザフスタンバイコヌール宇宙基地など他国の基地の依存を減らし、ロシアの宇宙ロケットの半分近くを同基地で発射したいとの意向なのです。そして有人宇宙船を2019年までに打ち上げ繰り返し利用可能な宇宙船の開発も行う予定だそうです。メドベージェフ大統領は宇宙開発を最重要課題の一つに掲げており、1990年代、財政難で一時停滞した宇宙開発を再び米国に追いつけ追い越せということで国家の威信を取り戻そうとしているのです。

さらに中国も年内に宇宙ステーションの打ち上げを計画するなど追い上げに懸命になっています。今年後半に宇宙ステーション「天宮1号」を打ち上げるほか、月面基地や火星探査にも動き出しています。中国独自の宇宙ステーション計画は天宮1号に続き、宇宙船の神舟8号を打ち上げ、ドッキングテストをするそうです。そして12年には神舟9号と10号を打ち上げ宇宙基地の基礎を築く予定だそうです。16年までに実験室を打ち上げて中規模実験の環境を整え、20年前後には実験モジュールを打ち上げる計画です。宇宙開発での成功は国威発揚や軍事的優位にも直結するとあって、中ロ両国は米国への対抗色を強めています。

わが日本はと言うと、スペースシャトルの引退で有人宇宙開発は転機を迎えることになってしまいました。ISS(国際宇宙ステーション)へ向う手段は当面ロシアのソユーズのみとなってしまい、20年にわたりシャトルに依存してきた有人宇宙開発はシャトル後の展望を早急に打ち出す必要に迫られています。ISSへのソユーズだけに依存することへの懸念もあり、「複数の国・地域が打ち上げ能力を持つべきだ」と日本独自の有人宇宙船に意欲を示しています。ただ日本は2009年までに日本人飛行士を月面に送り込む有人宇宙開発構想をまとめていますが、米国と歩調を合わせて計画していたため、米国の計画頓挫により日本の計画そのものも宙に浮いてしまった格好になってしまいました。かと言って、日本単独では有人宇宙開発に乗りだすには財政力が落ちており難しく、提言はまとめても予算面での制約で具体的な計画は白紙状態です。金の切れ目が縁の切れ目になってしまった感じで、無計画な借金への依存がこんなところにも影響を及ぼし始めているのです。ここで宇宙開発力が滞れば、もはや日本の宇宙開発力は衰え、中国に追いつく事さえできなくなってしまうでしょう。