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工作台の休日

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旅は食堂車とともに イタリア編 つづき

2019年12月14日 | 鉄道・鉄道模型
 前回お話ししたように、フランスからイタリアへの移動で夜行列車を使い、食堂車で食事を楽しんだことがありました。前回は2000年の話でしたが、今回は2002年、2004年の話です。
 2002年の夏の終わり、私はパリで美術館めぐりを楽しみ、その後ローマ行きの列車に乗るため、パリ・ベルシー駅に向かうことにしました。パリ・ベルシー駅というのはパリ・リヨン駅の近くにある、もともとはカートレインなどの発着駅でした。以前私にオロ61の塗装を依頼した沿線在住ベテランモデラー氏は書籍などを通して欧州の列車事情に通じておりますので、ベルシーなんて珍しいところから出発するんだねえ、と驚いていました。パリ・ベルシー駅はリヨン駅に比べたら規模も小さく、一応待合室などもありましたが居心地が悪く、私は早々に発車番線に向かい、列車の入線とともにローマ行きユーロナイト「パラティーノ」に乗りこみました。パラティーノというのはローマの建国伝説にも出てくるローマ市内の丘の名前です。
 私が乗車したのは「エクセルシオール」という豪華な一等寝台車でした。各室に狭いながらシャワー、トイレを持ち、二人用個室と一人用個室がありました。寝台車の方に気を取られたのか、食堂車のメニューについては旅の日記に記載がありません。この時の食堂車は前回のような革張りの立派な椅子ではなく、四人掛けテーブルが通路を挟んで並んでおり、椅子は乗客が座っていないときは座面が跳ね上がるタイプでした。テーブルを囲んでいたのはパリからローマに帰るイタリア人男性の二人組、ローマで週末を過ごす一人旅のフランス人男性、そして私ということで、フランス人はイタリア語を、イタリア人はフランス語を解さないようで、なんとも会話が弾まない食卓でした。ところが、列車が大きく揺れてイタリア人二人組が頼んだ葡萄酒の瓶が倒れました。ほとんど飲み終わった後だったのですが、それでも残ったお酒がテーブルクロスを赤く染めました。私はイタリア語で思わず「葡萄酒の海だ~」と言ったので他の三人も笑い出し、ちょっとだけ食卓の会話が盛り上がりました。
 この時は寝台車のサービススタッフ(ワゴン・リ)の方と、後は終点ローマまでという1時間くらいの間で、日本とイタリアの夜行列車事情を中心に話をしました。日本にはどこからどこまで行く夜行列車があるのか?時間はどれくらいかかるのか、料金はいくらぐらいかかるのか?といった質問が出た覚えがあります。冬季五輪の開催地として、一定の世代以上の方は「札幌」という地名を知っているので、東京から札幌方向に向かう夜行列車にはスタッフ氏も興味津々のようでした。なお、ワゴン・リのスタッフは実質2人でエクセルシオールクラスと他の一等寝台2輛の計3輛分の旅客の面倒を見ており、なかなか大変な乗務だなあと思いました。エクセルシオールクラスの車輛には車端部にコーヒーマシンもあり、朝食用のコーヒーもここで用意されていたようです。

 その二年後、今度はパリ・ベルシー駅からヴェネツィア行きの「リアルト」に再び乗車しています。ちなみにリアルトというのはヴェネツィアの大運河にかかる有名な橋とその周辺の地区のことです。中世には経済の中心地として、現代のウォール街のような活気だったそうです。このときは食堂車でペンネのトマトソース、蒸した七面鳥の胸肉・レモン添え、ナスの炒め物とゆでたジャガイモ、ガトーショコラという夕食を楽しみました。値段は34ユーロ(当時のレートで4,500円くらい)だったと日記にあります。ナスの炒め物はイタリアでは温野菜料理でよく出てきます。スライスしたナスをただオリーブオイルで炒めただけなので味もあまりついていないのですが、私も残さずいただきました。また、デザートに関しては日本の方が美味しく感じられました。もちろん、イタリアにも郷土色豊かなケーキあり、なんといっても美味しいジェラートありと日本で食べるよりも美味しいものはあるのですが・・・。

 食堂車を昼間に利用したのは5年後の2009年でした。「ユーロスターイタリア」と呼ばれるETR500形の編成です。ETR500形はスポーツカーなどでおなじみピニンファリーナのデザインです。
 イタリアでは昼食でも食堂車でフルコースが供されるといった話を聞いておりましたが、ちょうどお昼時だし、もし昼にコース料理が出てきたら夕食を減らしてもいいから食べてみるか、と思い食堂車に向かってみました。この「昼にフルコース」というところに、イタリアのお国柄が出ています。都市部ではさすがに昼は簡単に済ませる、というのが一般的ですが、かつては昼は家に帰って家族揃って食べるという習慣があり、昼を正餐としていたのです。今でも農村では昼は自宅で家族と食べるという映像を見たことがありますし、休日のお昼は都市部でも家族が揃ってパスタやメインの肉料理をたらふく食べるということがあるようです。
 食堂車の話に戻りますが、昼間の列車では特に予約等も不要で、空いた席に座ってメニューを眺めていたところ、メニューには「昨今の顧客の好みの変化と、健康志向の高まりによって料理をフルコースで提供するだけでなく、コースの中から料理を選ぶこともできます」と書いてありました。私はパスタとデザートを選ぶことにしました。パスタはリガトーニと言って大きめのショートパスタ(矛盾した言い方ですが)で、これにトマトソースがかかっていました。デザートはここでもガトーショコラでした。イタリアは車窓の風景が美しいところが多いので、また食事と風景を楽しめることができたら、と思います。

 食堂車以外にも、ヨーロッパの高速列車ではクラス、時間帯によってはシートサービスで食事が提供されることがあります。英仏海峡のユーロスターやパリからベルギーに向かうタリスでは、機内食のように座席で食事が提供されました。近年ではヨーロッパ内の飛行機の移動では機内食が出ることはないので、こういうサービス(味もなかなかのものでした)はありがたいです。現代欧州の高速列車については、実際に乗車する経験もありましたので、好きな列車がいくつかあり、Nゲージで模型を持っているものもあります。
 食堂車の話も個人的な経験をあれこれ書いてまいりました。ここに書ききれなかった話や模型の話も近日中にできたらと思っています。
 
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