先ごろ、F1ドライバーの角田裕毅が、所属するVCARBチームからレッドブルに移籍、間近に迫った日本グランプリのタイミングだったことから、話題になりました。会社の方からうちの家族まで、その意味するところが何か、ということ聞かれていますので、今日はそのことを書いていきます。
角田は2021年にF1デビューしましたが、ホンダとレッドブルの支援を受けてのデビューということで、レッドブルの弟分のチームであるアルファタウリでデビューします。そこから4シーズン、現チーム名のVCARBになってもこのチームで走っています。昨年末、レッドブルのシートの一つに空きが出て、チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンのチームメイトが誰になるかが話題を呼びました。通例ですとレッドブルの弟分であるVCARBから選ばれる可能性は高く、このときにチームは角田のチームメイトだったリアム・ローソンを選びます。この時に角田より経験の浅いローソンを何故?という意見が日本のファンを中心に起きていました。しかし、今シーズン「昇格」したローソンは序盤2戦で結果が振るわず、急遽角田と交代となりました。
前年のチャンピオンと日本人がチームメイトになる、というのは初めてではなく、1988年に前年王者のピケと中嶋がロータスで組んでいますが、この場合はウィリアムズからピケが移籍したという事情があり、今回のようにチャンピオンのいるチームに日本人が移籍、というケースは初めてです。ならば今年の角田は「勝てる」チームに入って大躍進、と言いたいところですが、今年のレッドブルは開幕以降やや苦戦しています。開幕2戦だけの結果でどうこう言えませんが、マクラーレンが優位にシーズンをスタートさせており、メルセデス、レッドブル、フェラーリの順で後を追う展開になっています。レッドブルとしてもシーズンを通じて角田に対しては予選では10位以内、決勝ではもっと前へ、エースのフェルスタッペンに何かあればライバルを抑える働きも必要となりましょう。既にVCARBでは予選順位で10位以内に入っていますので、マシンの状況次第ならこれも可能でしょう。決勝でのマネージメントというところでもレッドブルは上手ですので、鈴鹿でいきなり表彰台、というのは難しくても、マシンに慣れ、シーズンが進みマシンを仕上げることが叶えば表彰台争いにも、と期待したいところです。
考えたくないところではありますが、レッドブルは速く走れないドライバーに対しては即交代、というところがあり、これまで何人ものドライバーが途中交代といった憂き目に遭っています。角田に対してはホンダの一層の支援があったから、などと噂されていますし、レッドブルとの関係が今年で切れるのに、ここでホンダの支援を受けたドライバーを乗せるというのはレッドブルとしても相当な決断だったのでしょう。シーズンを通じて「移籍が成功だった」と言われることを祈っています。もっとも、レッドブルから「降格」された後でガスリーのように優勝したドライバーもいますし、ローソンは日本でのレース経験もあります。ローソンが健闘することも祈っております。
とはいえ、冷静な評論家ぶった言説はここまで。やはりトップチームに日本選手が乗り、日本グランプリを走ると言うのは理屈抜きに楽しみです。レッドブルは白と赤を基調にした昔のホンダF1を意識した特別カラーで参戦、また、他のチームでも日本を意識したカラーリングで臨むチームもあるようです。私も一人のファンとして、この週末を楽しみたいです。