鈴鹿サーキットで開催される予定でしたF1日本GPが今年も中止になりました。ファンの一部は鈴鹿に集まったり、今季限りの撤退が伝えられるホンダの叶わなかった「鈴鹿ラストラン」の代わりに、同日に代替開催されたトルコGPのためにレッドブルチームが日の丸カラーでレースに臨んだりと、話題の多い週末となりました。
以前もご紹介しましたが、F1マシンの模型なども(下手なりに)作る私ですが、今日はマシンが出てこないF1の情景を模型で作りました、という話です。と言いましてもこちらを作ったのは15年位前のことで、最近レストアをしております。

全景はこんな感じです。1/150、1/160の人形、自動車を使っています。というわけで以前ご紹介した日産パルサーのレース前の様子と同じスケールになります。左にブリヂストンのトラック、右にフジテレビの中継車ということで、F1が行われているサーキット内のパドック裏、というイメージです。レースウィークのうち、フリー走行に費やされ、まだお客さんも少なく、土日の緊張感に包まれる前の金曜日、二回目のフリー走行が終わった後のひとこまということで「FRIDAY 15:30」というタイトルがついています。
このジオラマを作った時にはブリヂストンもF1タイヤのサプライヤーでしたし、フジテレビは地上波で中継を行っていました。実際にサプライヤーのトラックと中継車が隣になることはないでしょうが、レースが行われていることを示すために分かりやすい配置としたわけです。
このジオラマ、作ったときに次のことに気をつけました。ベースが真四角ですので、あえてそれを活かし、四つのどの方向から見てもいろいろなドラマが垣間見えるようにしています。
正面をもう少し細かく見てみましょう。

中央に赤いレーシングスーツのドライバーと黄緑のレーシングスーツのドライバーがいて、トラックに片手をつき、二人といるのはブリヂストンのエンジニアでしょうか。
反対側から見るとこのような感じです。

赤いスーツは当時最も強かった「皇帝」M.シューマッハをイメージしています。この三人は既製品を塗り替えています。
・エンジニア「今日のタイヤはどうでしたか?」
・赤「シミュレーションどおりだったね。明日の予選に向けていいデータが取れたよ。明日が楽しみだ。」
・黄緑「もうちょっと行けたと思うんだけど、あいにく黄旗が出てタイムが伸びなかったんだ。あれがなければベストはコンマ2秒くらい縮められたと思うよ」
・赤「おいおい、それじゃ俺のタイムに追いついちゃうな。明日は気を付けないと」
・エンジニア「明日は少し気温が下がるからタイムの伸びも変わってくるかもしれないですね・・・」
黄緑のレーシングスーツのドライバーのモデルはいないのですが、あのパルサーでデビューしたプライベーターのその後の姿かもしれません。今や「赤い皇帝」が一目置く存在になっています。カメラマンたちも格好の被写体が現れたとばかりに撮っていますね。
ドライバーたちの手前側、青い二人の男たちはコースマーシャルです。F1のフリー走行中のクラッシュの対応に追われていました。軽トラックに竹ぼうきをたくさん乗せて他のマーシャル達に配っていたようです。

男A「あのクラッシュ、大事に至らなくて良かったっすね」
男B「みんな無事で何よりだったし、救護と後片づけがスムーズにできたから中断時間も短くて良かったよ。さあ、持ち場に戻ろうぜ。」
男A「あと30分でF3の予選か。早く戻らないと。あっ、こんなところにF1ドライバーみっけ」
その二人の奥、ジャケット姿の男は取材に来ている作者自身ということにしておきましょうか。三日間さまざまな光景を目にし、耳にしながら作品を作っていきます。
ブリヂストンのトラックの反対側にはジャーナリストと某チームのメカニックがいて、こっそり何かを聞き出しています。


ジャーナリスト「さっきのクラッシュの原因って何だったの?きみのチームの監督はマシントラブルだって言ってたみたいだけど」
メカニック「あれ、本当はドライバーのミスだよ。ここのコース初めてだからさ、監督も珍しく変な気をきかせたみたいだね。」
ジャーナリスト「そうじゃないかと思ったよ」
メカニック「今のは内緒だぞ。昔みたいにオフレコ話もできないんだよ、最近のF1って」

反対側はパドック内の案内や注意書きが出ている看板です。これは鈴鹿サーキットのスタンドから偶然撮った看板の写真をコピーして切り出しています。水色のチームシャツの男が出てきました。

どうやら自由時間ができて、お土産を買いに行くようです。以前は鈴鹿サーキットと併設の遊園地の売店エリアに本格的なミニカーショップがあり、某チームのスタッフらと入場制限されたお店の前で並んで待ったものです。
男ばかりのジオラマですが、女性も二人います。

えんじ色のシャツの女性は某チームの広報で、携帯電話片手に何か話しています。
「・・・そうそう、明日の予選の後、16:30から15分間、地元のテレビ局のインタビューがあるわよ。ちょっと前に話をつけてきたから。この国で名前を覚えてもらういいチャンスだと思ってね。それから、知っていると思うけどここの局のレポーターは突っ込みが鋭いから気をつけなさいよ・・・」
もう一人の女性は奥に歩いていく感じですが、どんな人なのでしょうか。やはりカメラの視線の先が気になっているようです。
そしてもう一人、パドックエリアを歩いていく身なりのよい紳士がいます。

「みんな私のことをグランプリの名誉総裁などという肩書をつけて呼んでいるけど、私も一人のレース好きなのです。さて、そろそろみんな落ち着いたころだから、各チームの陣中見舞いとまいりますか・・・」
いかがでしたか。レーシングカーが出てこないサーキットの週末、登場人物たちが織り成す人間模様の一端を楽しんでいただけましたでしょうか。
このジオラマ、いつものように御徒町のYFS様で展示中です。場所を用意してくださって、いつもありがとうございます。他のクリエイター様の作品も必見ですので、ぜひご覧になってください。
以前もご紹介しましたが、F1マシンの模型なども(下手なりに)作る私ですが、今日はマシンが出てこないF1の情景を模型で作りました、という話です。と言いましてもこちらを作ったのは15年位前のことで、最近レストアをしております。

全景はこんな感じです。1/150、1/160の人形、自動車を使っています。というわけで以前ご紹介した日産パルサーのレース前の様子と同じスケールになります。左にブリヂストンのトラック、右にフジテレビの中継車ということで、F1が行われているサーキット内のパドック裏、というイメージです。レースウィークのうち、フリー走行に費やされ、まだお客さんも少なく、土日の緊張感に包まれる前の金曜日、二回目のフリー走行が終わった後のひとこまということで「FRIDAY 15:30」というタイトルがついています。
このジオラマを作った時にはブリヂストンもF1タイヤのサプライヤーでしたし、フジテレビは地上波で中継を行っていました。実際にサプライヤーのトラックと中継車が隣になることはないでしょうが、レースが行われていることを示すために分かりやすい配置としたわけです。
このジオラマ、作ったときに次のことに気をつけました。ベースが真四角ですので、あえてそれを活かし、四つのどの方向から見てもいろいろなドラマが垣間見えるようにしています。
正面をもう少し細かく見てみましょう。

中央に赤いレーシングスーツのドライバーと黄緑のレーシングスーツのドライバーがいて、トラックに片手をつき、二人といるのはブリヂストンのエンジニアでしょうか。
反対側から見るとこのような感じです。

赤いスーツは当時最も強かった「皇帝」M.シューマッハをイメージしています。この三人は既製品を塗り替えています。
・エンジニア「今日のタイヤはどうでしたか?」
・赤「シミュレーションどおりだったね。明日の予選に向けていいデータが取れたよ。明日が楽しみだ。」
・黄緑「もうちょっと行けたと思うんだけど、あいにく黄旗が出てタイムが伸びなかったんだ。あれがなければベストはコンマ2秒くらい縮められたと思うよ」
・赤「おいおい、それじゃ俺のタイムに追いついちゃうな。明日は気を付けないと」
・エンジニア「明日は少し気温が下がるからタイムの伸びも変わってくるかもしれないですね・・・」
黄緑のレーシングスーツのドライバーのモデルはいないのですが、あのパルサーでデビューしたプライベーターのその後の姿かもしれません。今や「赤い皇帝」が一目置く存在になっています。カメラマンたちも格好の被写体が現れたとばかりに撮っていますね。
ドライバーたちの手前側、青い二人の男たちはコースマーシャルです。F1のフリー走行中のクラッシュの対応に追われていました。軽トラックに竹ぼうきをたくさん乗せて他のマーシャル達に配っていたようです。

男A「あのクラッシュ、大事に至らなくて良かったっすね」
男B「みんな無事で何よりだったし、救護と後片づけがスムーズにできたから中断時間も短くて良かったよ。さあ、持ち場に戻ろうぜ。」
男A「あと30分でF3の予選か。早く戻らないと。あっ、こんなところにF1ドライバーみっけ」
その二人の奥、ジャケット姿の男は取材に来ている作者自身ということにしておきましょうか。三日間さまざまな光景を目にし、耳にしながら作品を作っていきます。
ブリヂストンのトラックの反対側にはジャーナリストと某チームのメカニックがいて、こっそり何かを聞き出しています。


ジャーナリスト「さっきのクラッシュの原因って何だったの?きみのチームの監督はマシントラブルだって言ってたみたいだけど」
メカニック「あれ、本当はドライバーのミスだよ。ここのコース初めてだからさ、監督も珍しく変な気をきかせたみたいだね。」
ジャーナリスト「そうじゃないかと思ったよ」
メカニック「今のは内緒だぞ。昔みたいにオフレコ話もできないんだよ、最近のF1って」

反対側はパドック内の案内や注意書きが出ている看板です。これは鈴鹿サーキットのスタンドから偶然撮った看板の写真をコピーして切り出しています。水色のチームシャツの男が出てきました。

どうやら自由時間ができて、お土産を買いに行くようです。以前は鈴鹿サーキットと併設の遊園地の売店エリアに本格的なミニカーショップがあり、某チームのスタッフらと入場制限されたお店の前で並んで待ったものです。
男ばかりのジオラマですが、女性も二人います。

えんじ色のシャツの女性は某チームの広報で、携帯電話片手に何か話しています。
「・・・そうそう、明日の予選の後、16:30から15分間、地元のテレビ局のインタビューがあるわよ。ちょっと前に話をつけてきたから。この国で名前を覚えてもらういいチャンスだと思ってね。それから、知っていると思うけどここの局のレポーターは突っ込みが鋭いから気をつけなさいよ・・・」
もう一人の女性は奥に歩いていく感じですが、どんな人なのでしょうか。やはりカメラの視線の先が気になっているようです。
そしてもう一人、パドックエリアを歩いていく身なりのよい紳士がいます。

「みんな私のことをグランプリの名誉総裁などという肩書をつけて呼んでいるけど、私も一人のレース好きなのです。さて、そろそろみんな落ち着いたころだから、各チームの陣中見舞いとまいりますか・・・」
いかがでしたか。レーシングカーが出てこないサーキットの週末、登場人物たちが織り成す人間模様の一端を楽しんでいただけましたでしょうか。
このジオラマ、いつものように御徒町のYFS様で展示中です。場所を用意してくださって、いつもありがとうございます。他のクリエイター様の作品も必見ですので、ぜひご覧になってください。