工作台の休日

模型のこと、乗り物のこと、ときどきほかのことも。

オロ61を作った話

2019年08月05日 | 鉄道・鉄道模型
 俺は都会の片隅のベランダで、勝手気ままに塗装をするベランダーだ。梅雨が明けたら、容赦なく猛暑が襲ってきた・・・ってこれでは某深夜ドラマのオープニングですね。
 私のように塗装(特に吹き付け)環境が特段恵まれているわけではないモデラーにとっては、換気と両立させながらの塗装となると、ベランダを活用することになるわけですが、この暑さでは陽が高いうちはなかなか作業にかかれず、夕方の数時間(それでも30℃はある)が勝負となってしまいます。そうは言っても梅雨の時期にはなかなか作業もはかどらなかったわけで、太陽の出ている時間を大切に使わなくては。

 前置きはこのあたりにして、今回はグリーンマックス(GM)の板状キットを塗装したお話です。
 私はたまにですが、沿線在住のベテランモデラーから模型の塗装を依頼されることがございます。ちょうど梅雨入りした頃ですが「GMのキットからオロ61を作ったので塗装をお願いしたい。塗装はぶどう色2号で・・・」ということで組みあがって塗装を待つだけのオロ61を手渡されました。オロ61というのは今さら説明するまでもありませんが、オハ61を種車に作られた1等座席車であり、冷房改造を経てスロ62となりました。スロ62は完成品も発売されておりますが、オロ61については最近カトーが製品化するまでは、キット等から再現する必要がありました。ただ、実物とは逆にキット化されているスロ62の屋根と妻板を他の旧型客車のものと取り換えればできてしまうので、改造のうちにも入らないような工作です。今回手元にやってきたオロ61もそんな1輛ですが、だいぶ苦戦されて組み上げた感じです。GMの昔の板状キットはきっちり、かっちり組めるものではないので(昔のキットは概してそんなものですが)、位置決めを自分で考えたりしないと変なところで隙間が出たり、ずれが生じたりします。
 他人が作ったものを見ているうちに、私自身で作ってみたらどうなるか試してみたくなりました。私もスロ62に手持ちの旧型客車のキットと屋根を組み合わせてみました。GMの板状キットの組み方としては、妻板と側板をL字型に組み、それを組み合わせてその上に屋根をかぶせるというのがセオリーだったかと思います。私は側板の左右に妻板を接着し、コの字型に組んだあと、屋根を接着し、最後にもう一枚の側板をはめこむという組み立て方を取っています。これは以前「国際鉄道模型コンベンション」の「クリニック」で教えていただいた方法です。組みあがった車体は、屋根、車体の接着面の裏側から瞬間接着剤を流し込んで強度を保つようにしています。私の腕で他人の模型と比較するのは野暮ですが、これはこれで悪くなさそうです。
 
 塗装にかかる前には、1000番のサーフェーサーを軽く吹いておきます。これで細かな傷やヒケなどが消えますので、このひと手間は大切です。
 車体の塗装ですが、まずは淡緑色の帯からです。この帯色はそのものずばりの製品がなく、皆様さまざまな色を使われていますが、私はMr.カラーで発売されている「みるきぃぱすてる」の「ミントグリーン」という色にしてみました。ご存知の方も多いと思いますが、「みるきぃぱすてる」はパステル系カラーをグリーン、レッド、ブルーの各バージョン4色ずつでセットしたものです。なかなか珍しい色が揃っています。1950年代の自動車のボディカラーとか、スキー板、スポーツウェアのワンポイントなどにこういった色が使わていますので、アニメキャラの女の子の描かれた箱絵で「スケールモデルには関係ないかな」と思われがちですが、スケールモデルの世界でも使い道はありそうです。
 本題に戻りますが、この「ミントグリーン」という色、かなり明るく鮮やかですので、少し使い込まれた車体にするのであれば、ライトグレーをほんの少し混ぜることで落ち着かせるということもできるでしょう。

 帯の部分に1ミリ幅のマスキングテープでマスクした後、車体はGMカラーのぶどう色2号をそのまま吹き付けました。屋根ですが、依頼を受けた方はMr.カラー116番・RLMブラックグレーで塗装しました。かなり暗い、黒に近いグレーです。これで屋根とベンチレーターに関しては多少うまくできていなかったとしても目立たなくなります。私が組んだ方はMr.カラー305番・グレーFS36118です。先日ブログでも紹介したF16の迷彩色のうちの一色です。
 ようやく車体が塗りあがりましたが、この形式はアルミサッシのため、窓枠を銀色に塗ってあげる必要があります。失敗しても修正がきくということもあって、タミヤカラー・エナメルで塗っていきました。はみ出したところを拭き、また色を差し、ということで2輛分を仕上げるのは相当難儀しました。まだ窓の大きな車輛だから許されますが、これが小窓の並ぶスハ44だったら大変だろうなと思ってしまいます。
 私が頼まれたのは窓ガラスを貼るところまで、ということで2輛のオロ61ができました。私が組んだ方も引き取ってもらえるということで、もうすぐ2輛のオロ61が旅立っていきます。

(上が依頼のあった車体、下は筆者が組んだもの)
 
 今回は梅雨の間の貴重な晴れ間を使って塗装しました。他にもぶどう色2号つながりでいくつかの車輛に塗装をしていますので、次回はその話をしましょう。


やれやれ、今回は大変だった、とわが工房の職人たちも言っています。

 


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