かぶとん 江戸・東京の歴史散歩&池上本門寺

池上本門寺をベースに江戸の歴史・文化の学びと都内散策をしています。

池・玉

2014-01-05 | 池上本門寺の歴史

 池とは池上本門寺のことであり、玉とは玉澤妙法華寺のことである。その慶びとは、兩山の間に蟠る、三百數十年來の懸案が、一擧に解決したことである。
 玉澤に在るべき、註法華經 (宗祖より開山日昭聖人に御遺品として御與へになったもの) の一半が池上に、池上に在るべき兄弟鈔 (宗祖より池上本門寺開基檀越池上宗仲公兄弟に御與へになった御書) が玉澤にあることの不可解が氷解したのである。
 遡れば文祿年中の頃池上第十二代佛乘院日惺上人の弟子、聖芸院日苞上人は、玉澤第十代傳燈院日南上人 (上杉管領憲政の子) の付弟となられて、五十歳にして第十四代玉澤貫主となられた。時に惺師より、玉澤寶物の拜閲を乞はれて、之に應じたのが事の起こりで、註經の三、五、七、八及び結經の五巻が池上に止まり、兄弟鈔が玉澤に蔵され、て今日に至った。そして伊豆下狩野村を流れる大見川の日苞ヶ淵は、永遠に事の經緯を語る悲しき史跡となったのである。然るに偶々今回池上宗仲公の後裔池上幸健氏が、兩山の間に立ちて斡旋功を奏し、兩山當局も寶物の交換を快諾し、去る昭和十六年十月二十三日池上本門寺祖師堂に於いて、酒井管長猊下導師の下に嚴粛荘重なる交換の法要が營まれ、その手續き完了するに至ったのである。誠に宗門の慶事であると謂うべきである。

  胸像「池上家三十代 池上幸健氏」 碑文



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