love

神奈川県の西部にある「小さな町」で暮らす私777>日々の生活の様子、見たこと、感じたこと、思ったことを綴っていきます。

「北斗 ある殺人者の回心」・・・読書感想文です。

2024-09-29 | 本と雑誌
物語がすごく重くて・・・、最初は読了できるかと心配しましたが・・・読後感は大満足~♪

    「北斗 ある殺人者の回心」  石田 衣良 著
         

両親から激しい虐待を受けて育った少年・北斗。
(この虐待場面の描写が、「えぇっ・・・、まさか・・・、ひどい!」と物語であっても絶句・・・途中で読むのを止めようと思うほどです)

誰にも愛されず、抱きしめてもらったこともない、誰かを愛することも知らない彼。
高校生の時に父親が亡くなったことをきっかけに、母親からの要求におびえるのです。(母親も夫から暴力を受けていて、自分を守るために息子の北斗に虐待を与えていたのですが、その暴力がないと生きられない日々になっていました。夫の亡きあとは、その暴力を北斗から受けたいと、画策するのです)

北斗は、そんな母親から逃げたいと、自ら児童養護施設に助けを求めます。
そこで、里親の綾子を紹介され引き取られます。
綾子は、北斗を慈しみたくさんの愛を持って育ててくれていました。
(人間不信の北斗は、綾子の愛を確かめるために、わざと悪ぶったり困らせたりするのですが、そんな方法が可愛い~苦笑)

人世で初めての安らぎの中で日々を送る北斗は、難しい大学入学試験も合格し、明るい未来に向けての日々がスタ一トした時、綾子に癌が見つかります。
その綾子を何としても助けたいと、「癌に効く水」というインチキな品を売りつける詐欺にあいます。

綾子の死後、心の支えを失った北斗は、その詐欺の首謀者を殺すべく暴走を始めます・・・。
が、北斗が殺したのは首謀者でなく、たまたま居合わせた従業員二人でした。

彼は裁判員裁判にかけられます。
5日間の裁判の中で、北斗の心の動き、被害者家族の想い、母親の証人弁論、国選弁護士の熱い気持ち、綾子の元で同じ里子になっていた女性の愛情・・・、北斗の閉ざされた心を開けるのは誰か・・・。

「回心」という文字の意味が、最後に理解できました。
判決を言い渡される日、裁判長が「被告人、言っておきたいことがあればいいなさい。特別に許可をします」という言葉・・・、北斗への愛を感じました。
言い渡された判決・・、ほっとしました。

石田氏の本、もっと読みたくなりました。
読書に疲れた今日の「おやつ」は~、
        
「バナナクレ一プ ブルーベリーソースかけ」~♪
ダイエットは忘れています~きゃはははは