loisirs

日々、小さな楽しみを見つけて・・・

本「夏空白花」

2021-01-05 | 

「夏空白花」   須賀しのぶ 著

これは第二次世界大戦終戦後

すぐのお話しです

1945年8月15日終戦を迎えた翌日

朝日新聞記者の神住匡に

全国中等学校優勝野球大会を復活させたいという話が持ち込まれます

ところが

敵国のスポーツであった野球は

勿論戦時中は中止されていたわけで

指導者もいなく

用具もありません

更に

グラウンドは畑と化していたりして

それには

沢山問題がありました

 

アメリカGHQに接収されてしまった

甲子園などの球場

神住はグラウンドの使用許可をとるべく

GHQにかけあったり

用具を求めて奔走したりします

彼も又

戦前は球児だったのです

GHQで知り合ったエヴァンス中佐に

日米の交流試合を申し込み

野球の好きなESS局長マーカットに

日本の野球を認めさせたのでした

そして

マーカットのお蔭で

1年後

全国中等学校優勝野球大会が再開される運びとなり

神住はその光景を眺められる事となるのでした。

 

私は

ぎりぎり戦後生まれで

自分生誕のころのこの話が

何か身近に感じられて

とても興味深く読んでしまいました。

今でも続いている

高校野球大会

昨年はなんと

戦争でもなんでもなく

ウイルスという小さな生物に寄って

開催出来ずでした

それを考えると

やはり

このコロナは

日本の人々にとって

世界中の人間にとっての

確かに

戦争と言える様な気がいたしました。

 

 

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クレヨンハウス

2020-12-12 | 

先日青山へ行った時に寄ったクレヨンハウス

素敵な本を見つけました

「キツネと星」という絵本

装丁の良さと

絵の美しさに惹かれて

即刻レジへ

しかも

空を眺めるのが大好きな私には打って付けです。

 

 

 

 

装丁の良さは

それもそのはず

いつぞや買った

あの

若菜晃子さんの

「街と山のあいだ」の

アノ二マ・スタジオの物でした

 

 

 

そして

こちらは写真集

世界の人々の笑顔が届けられています。

笑顔って

眺めていると

すぐ自分も笑顔になりませんか?

 

私は素朴な

ちょっとはにかんだ笑顔が大好きです。

心温まる写真集

こちらも即決

素晴らしい本に出会えて

幸せを感じて帰って来ました

 

 

 

 

 

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本 「銀閣の人」

2020-11-29 | 

「銀閣の人」   門井 慶喜 著

200年の歴史が灰になった。

から始まるこの本

足利家の時代

治国で負けても文事で勝つ

の義政のお話しです

父は義教

祖父が義満です。

その義満が時々鳥となって義政の眼前に現れます

義政は一番強い将軍と言われた

この祖父

義満を嫌っていました。

そして

義政は義満の建てた金閣寺に対して

銀閣寺を建てる事に一生を捧げます

それに寄って

文事で勝つを実現したかったからです。

人が人に勝つ

勝利そのものが目的ではなく

人に言う事を聞かせられる

これが政り事の巨利であるとの考えから。

 

この

政事をしない夫の代わりに

政事に長けた妻

女将軍と呼ばれた富子が采配を奮います。

ところが

その子供

義政の代わり将軍としてたてた

子供義尚を

あまりに甘やかして育てた結果

彼はお酒に溺れて人生を失います。

 

銀閣完成後

義政が亡くなり

やがて

足利の時代は終わりに近づき

本格的に

乱世となっていくのです。

 

しかし

義政の

銀閣完成に寄って

本当の「侘び」「寂」が成され

それは江戸時代の茶の湯などに

大きな影響を与えて

生きるのです。

因みに銀閣は銀で非ず。

屋根は杮葺き

壁は黒い板張りです。

 

ある意味

これって民主主義の初めみたいな気がしますが

皮肉にも

この方の死後は乱世になるのですね。

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本 「スパイのの妻」

2020-11-25 | 

「スパイの妻」   行成 薫 著

「前編」2020

八重子が年老いた事で

老人賃貸マンションへ引っ越す事に決め

親から引き継いだ自宅を手放す為

引っ越し片付けの場面。

手伝っていた長男の喜久雄が

古いフィルムを見つけ出しました。

戦時中

八重子の母はスパイの妻と呼ばれていたのです

 

1940年 夏

八重子の母聡子の時代

この本での主な登場人物

夫優作の姉の息子

竹下文雄

聡子を相手に

優作がフィルムを作成しております

そしてもう一人の登場人物

河森泰治

泰治は聡子の幼馴染で

その時期は

横須賀憲兵分隊の憲兵でした

 

夫優作は商社の様な仕事をしていました

ある時

仕事で満州へ泰治と共に行き

そこで

草壁弘子と知り合ったことにより

スパイとしての疑いを背負う道へ

転がり落ちていくのでした。

そして聡子も。

 

最終章

「後編」  2020

喜久雄が映写機を使って

映し出した中で

母八重子の

カメラに向かって動く唇

「自由」

普段あまり笑う事もない母でしたが

「自由に生きなさい」

それが唯一の

母の教えでした

フィルムに流れた母の姿

映像から

聡子は

母にもこんな笑えるほどの幸せな時代があった

という事を知り

嬉しくもあり

寂しくもありの

二つの相反する感情が湧きます

 

映写機は丁寧に外箱に収められ

部屋の隅に置かれました。

これから移ろうとしている新居に

映写機を持って行こうかと

考え始めていた聡子でした

 

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本 「はかりきれない 世界の単位」

2020-11-09 | 

「はかりきれない 世界の単位」   米澤 敬 著   日下明 イラスト

あなたの知らない

世にもおかしな世界の測り方

だそうで

色々な測定を

どの様な単位を使って表していたかを取り上げた絵本です。

中には

アラウトゥンという

マヤ文明の最も長い日にちの単位なんていう

23,040,000,000日

気の遠くなりそうな単位や

ギャラクシーという単位の説明で

1パーセクは約3.26光年

なんていう

想像できない単位のお話しもあります。

でも比較的身近というか

わかりやすい物が多く

鯨尺なるもの

これは和裁に使われていた物指で

婆の私には慣れ親しんだものでした

私が子供の頃

母が着物を縫う時に使っていたものです

私自身は使いませんでしたが

はっきりとその物指を覚えています

可笑しいのが

リークシャー

虱の卵1個分の重さだそうです。

インドで使われていた単位だそうで

卵の重さは0.7mgなのだそうです。

虱の卵が70万個頭についていたら

私の体重は1㎏増えるって事?(笑)

 

昔は

往々にして

人が歩いた歩幅

とか

トナカイ等動物が目視出来る距離を単位にしたり

動物の声を聞き分けられる距離を単位にしたり

身近な物で単位を作っていたものが多い様です

 

そういえば

日本地図を描いた方

伊能忠敬さんも

歩幅測量だったのですよね。

 

中々興味ろい本です

絵本のイラストも

優しい色で癒されます

 

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本 「イニュニック」(生命)

2020-11-08 | 

「イニュニック」(生命)   星野道夫 著

大分昔に一度読んだ本です。

何日か前

テレビで星野道夫さんの息子さんが

アラスカ

お父様の足跡を辿って

旅された時の番組をやっていました。

それを観て

もう一度きちんと読んでみたくなって

本箱から取り出して

再び手に取ったものです

 

私の様な婆に言われては

有難くもなんともない事ですが

登山家 植村直巳さんと

この星野道夫さんは

私の人生での心の恋人

一生涯愛していきたい方なのです。

 

「イニュニック」は

夢に見ていたアラスカで住む事

それを

たまたま友人に薦められて

土地を買い家を建てて

本格的に住み始めた

初めの3年間の事が描かれています。

最後の解説

柳田邦男さんの

「言葉の発見者としての星野道夫」

彼の本全てを語っていると思います。

これを読めば

彼が

どれだけ純粋な心を持った人か

どれだけ真摯にアラスカを知ろうとしているか

どれだけその場にぴったりの言葉で表現出来得る人物か

わかってしまいます。

特別の言葉を使っているわけでないのに

その時その場の情景が

きちんと瞼の中に感じられるのです。

そして

彼の気持ちが胸に伝わってくるのです。

この方の本には

昔の人々の言い伝えが時々出てきますが

友人キャサリンが

ブルーベリーの細かい実を取るのが面倒になって

枝ごと折っておばあさんに持って行った時に言われたという言葉

「ブルーベリーの枝を折ってはいけないよ。

 おまえの運が悪くなるから」

やってはならないタブーがあり

その約束を守ることは自分の運を持ち続けることなのだ。

とい文章。

なんでもない昔の人が良く言った様な言葉です。

でも

こういうことが

最近は殆ど無くなっている様な気がします。

なんでも

ネットで調べれば教えてくれる

知識はあちこちに散らばっている

便利ですが

それは単に知識であって

心に響くものではないのです。

・・・と私は思います。

こういう文章が

引用だけでなく

沢山綴られているのです。

それは

星野さんが純粋に信じる言葉であって

文章に表したから

読んでいる人間にも

しっかり響いてくるものではないかと思うのです。

 

惜しくもこの方

カムチャッカで

あんなに愛してやまなかった熊に遭遇して亡くなっております。

「おれも このまま 草原をかけ

 おまえの からだに ふれてみたい

 けれども おれと おまえは はなれている

 はるかな星のように 遠く はなれている」

彼の写真集

草むらに伏して首をもたげた母熊と

その背に乗った赤ちゃん熊を

至近距離で捉えた彼の写真に添えられた言葉だそうです。

その近くて遠い

近寄りがたい相手に襲われた彼は

その時なんと思ったのか

彼の言葉を教えて欲しい想いがしています。

 

200頁ほどの文庫ですが

500頁

いえ

それよりももっとのページ数を持つ本ほどの重みを

読み終わった今

感じています。

 

 

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本 「やがて 訪れる 春のために」

2020-10-28 | 
 「やがて 訪れる 春のために」     はらだ みずき 著
 
「花屋で花を買う機会は今までどういう訳か訪れなかった村上真芽。
その真芽が初めて足を踏み入れた駅前の花屋。
花屋の前で足を止めたのは
自分の心が
身体が
そして記憶が花を求めていたのだ」 
から始まる文章。
花屋の前で足を止めたのは
会社に退職願いを提出したその日でした。
そこで買ったミニサボテンが
部屋の窓辺に置かれた7か月後
祖母の村上ハルが入院したとの知らせが届きます。
そこから真芽の人生が大きく変わっていきます。
道で転んで大腿骨骨折。
入院したハルは
病院でアルツハイマーとの診断を受けます。
真芽は
ハルをなんとかハルの家に
ハルの庭に
もう一度帰らせてあげたいと思い
花が大好きなハルの為に
寂びれ
枯れ果て
荒れた庭を蘇らせる努力を始めます。
又、
真芽が子供の頃から夢見ていた
カフェ作ることをその庭で実現させるのでした。
病院を度々訪れハルと接している間に
認知症とは
その時に接している人や場所に寄って
症状が変わっていくものではないだろうか。
と気づいていくのでした。
 
認知症
ワタクシ婆にとっては
身につまされる話です。
願わくば
認知症にもならず
自分の事は自分でして
寝たきりにもならず
食べたいものを食べられる
人からも見放されず
人から愛され
コロリと逝きたい。
 
おーーー!
贅沢過ぎる念願
まあ
全部とは言わずとも
これに限りなく近い人生の幕を閉じたいものです。
それには
今までの人徳
うわああああ
無理
無理
無理
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本 「首里の馬」

2020-10-23 | 

「首里の馬」   高山 羽根子 著

沖縄の古い郷土資料館を手伝っている未名子

未名子は又オンライン通話で世界の人にクイズを出す仕事もしている。

ある台風の日に

未名子の家の庭に迷い込んだ宮古馬

翌朝

警察に届け出るが

中々思う様な処理はなされず

未名子は繋いであった馬の綱を解き

そっと背に乗ってみる

それから

未名子は宮古馬に乗る様になります。

この辺りちょっとミステリアスというよりは

空想的な感覚がありますが

宮古馬は琉球時代に実在した

琉球競馬で活躍した馬なのだそうです。

琉球競馬は早さを競うのではなく

優雅さを競う競馬だったとか。

戦争の歴史

沖縄の今でも引きずっている

悲しい歴史が見え隠れする文章です。

流石芥川賞。

さらさらと読んでいれば

さり気ない本なのですが

奥が深くて

読み込めばもっともっと複雑で

理解できないところが次々出て来そう

反面

もっともっと沖縄が抱えている

その歴史が見えてきそう

な文章でした。

文章は流れているのに

話が飛ぶ

SFの様な錯覚に襲われる

不思議な感覚を覚える文章でもありました。

それでも

全体的には優しい文章で

心の底に重いものは感じるのですが

美しい文の運びだったと思います。

 

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本「ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ 扉子と空白の時」

2020-09-25 | 

「ビブリア古書堂の事件手帖2Ⅱ 扉子と空白の時」 三上 延 著

第1話

母方(栞子)の祖母篠川智恵子と鎌倉bookcafeで待ち合わせている扉子

そんな光景からⅡのお話しが始まります

そして一方

井浦清美を店で待つ栞子

井浦清美は盗まれた

この世には存在しないはずの

横溝正史の「雪割草」

に関するトラブルの相談で現れます

年老いた女主人の死後

忽然と消えたその本

その本の行方を追う毎に

元華族に連なる一家の因縁が見えてきます。

第1話ではこのお話しは迷宮いりとなります

 

第2話では

扉子が学校の読書コンクールに出すのに選んだ本

やはり横溝正史の「獄門島」

この本を巡ってのお話しとなります。

担任としては

大人受けのする文学作品の様なものを勧めて欲しい様なことを

電話で父親である大輔に話します

大輔も栞子も

余程とんでもない本でない限りは

自分の子供の読む本を制限するつもりはありません。

そんなある日

扉子が古本屋に予約しておいた

その「獄門島」が

手違いで誰かの手に渡ってしまいます。

そこから始まる

これまた

横溝正史の本に関するお話し

 

第3話

又「雪割草」に戻ります

 

今回は

全て横溝正史の文学で纏められていました。

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本 「僕は猟師になった」

2020-09-24 | 

「僕は猟師になった」    千松信也 著

先輩猟師から

伝統のワナ猟を教わり

運送会社で働きながら

一方で現役の猟師をしている方の本です。

猟は

お金稼ぎの為ではなく

生き物の生命を戴いて

自分が生きていく

当然

命を戴く訳で

その有難さを感じ

残すところなく

全て使い切るという事をモットーに

猟の原点を大切にして猟師生活を続けておられます。

この本では

猟の仕方や解体法の他にも

色々な料理も紹介され

休猟期の釣りやら山菜、野草のお話しもあり

猟のことをあまり知らない私にも

親しめる本でした。

そして

真摯に猟を楽しんでおられる千松さんの姿に

好感を抱けるに充分な1冊となりました。

 

こういう生活を例え私が女性でなくとも

若者であっても

恐らくなれないだろうとは思いますが

理想としては

こうありたいと思わせるものを感じさせられました。

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