「この庭で出来るだけの事を やろうとしておりますの。 ひどくほったらかしにされて。 例えばこの 蔓草 ですが、 それは厄介な代物ですよ。この根は」 「地中にどこまでも伸びて行ってます。 大変深くまで ―― 土の下にはびこるのです」 (中略) 「恐らくその前から」 ミス・マープルは言った。 「地中にはびこり・・・ 恐ろしく有害なんですよ、警部さん、 成長しようとする花の命を奪うのです・・・」 【A・クリスティー作 「スリーピング・マーダー」】 |
こちらは今日も晴れ。
昨日より2、3度、気温は低いものの、それでも夏日です。
そして、いつもの庭に嬉しい発見。
去年以上に・・いいえ、去年の何倍もの蕾を付けた薔薇が、
開花に向けて秒読み段階。嬉しい悲鳴を上げています。
さて、久し振りの 「クリスティーの館」。
やっと 『スリーピング・マーダー
(Sleeping Murder)』 を読み終えました。
今回もミス・マープルものですから、
例に洩れずと言いますか、私は・・。
謎解きよりもお茶シーンやガーデニング、
はたまた家の佇まいやインテリア等の
描写に興味津々(しんしん)。
おまけに上記のような描写で、
物語は始まります。
期待の程が分かりますね。
その上 アン は勿論、
エミリー や ジェーン とも
共通点たっぷりですもの。
とは言え、蔓性の植物を
昔の殺人事件になぞらえるなど、
クリスティーの面目躍如たる処でしょう。
そうそう、今回も邸には名前が付いています。
その名は 「ヒルサイド荘」。
アンの 「炉辺荘」 もそうですが、イギリスなどでは
邸に名前を付けるのが一般的のようですね。
“この邸には 名前は付いておりません 。
トムギャロン家にとって、エルムスとかチャスナットとか、
クロフトなどというくだらぬ名前は用がないのです。”
【「アンの幸福」 第3年目9.】
ところで、「ヒルサイド荘」 は、
冒頭の写真(置物)のような家でしょうか・・。
ここはたっぷり 「想像の余地」 を働かせて、
そんな家で私もお茶・・と致しましょう。
そうそう、肝心の犯人。今回は当たりました。
最も犯人らしからぬ人という事で。
でも、ミス・マープルのように論理的な解明は出来ません。
単なる勘。これでは駄目ですね。