【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

春とお喋り

2011-04-06 15:10:10 | A・クリスティーの館


いつか、アンがマリラにこう言った事があった。
「結局、1番、幸福な日というのは、
素晴らしい事や、驚くような事、
胸の湧き立つような出来事が起こる日ではなくて、
真珠が一つずつ、そっと糸から滑り落ちるように、
単純な、小さな喜びを次々に持って来る
1日1日の事だと思うわ」
                  【「アンの青春」 第19章】 


   気持ちの良い快晴の天気が続きます。
  今日も昨日同様、日本全国がすっぽり高気圧に覆われているのですね。
  朝、冷えるのも同じなら、日中、ぐんぐんと上がる気温も同じ。

   ふと思ったのですが、これまでこの時期、この季節、
  こんなに良いお天気が続いた事があったかしら・・? と。

   あら、あら・・未だに深く心に澱(よど)んでいる震災や原発の事があるにせよ、
  良いお天気なのに、こんな事を言ってはいけませんね。
  上記の アン のように、この時を、この瞬間を精一杯楽しまなくては。



   さて、今日取り出した本は又々、A・クリスティー作 「娘は娘」。
  ポアロ物に比べ、ミス・マープル物は、
  お茶シーンや植物描写が多いと記したのはつい先日の事。

   ところでこの 「娘は娘」、彼女には珍しく推理小説ではありません。
  そのせいもあってか、大好きなお茶シーンや、格調高い部屋の描写などは、
  のっけから、よりふんだんに。それは表紙のイラストからも想像されますね。

   そう言えばこの本、まだ読了した訳でもありませんのに、
  待ち切れなくてこうして記しているのですものね。
  その上、クリスティーならではの、女心に対する洞察や思いやりは至る所に感じます。

   とは言え丁度今、美しい未亡人である主人公のアンが、
  電光石火の如く結婚を決めたばかり・・という佳境にさしかかっています。

   本来でしたら、その結婚相手は、ちょっと物騒だけれど殺人鬼・・となる筈ですが?
  (どうしてもそんな風に考えてしまいます)そうでもなさそうですし、
  これからの展開が楽しみです。

   最後に。これも美しいロンドンの春の描写を。

「ロンドンて、本当はとても美しい所なんですのね。
普段は気が付きませんけれど」
「そう、まるで啓示のようですね、
こういう事に気付くのは」
「(中略) 木々の若芽アーモンド の木。
そのうちに ライラック が咲く。
煉瓦れんがとモルタルのくすんだ壁を背景に
しているために、その美しさが
一層大きな意味を持つのだと。
田舎では全てが雑然と起こる。
それに周りがあまりにも広々としているから、
つい心して見る事がまれだ。
しかし、郊外の家の庭には
一夜にして春が来るって」
                【A・クリスティー作「娘は娘」】