読書おぶろぐ

読んだ本の感想を書いてます

春、バーニーズで

2009年10月21日 14時03分59秒 | 小説
吉田修一さんの短編集。

短編集といつても、五編のうち四編は続きものである。

印象に残つたのは、最後の「楽園」
それまでの四編とは関係がなささうに見へるこの作品、男女の会話が続くのだけど。

「ねぇ、あなたにとって楽園ってどんなイメージ?」
この質問に答へていく主人公だが、質問者は黙つて聞くことなく答へのたびに質問をする。

回答者は、質問されることで段々想像力が膨らんでいき・・・・

「ねぇ、そこに何か埋まってない?」
「え、そこって?」
「あなたの足元よ」

自分の足元には、何が埋まつてゐるのかな・・・・?そんな気持ちにさせられた文章でした。

月魚

2009年10月21日 13時56分29秒 | 小説

三浦 しをんさんの作品。

古書店の主、本田 真志喜(ましき)と古書卸 瀬名垣 太一は幼馴染。

ただ、二人にはだふしても忘れられない、ある思ひ出があつた。

瀬名垣はそれを心に引きずり負い目をもち、真志喜はそんな瀬名垣を気遣いつつ一歩踏み出せない。
お互いに一歩踏み出せない二人・・・

そんな二人がある時、「掟破り」の古書買い入れを決める。そこで出会つた人とは・・・・

着流しの古書店主、真志喜がなんともいへぬ 「色気」を放つ
正反対と思へる瀬名垣のあつけない「度量」

月の夜・・・・

幻想的でいい物語だなと思つた。
もし映像化するなら、真志喜は海老様に演じてほしい