廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

いつの間にか最後の難関に

2017年01月04日 | ECM

Ralph Towner / Diary  ( 西独 ECM 1032 ST )


意外に難しかったぞ、ダイアリー。 一番手こずったなあ。 いつの間にか最後の難関と化していたけれど、ようやく初版にぶつかった。
探し出して1年半くらい経っている。 その間にセカンド・プレスは2~3度見かけたけれど、1000番台前半は初版とそれ以降では音が違うからなあ。
毎年12月は安レコがどかっ、と出てくるのだが、その中に混ざっていた。 

ECMのラルフ・タウナーはほとんど聴くことができた。 私にとってのタウナーの元々のイメージは "Solo Concert" や "Anthem" のような
変則アコースティックギター1本で音楽を奏でる人という単純なものだったけれど、こうしてきちんと聴いてみるともっと大きく拡がった世界だったんだ、
ということを知ることになった。 マルチ奏者だったなんて知らなかったし、ピアノの演奏もなかなか聴かせる。

この作品はECM参加後の第2作目ということで、後の完成された様式へ至る過程にある内容なんだなあということがよくわかる。 タウナーが敬愛する
エヴァンスの例になぞらえると、"Everybody Digs" のような感じと言えるかもしれない。 今までの自分とこれからの自分がちょうど出会い、
混在しているようなところがある。 もちろん、それはその後の彼の作品を知っている私が流れを遡って聴いているから感じることではあるけれど、
当時のECMに出入りしていたアーティストたちが未知の領域への模索をしていた姿を十分に意識しながらも、自身のルーツ・ミュージックを振り切れずに
いるアンビバレンツな状況がしっかりと記録されていると思う。 ただ表面的に綺麗なだけの音楽ではないことは確かだ。 誰かに敷いてもらったレールの
上を走るのではなく、自身で手探りしながら進もうとしているのがこれを聴くととてもよくわかる。

でも、この作品から43年が経った現在、来月になると最新作がリリースされるそうだ。 彼はきちんと自分の力でここまで来ることができたということで、
その新しい作品をリアルタイムで聴くことができるということに感動させられる。 楽しみに待ちたい。



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2 コメント

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このアルバム (ken)
2017-01-05 21:23:32
このアルバムは昔、トリオの廉価盤で入手し、近年、西独盤を入手し、その音に息を呑みました。多重録音の不自然さもないですね。
あれ、ボクのは初期プレスかな、と思って確認したら、LC番号がないので初期かなあ、と思っています。
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これって (ルネ)
2017-01-05 22:05:35
ECMレコードのことに非常に精通した例のブログ(kenさんもご存じの)によると、この1032はMade in W.Germanyがオリジナル、とあるので、それを信じてます。
ECMの初版って、ジャケットとレコードを実際に手で持った時の微細な質感でなんとなくわかったりしませんか?
これのセカンドって、レーベル上部が「ECM Records」じゃなくて「ECM」になってたと思います。 盤も少し薄く軽かったです。 kenさんのやつも初版なんじゃないでしょうか。
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