廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

ただのお祭りでは済まない演奏

2018年04月11日 | Jazz LP (Blue Note)

Herbie Hancock, Joe Henderson, 他 / One Night with Blue Note, Volume 1  ( 米 Blue Note BT 85113 )


1979年に活動停止したブルーノートが1984年に活動再開したことを祝ってニューヨークのタウンホールで行われたライヴで、かつてこのレーベルで
一世を風靡した同窓生たちが集まって大懐メロ大会を披露した。 アルフレッド・ライオンやリード・マイルスも会場に来ていて、アート・ブレイキーや
ケニー・バレルのような大物から、新生ブルーノートで活躍することになるペトルチアーニやスタンリー・ジョーダンまで、錚々たるメンバーが顔を揃えている。

この第1集はハービー、ロン、トニーのトリオを核にして、フレディー・ハバード、ジョー・ヘンダーソンの2管とボビー・ハッチャーソンらが4000番台の
懐メロを披露している。 いい演奏もあれば、ズッコケる演奏もあって、これがなかなか面白い。 でも、これらはあくまで催し物だから、能書きは不要。
気軽に楽しめば、それでいいのである。

今回のお目当てはもちろんジョー・ヘンダーソンだけど、これが立派な演奏で感心してしまう。 ハービーはノリノリではしゃぎまくっているし、ハバードも
余裕ぶちかますプレイで楽しませるけれど、ヘンダーソンは至って真面目だ。 名曲 "Recorda Me" がハイライトだけど、これは凄くいい出来。
オリジナルのヴァージョンよりも、私はこちらのほうが好きだ。 トニーのドラムは素晴らしいし、ハッチャーソンのヴァイヴも透明感があって、
"Page One" の演奏にはない新しい表情に思わず引き込まれる。 やはり、この人たちは他の人とは違うのだ。 それが実感としてよくわかる。

4000番台に作品を作っていた頃はみんなまだ若くて野望に燃えていたけれど、あれから20年も経てば肩の力も抜け、同じ曲を演奏してもこんなにも
洗練された上質なジャズにすっかり様変わりするのだ。 

アルバムとしては第1集から4集まで作られて、ジャケットのボトルの数が一つずつ増えていく、とても印象的なデザインとなっている。 もちろん、これは
リード・マイルスの意匠で、さすがに魅せてくれる。

この第1集ではボビー・ハッチャーソンの音色と清潔な演奏が1番耳に残る。 ただ、最後の "Hat And Beard" にはズッコケる。 ジェームズ・ニュートンでは
あまりに力不足。 これはちょっと気の毒だったんじゃないだろうか。

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