廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

何かに辿り着いた演奏

2018年01月13日 | Jazz LP (Blue Note)

Lee Morgan / Live At The Lighthouse  ( 米 Blue Note BST 89906 )


リー・モーガンの本音が聴けるアルバムで、モードとか新主流派とかそういう面倒な話からは解放されて、ようやく自分の考えるジャズが誰からも邪魔されずに
できるようになった、という感じがある。 全体を貫くシリアスな雰囲気にグッとくる。

バンドメンバーたちの演奏も恐ろしく上手く、纏まり方もハンパない。 人気と言う面では下火だったとはいえ、ジャズメンたちはしっかりと研鑽を積み、
こんなすごい演奏ができるようになっていたんだ、ということに感嘆させられる。 とてもライヴだとは思えない完成度だ。

50年代、60年代の主流を歩いてきた人らしく、新しいストレートなアコースティク・ジャズになっていて、変なクセもない。 モーガンが持っている元々の
音楽的なスジの良さが素直に出ている。 それでいて、非常に真面目で真摯な音楽になっている。 他のアルバムではあまり聴く気になれないベニー・
モーピンもこの音楽の中では中心に置かれた重みとしての役割をうまくこなしていて、彼がいなければここまでの纏まりは実現しなかったかもしれない。

ここで聴ける音楽は、1940年頃から30年近くかけてアメリカのジャズが歩んできた道の終着点の1つだったのかもしれない。 70年代のジャズの中には
そう感じさせてくれるようなアルバムが少ないながらも存在する。 本人たちにそんな自覚はなかっただろうけど、これはそういう数少ない1つかもしれない。
そんなことを考えさせるようなところがある、いいアルバムだと思う。





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