廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

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小ネタ集(Riversideのセカンドレーベルはダメなのか)

2024年05月03日 | Jazz LP (Riverside)



Wes Montgomery / The Incredible Jazz Guitar Of Wes Montgomery  ( 米 Riverside Records RLP12-320 )


結論から言うとダメではなく、全然アリである。なぜなら、音はまったく同じだからだ。

ウェス・モンゴメリーの "インクレディブル" を例にすると、上段が青大レーベルでセカンド、下段が青小レーベルでオリジナルだが、青小レーベル
には BILL GRAUER PRODUCTIONS の後にINC.ロゴの入るものがあってそれが青小レーベルのセカンドプレスになるので、厳密に言うと青大
レーベルはサードプレスくらいになる。

この2つを比べてみると、違いがあるのは盤の材質というか仕上げが少し違っていることと貼られているレーベルが違うくらいで、ジャケットは
まったく同じものが使われている。だからレコードを実際に手に取って見てみると、その質感はほとんど同じで何も変わらない。青大は2年後の
リリースということになっているが、製造自体はそんなには離れていないんじゃないかと思う。

で、肝心の音質だが、これがまったく同じ音。注意深く聴き比べてみるけど、まったく同じ音質だ。タイトルによっては違うものもあるかも
しれないが、エヴァンスの "ポートレート" も以前青大を持っていて聴き比べていたがまったく同じ音だったから、おそらくは多くのタイトルで
同様だろうと思う。これはプレスティッジのN.Y.CレーベルとNJレーベルでも同じことが言える。

この2つの価格差はおよそ7~8倍。今はオリジナルの価格が以前の2~3倍になっていて、すべてのタイトルをオリジナルで聴くのは不可能だから、
セカンドであっても躊躇することなく聴けばいいと思う。50年代のレーベルは概ねどれもオリジナルとセカンドの製造時期は隣接していて、同じ
マスターテープを使い、同じ技師がカッティングしているケースがほとんど。現在ネットやSNSでさかんに語られている "オリジナル神話" は
レコード人口の増加に伴い話の内容が雑になってきていて質も劣化しているので、自分の耳で確かめるのが1番いい。



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4 コメント

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Unknown (うみやま)
2024-05-07 02:48:16
前回のclefやSAVOYもあわせて、大好きなシリーズです。非常に興味深く拝読しました。
riversideは三大レーベルでも特に音質に作為というか個性化が計られていないためか、割とojc盤でも良いんじゃないかなと思える盤がありますが、RVGが絡んだPrestigeでもN.Y.CレーベルとNJレーベルでも多くが差がないのですね…よくサキコロの聴き比べでやはりオリジは〜という文面を目にしますが、ルネさんのご意見が私は納得です。
ちなみにriversideの白ラベルのファーストと青ラベルのセカンドの音質の違いはあるのでしょうか。riversideは白ラベルの時は盤質が大変良くて音がすごいと聞きますが、もうロリンズやモンク、エヴァンスの白ラベルは庶民には高嶺の花過ぎて…
blue noteのデフォルメされたRVG(ライオン?)サウンドはPlastylite社かどうかで差異があるとか、その辺は永遠に語り継がれていく神話のようなものですかね。。。
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Unknown (ルネ)
2024-05-07 07:31:48
Riversideの白とセカンドの青は聴き比べたことがないので、よくわからないです・・・
白レーベルにも音のいいタイトルとよくないタイトルがあって、そもそもオリジナルの評価が難しい。
私の知る範囲で音がいいのは、エヴァンスのファースト、ドリューのトリオの1曲目(このアルバムはCaravanだけが
何故か音がいい)、ジジ・グライスのジャズラボあたりですが、この辺の青レーベルは中々見かけないので
聴く機会がないです。上記以外のタイトルは白でも音はよくないので、
かえって青の方が聴感はいいかもしれません。
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Unknown (うみやま)
2024-05-07 10:16:27
また大変貴重な情報ありがとうございます。
ドリューのトリオ盤は一曲目だけなんですね。笑
本当にriversideの音作りは不思議ですね。作品によってはステレオとモノラルでの差異がすごいものもありますもんね。
レーベルとしての哲学がやや弱めで商魂もあるけどあまり結果に結び付かずとなかなか愛すべきriverside。個人的には比較的自然(あまり手を入れられなかった?)な楽器の音色で大好きなレーベルです。
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Unknown (ルネ)
2024-05-07 16:12:47
確かに、このレーベルはファースト、セカンドよりも、モノラル/ステレオのほうが
重要な話かもしれません。私自身は、他のレーベルよりもより文学的な雰囲気が感じられて、
そこに魅力を感じます。それに他よりも安く買えたところも身近に感じられたポイントです。
と言っても、最近はそうでもなくなりましたが・・・
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