廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

リヴァーサイドの見識の高さが生んだ傑作

2022年07月10日 | Jazz LP (Riverside)

Billie Poole / Confessin' The Blues  ( 米 Riverside RM 458 )


リヴァーサイドにはポチポツとヴォーカルアルバムが残っているが、そのどれもが深く唸らされるものばかりだ。ネームヴァリュー先行で
アルバムを作ったのではなく、本当に実力のある人だけを取り上げており、その見識の高さには頭が下がる。その最右翼はマーク・マーフィーの
2作だが、その次に続くのはこのビリー・プールあたりだろう。

ダイナ・ワシントンの声質とサラ・ヴォーンの伸びやかな唱法をミックスしたような感じだが、持ち味はもっとすっきりさっぱりしていて、
その真っ直ぐな歌唱が聴き手の心にストレートに刺さってくる。問答無用に上手い歌で、これはもう敵わないなあという感じである。
歌の上手さというのは神から与えられたギフトであることがよくわかる。

ジュニア・マンスのピアノ・トリオにケニー・バレルが入ったバックの演奏が最高の仕上がりで、ミッドナイト・ブルーそのもの。
この時の収録の流れで、この4人の演奏だけでアルバムを1枚作って欲しかった。

ディープなブルースがメインでマーク・マーフィーのアルバムと同じコンセプトだけど、管楽器がいないのでもっと静かで穏やかな時間が流れる。
あまりのインパクトの強さで、一旦こういうのを聴いてしまうと、なかなか他のヴォーカルアルバムに手が伸びにくくなるのが唯一の難点か。
50年代末に欧州で評価されたために大陸を行ったり来たりしていたせいで、アルバムがリヴァーサイドの2作しか残っていないなのが残念である。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ジョージ・バロウに関する覚書 | トップ | ゴルソン・カラーに染まった佳作 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Jazz LP (Riverside)」カテゴリの最新記事