Paul Horn / Something Blue ( 米 Hi-Fi Jazz J 615 )
いつも楽しいsenriyanさんのブログで教わったアルバムで、探してみるとあと1歩で安レコ、という美品が転がっていた。さすがはユニオンである。
探しに行くと、かなりの確率で見つけることができるのだ。
聴いてみると、なるほど、という感じだ。冒頭の曲は "So What" そっくりのコード進行に沿ってベースがズンズンと重低音で響き、リードを取る管楽器が
モードの旋律を取る、完全に "Kind Of Blue" のスタイル。あのアルバムのように静謐で落ち着いた雰囲気ではなく、演奏は倍速くらいのスピードがあるし、
楽器の構成も違うので、そのことに気が付く人がどれほどいるかはわからないけれど、明らかにマイルスのアルバムにインスパイアされている。
そして、その演奏スタイルはほぼ全面で採用されている。この人のアルトはキャノンボール・アダレイと質感がよく似ていて、A-3ではキャノンボールが
1人で "So What" を吹いているような感じだ。すべての楽曲でジミー・ボンドのベースが不気味な重低音で迫ってくる雰囲気がたまらない。
ただ、単なる "Kind Of Blue" の剽窃ではなく、自身の音楽として消化されている。しっかりとしたアドリブで構成されている筋金入りで、演奏力は高い。
だからこそ、音楽的に充実していて、この夜の雰囲気が上手く演出されているのだと思う。
"Blue" という言葉はジャズの世界では特別なニュアンスを持った言葉としてたびたび登場するが、このアルバムも "Blue" の系譜に連なるに相応しい
雰囲気を帯びている。こういうアルバムをしっかりとグリップできる力が私も欲しい。レコード棚にいい音楽がまた一つ加わって、とてもうれしい。
「モードの旋律を取る、完全に "Kind Of Blue" のスタイル。」
実は、私は長い間、この感覚が分りませんでした。これはやはり聴く人が聴けば分かるという感覚なのですね。
私のブログは音楽記事なのですが、極めて、音楽的なものから逸脱していますので。(笑)
とはいえ、自分の好きなこのレコードを、このように評価していただいたこと大変嬉しいです。
私も、数日前にこのレコード、ステレオの銀シールが貼ってある盤を格安で見ました。
かなり、安い価格でした。そっか、私の見立ては悪くなかったのだなと。それも、買っておけば良かったなあ~と。
この記事をお読みして、そう感じた次第です。
モードの感覚は、理論を読んだだけではよくわかりませんよね。カインド・オブ・ブルーはまだ半端なところがありますし。
HiFi Recordのステレオ盤は音がいいので、安いければ「買い」かもしれません。
私も、最近はVerveやUnited Artistsのステレオ盤を買い直すプロジェクトを進行させています。
いいアルバムでした。紹介していただき、ありがとうございました。