黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

何とも腹立たしこと――自公政権の在り方を問う(1)

2014-12-02 05:28:59 | 仕事
 今日告示される衆議院総選挙、政権党(安倍首相)は「アベノミクスの成果を問う選挙」と言い、「この道しかない」と第二次安倍政権が進めてきた経済政策こそが、この国の「未来」を切り開いていく唯一の方法だとばかりに「大見得」を切っているが、これまでも何度か言ってきているように、アベノミクス(円安・株高)で恩恵を受けているのは大手企業(輸出産業)のみで、多くの国民がアベノミクスの効果を「実感」していない現実を踏まえれば、本当に「この道しかない」のかどうか、甚だ疑わしい
 というのも、最近時間ができたので、経済の専門家がアベノミクスについてどう考えているのかを見るために、伊東光晴京都大学名誉教授の『アベノミクス批判――四本の矢を折る』(2014年7月 岩波書店刊)や服部茂幸福井県立大学教授の『アベノミクスの終焉』(同8月 岩波新書)を読んだのだが――この2著について、たぶん安倍首相の取り巻きたちは、「批判」のための批判本だから、読むに値しないと言うだろうと思うが、経済について素人の僕が読んでもアベノミクスの「欠陥」や「失敗=終焉」がよく分かるように書かれている――、彼ら「ケインズ学派=修正資本主義論者」が挙ってアベノミクスは「失敗だ」と公言していることに対して、自公政権(安倍首相)はどう思っているのか(どのように批判しているのか)、全く分からなかったからである。
 どうやら安倍晋三という「権力者」は、国会解散の日にTBSテレビに出演してアベノミクスに疑問を呈した街頭インタビューに苛立ちを隠さなかったように、取り巻きや身内の意見(讃辞)は聞いても、「批判者=他者」の声には一切耳を傾けないという性癖を持っているようで、そのことから考えても、「この道しかない」と言っている=信じているのは、円安・株高で恩恵を受けている大企業(輸出産業)とそれに連なる人々だけなのではないか、恩恵を受けていない多くの国民は、「この道しかない」という甘言(幻想)に惑わされているのではないか、と思えてならない。
 これは、「日本を取り戻す」とか「戦後レジュームからの脱却」などという、およそ現実政治には似つかわしくない抽象的な言葉で国民の間に蔓延していた「閉塞感」を打破できると思ってきた安倍首相のやり方と同じである。「虚言」を巧みに操る詐欺師のような手法としか思えないが、この2年間の安倍政権の有り様を振り返ってみると、どうやら僕らはこの安倍政権の「虚言」に振り回され、いつの間にか「ネオ・ファシズム国家」への道を歩み始めたのではないか、と思わないわけにはいかない
 例えば、「これはテロリスト対策だ」と言いながら、国民の「表現の自由=批判精神」を封殺するような「特定秘密保護法」を制定したこと、これは戦前最大の悪法と言われた「治安維持法」が当初は「主義者(マルクス主義者・アナーキスト)」を対象とする法律とされていたものが、戦争が長引くにつれて自由主義者や民主主義者までその対象を広げ、「戦争反対」の声を圧殺していったことを想起すれば、いかに安倍政権の言うことが「その場しのぎ=虚偽」であるかが分かるだろう
 また、集団的自衛権行使についてだって同じである。安倍首相は、「国民の命と暮らしを守るために必要だ」「戦闘に参加することなど無い」としきりに言って、例えば米軍の艦船が戦闘地区から邦人を救出してくれるのに自衛隊は何もしなくていいのか、など言うが、米軍が戦闘地域に存在する邦人を自国の艦船に乗せることはないと公言していることなど、どう思っているのか。自分の論理(虚言)に都合の悪いことには耳を貸さない、典型的な「独裁者=裸の王様」だと思うが、
アメリカ追随を実践するためには平気で「嘘」をつく、僕らは安倍首相の「甘言」に騙されてはいけない、とつくづく思わざるを得ない。
 原発再稼働についても、平気で前言(2年前の衆院選で公約した「原発依存を徐々に減じていく」との言葉)を翻し、減派再稼働を推進しようとする。原発に関する「虚言=嘘」の最たるものは、東京にオリンピック招致したいばかりに「フクシマは完全にコントロールされている」と世界に向かって公言したことである。周知のように、海洋汚染は続き、汚染水処理もままならず、30年、40年に及ぶ廃炉の工程についてなど「我関せず」状態にあり、「完全にコントロールされている状態」からはほど遠いというのが現実である。にもかかわらず、フクシマなど起こらなかったかの如く、「金儲け=経済」最優先の論理と倫理の下で、原発再稼働・原発輸出にあの手この手を使って邁進する。
 一事が万事、安倍「極右」政権のやることは、虚言=嘘に持ち満ちていて、「えげつない」。僕らは、「政治とは、そういうものだ」などと訳知り顔でニヒっている場合ではないのではないか。今こそ「騙される側の罪」を自覚して、反撃に出ていかなければならない、とつくづく思う。
 それにしても、長年「平和と福祉の党」を自認してきた公明党が、その原発政策や集団的自衛権行使容認に関して、基本的なところで「大きな意見の相違」がありながら、安倍首相の「暴走」を止めることなく、「連立」を組み続けるその論理と倫理(つまり、思想の在り方)が皆目理解できない。よほど政権党としての「旨み」があるのだろうが、本当によく分からない。支持母体である創価学会の会員の人に聞いてみたいが、果たして彼らは本当に「平和と福祉」について理解しているのか、どうも怪しい。
 

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