黒古一夫BLOG

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「ねじれ」は、僕らの意識に!(10)――安倍政権に何を期待しているのだろうか?  

2013-07-18 11:05:15 | 仕事
 テレビを点けても、新聞を読んでも、今度の参院選は、与党(自公政権)が「大勝利」(過半数獲得)し、「民主党は惨敗」するという選挙予報しか目に入らなくなったが、民主党が「惨敗」するのは、その政治姿勢が一貫せず、例えば「脱原発」についても政党としてはっきり言明できないというようなこともあって、「自業自得」と言っていいかも知れないとして、残念でならないのは、「野党」が林立(分裂)し対立することによって――少なくとも「脱原発」「反TPP参加」「改憲阻止」「社会保障の拡充」などで一致できる共産党や社民党、生活の党、みどりの風は「統一戦線」を組んで、自公政権の「暴走」(ねじれ解消・過半数獲得)だけは何としても阻止して欲しかったと思うが、そのことは適わず――組織力のある自民党と公明党が「漁夫の利を占める」ことになるのだろうと思うと、何ともやりきれない気持でいっぱいになる。
 そして思うのは、安倍政権に何を期待しているのだろう、という素朴な疑問である。つまり、全国区でも地方区でも自民党に1票を投じようと思っている人は、本当にアベノミクスによって自分たちの生活が「豊か」になり、原発再稼働や原発輸出はその推進力になると思っているのだろうか、ということである。「TPP参加」についても、同じである。農家を潰して(食糧自給率を下げて)、この国の「未来」はあるのか、ということである。あるいは、「憲法改正」についても、本質的には安倍晋三氏も石原慎太郎日本維新の会共同代表も、同じ憲法観の持ち主だと思うが、戦略上なのか「憲法隠し」を行っている自民党(安倍政権)の代わりに言いたいことを言っている石原慎太郎の憲法論を見ていると、明らかに「武力」によって近隣諸国を脅かし、圧することによって「日本」という国を「アジアの盟主」(何と現実離れした、空疎な言葉か)として君臨させようとしているようで、何のためのそんなことをしようとしているのか(言い続けているのか)、全く理解できない。
 要するに、石原慎太郎も安倍晋三も「平和」と「民主主義」に象徴される「戦後的価値(思想)」が目障りで、自民党の「日本を取り戻す」が象徴しているように、戦前の価値観こそが尊いものだ、という何とも馬鹿げた「復古主義」に過ぎないのではないか、と思うが、そのような「言葉の詐術」に現在の日本人は易々と引っかかってしまう脆弱さを持っているのかも知れない。
 とは言え、もう一度言うが、自公政権を「承認」しようとしている(自公に投票しようとしている)人たちは、つまりあの手この手を使って原発再稼働を策動する自民党に尊い1票を捧げることは、少なくとも「核との共存」を望んでいることになるということを、よく考えて欲しい、と思う。現在の科学及び思想の水準を考えれば、とうてい「核との共存」は不可能だということになっている。だとすれば、そんな「未来」を閉ざす自民党・公明党に何を期待して1票を投じようとしているのだろうか、と思わざるを得ない
 さらに、これは昨日書いたことに繋がるのだが、全労働者の内「非正規労働者」が40%近くなっている現実を考えたとき、そのような「格差社会」をもたらしたのは、歴代の自民党政権(自公政権)、とりわけアメリカの言いなりになって「規制緩和」(その代表が郵政民営化)に熱心だった小泉内閣であったこと、そしてそのような「規制緩和」をさらに進めようとしている安倍政権に、何故「40%の非正規労働者」は異議申し立て(反対)しないのか。これでは従順な「ポチ」ではないか。
 メディアの予想通りに与党(自公政権)が「過半数獲得」したとするならば、それは「1億、総ポチ化」ということであり、余りにも悲しい。
 投票まであと3日、ここでもう一度立ち止まり、よく考えて欲しい、と思う。

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2 コメント

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共産党はいらない (うなぎ)
2013-07-18 12:32:11
日本共産党は昔、資本主義国が福祉を取りいれるのはおかしい、それは共産主義国になってからするべきだと主張していた。
日本共産党はかつて、中国共産党の手先であった。
日本共産党の本音は日本国を共産主義国にすることであるが、口が裂けても本音は言わない。
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「亡霊」が生きている。 (黒古一夫)
2013-07-18 14:54:30
「うなぎ」さん
 
 あなたは、何処でどのように「コメント」に見られるような「デタラメ」としか言えないような「考え」を身に付けたのでしょうか?
 僕は必ずしも日本共産党(以後「共産党」とする)の全面的支持者ではありませんが、あなたの共産党理解が余りにも「偏った」(「幼稚」と言い換えてもいい)ので、もし「共産主義社会」がこの地上に実現すれば、それこそ人間にとって「究極の楽園」が実現するはず、という立場(思想)から、あなたの「共産党(共産主義)理解」がいかに間違ったものであるか、僕なりに指摘しておきたい。
 まず、「共産党は、資本主義国が福祉を取り入れるのはおかしい」などと、いつどこで言っていたのでしょうか。現在、不十分ながら日本があなたもその恩恵を受けている「福祉国家」(例えば、健康保険制度や年金制度、等々の社会保障において)と言われるのも、共産党も含む戦後(戦前から引き続き)の「革新」勢力が、政権を担ってきた保守党に要求して実現したものであること、「福祉は共産主義社会が実現してから」などというのは、「共産主義社会」は別名「完璧な福祉社会」であるということを知れば、共産党がそんな「馬鹿」げた発言をするなどと言うことは考えられません。
 次に、「共産党は、中国共産党の手先」という考えについて、あなたは「共産主義インターナショナル」ということも、また「世界革命」という言葉を知らないから、そんな「無意味」なことを言うのであって、それは「日米同盟の強化」を言う自民党は「アメリカの手先」というのと同じで、「近代自立国家」とは何か、をもう一度考えるべきなのではないか、と思います。
 最後に「共産党の本音は、日本を共産主義国家にすること」という言い方。これ、どこがまずい(悪い)のですか。これは、未来の国家(像)をどのように考えるか、の問題であって、「共産主義社会」の何処が悪いのか、僕には分かりません(現実に存在した(する)社会主義国家(共産主義国家)に、崩壊したソ連が象徴するように、理想的な社会を実現しているかどうかは分かりませんが、少なくとも理論的には「格差」のない「平等社会」を実現させようとする共産主義思想の何処が悪いのか?「大金持ち」もいないが、生活に困る「貧乏人」もいない、そんな社会が共産主義社会だとしても、あなたは今日しゃん主義社会は「悪い」と言うのでしょうか。
 「うなぎ」さん、あなたのコメントを見ていると、あの共産主義や無政府主義などの反体制思想、そして自由主義さえも「弾圧」した治安維持法下の「戦前」を思い出します。戦前の「亡霊」が蘇ってきたのではないか、と思いました。また、それは、反対派に対して「左翼」という言葉で片付ける安倍晋三首相と同じ「雑駁」な思想なのではないか、とも思いました。
 残念ながら、思想の水準が余りにも低すぎます。
 最後にもう一度言っておきますが、僕は日本共産党の政治手法(やり方)を全面的に支持する者ではありません。しかし、原発を再稼働し、「改憲」してこの国を「戦争のできる国」にしようとする自民党政治に対抗する革新勢力として、協同できる政党だと考えています。今は、「小異を捨てて大同につく」ことが大切だと思うからです。
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