黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

「民意」って、何だろう?(2)

2012-12-22 09:39:18 | 仕事
 あの自民党が「圧倒的」に勝利した総選挙から1週間、来る26日に発足する第二次安倍政権は、着々とその「基本方針」を打ち出し始めているが、どうもその成り行きを眺めていると、「定見」があるように見えて、実は「日和見」でしかない保守政治家特有の「揺れ・ブレ」があるように思える。この「揺れ・ブレ」は、マイナスとしか思えないものとプラスと思えるものの両方があるが、例えば政権を握っていた民主党の「失政」をついて勝利した先の選挙において、その「失政」がもたらした「時代の閉塞感」を「右=ネオ・ナショナリズム」の思想(観念)で打ち破るべきべく打ち出した「憲法改正→国防軍の設置・集団的自衛権の承認」や「強硬な対中・韓外交政策」を、当面「控える」という戦術を採ろうとしてことに、それは現れていると言える。
 一例を挙げれば、選挙中にあれほど声高に叫んでいた「憲法改正」について、294名の当選者を出した総選挙後には安倍次期首相はほとんど発言せず、代わって「軍事オタク」と言われる石破自民党幹事長がしきりに「平和外交」を叫んでいる構図は、「右=ネオ・ナショナリズム」(それ自体は「危険」な考え方だが)の思想によってこの国と時代を覆っている「閉塞感」を突破してくれると期待した国民の期待を裏切ることになると思うのだが、自民党は「数の力」を得たからか、そんなことは一向に気にせず、どうやら「昔の名前で出ています」式の公共事業頼り一辺倒の庶民生活を置き去りにした「景気(浮揚)対策=デフレ脱却」を前面に押し出し、来年の参議院選挙まで「猫を被り」、参院選で多数派を占めたら、一挙に憲法改正(第9条を改悪して国防軍の設置、集団的自衛権の承認、等)に突き進む、という戦略を考えているのではないかと思われる。
 あれほどガチンコ勝負のように言っていた「竹島」問題(日韓関係)や「尖閣列島」問題(日中関係)についても、もちろんドンパチなどまっぴらごめんだが、「軟化」=改善させようとする姿勢(様相)を見せており、もしこれもこれも「猫を被っている」ものだとしても、とりあえず歓迎すべき姿勢と言ってのではないか、と思う。
 しかし、選挙の時の公約を「破る・修正」するということで、まさに「本音」をさらけ出したもので、これは絶対許すことができないと思うのは、「原発ゼロ」に関する公約である。選挙中は、「将来的には原発に頼らないエネルギー政策を」と言っていたのに、もうすでに今日の新聞を見ると、安倍次期総理は「原発の新増設を認める」と言うような発言を行っている。元々自民党は財界をスポンサーとする政党であるから、電力会社を中心とした財界が後押ししている「原発の再稼働」や「原発輸出」「原発の新設」など、民主党政権以前の状態と代わらないエネルギー政策を採ると思っていたが、案の定、選挙中はあいまいな言い方をしてフクシマを経験した国民を「騙し」、選挙が終わったら、一挙に「本音=原発容認・推進」を言い出す。
 僕は、先の総選挙で自民党に1票を入れた人たちからの非難を覚悟で言うのだが、「景気対策」も、そして「ガチンコ外交」も(憲法改悪以外は)、それは考え方の違いだから僕の考えと違っても仕方がないとして思うが、「原発ゼロ」に関しては、人類(人間存在)の「未来」、具体的に言えば、僕やあなた方の子供や孫、ひ孫、そしてさらにずっと先の人間に対して、僕らが堂「責任」を持つか、という問題である。自民党を支持した人に是非「再考」をお願いしたいと思う。再びフクシマが起こったら、この区の「未来」は永久に閉ざされてしまう。そのことを考えてもらいたいと思うのである。
 原発問題に関しては、僕らも含めて是非もう一度フクシマの「原点」に戻って考えるべきだ、と声を大きくして何度でも言いたいと思う。
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿