黒古一夫BLOG

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「民意」って、何だろう?

2012-12-17 09:08:50 | 近況
 昨日の総選挙の結果、政権を担っていた民主党が「大惨敗」し、自民党が単独過半数を遙かに超える294議席を獲得し、自公で獲得した325議席という数は、衆参の「ねじれ」状態を解消して、どんな法案も通過させるだけの数であり、また51議席を獲得した日本維新の会の存在は、「改憲」を標榜していたこの党と「改憲」を党是としてきた自民党が組めば、いよいよ日本国憲法の「改正(改悪)」が現実的なものになったことを意味するものであった。
 これが昨日の選挙で示された「民意」ということになるが、しかし、「改憲派」が圧倒的な議席を獲得したことと様々なメディアによる世論調査の結果(改憲と護憲が半々ぐらい、メディアによっては護憲派の方が多い場合がある)との「ズレ」、あるいは「脱・反原発」に関しても世論調査では70~80パーセントの人が「脱・反原発」を支持しているのに、原発維持・推進派の自民党や「核武装論者」を党首に仰ぐ日本維新の会が、圧倒的に「勝利」したという矛盾を考えると、昨日の選挙結果が本当に「民意」なのか、と思わざるを得ない。
 その証拠に、選挙に関してどのような項目を重視して投票するかという質問に関して、圧倒的に多かったのは「経済政策・雇用」であって、「改憲」や「原発ゼロ」政策は両者とも10パーセント前後であった。結果と動機が大幅に「ずれている」今度の選挙、分かってきたのは、「民意」が千々に乱れていた、ということである。
 正直に言うと、昨夜から今朝にかけ、以上のような「民意」が示された選挙結果について「腹立たしい」思いを持つと共に、大きな「ショック」も受け、ブログに僕の心情など書いても仕方がないと思うが、今は相当に「落ち込んでいる」。そして、その「思い」は、このまま「改憲派」が勢いのまま、憲法第9条の「改悪」に走ったらどうするべきか、という近い将来における僕自身の「決断」に関わるものとして重くのしかかり、また反面、自民党や日本新の会などの「改憲派」を支持した有権者の全てが「改憲」を望んでいるわけではないのではないか、という淡い「期待」にも繋がるものとしてもある。
 いずれにしろ、「政権交代」を成し遂げた民主党のこの3年3ヶ月に及ぶ「政治」が、「仕分け」の中途半端(尻切れトンボ状態)で終わったことや「脱原発」を宣言しながら青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場を存続させ、また産業界の要請を受け開発途上国への原発輸出を承認したこと、さらには消費税増税の躍起となった野田政権が象徴するように、「改革」からはほど遠いものとなってしまい、民主党という政党が「改革派」ではなく「保守派」になってしまったことに、今回の選挙における「敗北」の原因があること、自民党や日本維新の会の「勝利」は「敵失」によるものであって、いわば「消極的」な支持であったこと、これらのことを考えながら、もう一度自分たちの在り方を探るしかないのかな、と今は思っている。
 ただ、どのような選挙結果であろうと、フクシマは依然として「放射の汚染」状態を脱しておらず、「核」と人類は共存できないということ、このことだけは肝に銘じて前に進むしかないのも、確かなことであるだろう。

 今日はこれぐらいしか書けないが、自民党や日本維新の会などの「改憲派」が、今後どのような行動に出るか、一人の批評家(文学研究者)として「注視」だけはし続けていきたいと思っている。

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