黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

「崩壊」していく日本(3)――またぞろ、こんな輩(女性)が……

2015-11-02 09:09:51 | 仕事
 オバマアメリカ大統領に中が「強制」されて仕方なく1日から開催されている「日中韓首脳会談」(日中会談・日韓会談)、その具体的中身については「秘密・オフレコ」になっているようで、何とも気持ち悪いが、その気持ち悪さとは別に、会談のメイン・テーマ(建前)が「歴史を直視して」ということについて、何を今更、という気持が湧き上がると同時に、3国の「歴史認識」が余りにかけ離れている現実をどう考えればいいのか、本当に、特に日本(安倍首相以下自民党の政治家や「おおさか維新の会」(橋下代表)などの右派の政治家たち)は「歴史を直視する」気持があるのか、という疑念を押さえることができないということがある
 と思うのも、これは再三このブログで言ってきたことでもあり、また1年前に出した拙著『葦の隋から中国を覗く―「反日感情」見ると聞くとは大違い』(14年11月 アーツアンドクラフツ刊)の中でも書いたことだが、安倍首相をはじめ日本の保守派(右派)の政治家たちや「ネトウヨ」と言われる人たちは>、「事実」に基づいた<正しい>歴史認識を持っていないのではないか、と思えてならないからである。
 例えば、「日中韓首脳会談」の開始を伝えるニュースにツイートした文章を見ると――この手のニュースが報道されると、決まってあたかも「動員」されたかのように、権力(安倍政権)に「賛成・同調」する意見が集中する。一部の報道に拠れば、安倍首相はそのような意見が集中するフェイスブックを見て、自分の政策や政見が支持されていると確信しているとか。しかし、ネット上の意見(ツイートなど)がいかにいい加減なものであり、事実に基づかない「偏向」したものであるか、興味のある人は一度覗いてみればいい>――、「従軍慰安婦問題は捏造されたもの」、「南京大虐殺などはなかった」、などという言葉のオンパレードである
 しかし、今更「村山談話」や「河野談話」を持ち出すまでもなく、「従軍慰安婦」の存在も、「南京大虐殺」が存在したことも、様々な「検証」を経て「事実」であったと日本のみならず世界が認めてきた「歴史的事実」である。これも何度か言ってきたことだが、アジア太平洋戦争体験を基にした文学作品(小説、等)を読めば、随所に「朝鮮ピー屋」(何故、慰安所を「ピー屋」と言うのか、その正確なことは分からない)という朝鮮人女性ばかりの慰安所が出てくるし、そこで「強制的」に「性奴隷」にされた朝鮮人女性の多くが「女工募集」などという「嘘」に騙されたと訴えたりしている。日本の保守派(右派)やネトウヨの人たちの主張は、その大半が「従軍慰安婦」は「強制」されたものではなく(日本軍は関与しておらず)、「自発的」に「売春」に身を投じたのだ、というものだが、文学作品や多くの「証言」、「記録」が伝えているのは、朝鮮人「性奴隷」の多くが「嫌々」戦場に連れてこられた、という「事実」である。
 確かに、戦場における「性奴隷=従軍慰安婦」のうち多くを占めていた日本人女性の場合は、売春防止法が施行された1958(昭和33)年まで、「赤線」とか「青線」と呼ばれる「公認」の娼婦たちの集まる場所があり、戦時下においてそこで「働く」女性たちが「進んで」従軍慰安婦になったという「事実」はあった(文学作品や当時の記録、証言に、そのような事実も記載され残っている)。そして、そのような遊郭や女郎屋の多くに、当時日本の植民地であった朝鮮半島から来た女性たちが多数存在していたのも事実である。だからといって、「従軍慰安婦」の「強制連行」はなかったと主張する人たちの多くがその主張の根拠にしているように、朝鮮人従軍慰安婦(性奴隷)が、進んで戦場に赴き「売春」していた、というのは「間違い」である。彼女たちは「嫌々」売春を「強制」されていたのである。
 また、昨日(1日)のフジテレビ「新報道2001」に出演して、「日中韓首脳会談」が始まったというのに(あるいは、そのことを承知しながら、安倍首相の忠実な「イヌ」として代弁者を買って出たのかも知れないが)、稲田朋美自民党政調会長が「南京大虐殺」について、あたかも存在しなかったことを前提とするように「事実か事実でないかが重要」などと発言した。彼女は早稲田大学法学部出身の「弁護士」である。彼女の「先生」たちが挙って安保法制=戦争法案を「違憲」だと言っているときも、安倍首相にぴったり身をすり寄せる「ネトウヨ」が大好きな右翼の政治家らしく、「合憲」だと主張してきた「筋金入り」の右翼女性政治家だが、日中韓が「歴史認識」をめぐって重要な会談を行うという時になって、またぞろ「南京大虐殺はなかった」という発言、これは安倍首相が本音ではこんな「会談」はしたくない、オバマ大統領に言われたから仕方なくソウルまで出掛けていったのだ、ということを代弁したものとしか思えないが、稲田先生「在日特権を許さない会」の人たちと仲良くしている暇があったら、南京まで行って「南京事件記念館」を見学すべきである。それと、日中戦争に在を取った小説、石川達三の『生きてゐる兵隊』(1938年)や火野葦平の『麦と兵隊』(同)や『土と兵隊』、『花と兵隊』などの作品を読んだ方がいい。そこには、「前(プレ)南京事件」と思えるような日本軍将兵による中国人(兵士のみならず、女・子供・老人)への残虐行為が縷々記載されている 朝鮮人従軍慰安婦の存在も、また南京大虐殺も「事実」なのである
 僕らは、この「事実」を認めて、その上で韓国(北朝鮮も)・中国と「平和」で「友好」的な関係を築いていかなければならない