黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

「崩壊」していく日本(6)――改憲派(右派)の「日本会議」って何?

2015-11-12 10:07:42 | 仕事
 安倍晋三氏が政権を握ってから特に目立つようになった「日本会議」(1997年結成)という「国粋主義者(過度に「日本」を強調するナショナリストたち)」という団体、一昨日(11月10日)彼らが中心になって日本武道館で1万人余りを集めて「美しい日本の憲法を作る国民の会」なるものが催され、そこにはこの会の協同代表の一人である「極右」のジャーナリスト桜井よしこをはじめ、自民党の衛藤首相補佐官や下村前文科省大臣、例の沖縄の辺野古沖新基地建設に反対している「琉球新報」と「沖縄タイムス」の2紙など潰してしまえと叫んだ作家の百田氏、さらには経済界の幹部たちが参集し>、「21世紀にふさわしい憲法を追求しする時期にきている」、「現行憲法で国民と日本国を守ることができるのか」ということで、来年の参議院選挙で自民党が勝利した暁には、いよいよ「憲法改正」を行うべきだ、と気勢を上げたという
 安倍「極右」内閣が、「安保法制=戦争法案」を強行採決で成立させた勢いを駆っての「後押し」なのだろうが、衆参の自民党議員が「280人」も参加しているというこの「日本会議」について今ひとつ分からないのが、この会が掲げている「真正保守の政治実現」とか、「21世紀に相応しい憲法」とか、「美しい日本の憲法」とかいう言葉は何を意味しているのか、ということである。
 このようないかにも「大衆受け」するような「抽象的な言葉」の乱用は、この集会にビデオメッセージを寄せた安倍首相の言葉遣いと同じで、「空虚」で「内実が想像できない」観念語としか思われず、この集会に参加した人たちの言動を見ていると、どうやらこの「美しい日本の憲法をつくる会」が目的としているのは、何と言うことはない、安倍首相が首相就任時に掲げた「戦後レジュームからの脱却」と同じで、日清戦争からずっと「対外侵略戦争」を行ってきた戦前の「絶対主義天皇制国家」の再建であり、中国や韓国から「非難されない=馬鹿にされない」アジア地域の盟主としての地位を確立することのようである。
 この集会で主張された「憲法改正」必要論は、まとめて言ってしまえば、「安保法制=戦争法案」を強引に成立させた安倍「極右」政権が法案成立に関して繰り返し主張してきた「中国脅威論」「韓国蔑視論」と同じで、中国の脅威から「日本を守る」ためには「戦争ができる国」になるためには、「憲法前文」や「第9条」を改正することが必要、というものである。
 この集会に参加した人たちに共通している(欠如している考え)は、先のアジア太平洋戦争への「反省」および「正しい歴史(事実)認識」である。言葉を換えれば、先の戦争において日本人が320万人余り、中国を中心にアジア全域で2000万人と言われる「犠牲者=被害者」への意識が欠如しているだけでなく、「加害者意識」等全く存在していない、ということである。
 重要な案件が山積しているのに、また野党が憲法に基づいて開会を要求しているのに、外交日程と予算案の作成を理由に臨時国会を開こうとしない安倍「極右」政権(「軽減税率」のことばかりにこだわって自民党に同調している公明党は、もはや「平和の党」でもないし、「福祉の党」でもない)、また沖縄全体が「反対」の意思表示しているにもかかわらず、アメリカ追随の辺野古沖新基地建設を強引に推し進めようとする安倍内閣、これほど国民を「馬鹿」にした政権も珍しいのではないか。こんな政権だから、図に乗って右派の団体である「日本会議」などが大きな顔をして武道館などで集会を開くのである。
 そして、そんな政権に「51%」もの支持>(「読売新聞」の世論調査結果、しかし、安倍政権支持の「読売新聞」だから、この結果についてはいささかの疑問を持つ)を与える国民、どうやらこの国は本当に「崩壊」しつつあるのかも知れない。