牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

自家生産粗飼料で留意すること

2008-08-28 23:07:47 | 飼料


自家生産した粗飼料を給与する場合、繁殖雌牛では、生草のまま与えているケースがある。
特に西南暖地など、冬季でも刈り取りが可能な地域では、牧草を保存するサイロやロールベール調整時に必要な機器類の調達費用を考慮すると、青刈りのまま給与した方が、低コストに繋がるようである。
徳之島で200頭の繁殖を目指している牧場でも青刈り給与方式であった。
最近一般的になってきたのは、ロールベールによる貯蔵方式である。
前述のヒエの記述で書き漏らしたことがある。
それは、圃場の条件によるが、硝酸塩中毒を引き起こす例があることである。
この中毒は、硝酸塩含量の多い草を牛などに与えたために起こる中毒症状であるが、血液が濃くなり、やがてはチョコレート状になり、血液の流れが止まり、起立不能状態の症状となる。
この硝酸塩中毒は、草種、生育ステージ、刈り取り時の天候、圃場の土壌条件等が拘わっている。
窒素分の濃厚な厩肥等を多量施肥した土壌等では、栽培作物の硝酸塩含量が高くなる。
また、長雨が続いた直後に刈り取った場合、その含量が極端に増加している場合がある。
筆者等は以前、スーダングラスやたでなどの雑草が多量に含まれている若いトウモロコシを雨上がりに刈り取り、繁殖育成雌牛に給与した途端、頭部を下向けにして前肢が立てなくなる症状が出た。
つまり、同症状であった。
メチレンブルーを希釈して静注した途端、回復した経験がある。
牧草等の硝酸塩含量は、出穂し種子が実ると減少するが、栄養分が高い時期に硝酸塩含量も高い。
硝酸塩含量は、青刈り時が最も高いが、サイレージや乾草調整後も残存するケースがある。
ヒエのように濃緑色の草は、要注意であるが、種子が熟した後であれば、ほぼ大丈夫である。
また、牛を繋牧させる場合、同症が多発した例が過去にあった。
繋牧時にも、これらの条件を留意して実施すべきである。





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3 コメント

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硝酸塩 (Piyo)
2008-08-29 17:34:43
(-.-;)/

怖いですね。
硝酸塩…。
ビタミンAを破壊し、
繁殖障害の原因にもなると聞いています。

放牧地で牛糞から青々と生えている草は牛達もよほど空腹でないと口を付けようとはしません。

堆肥は完熟させてから放牧地に還元する様にしています。

窒素肥料は即効性があるという事で、
採草地に多様している農家さんの繁殖成績はいまひとつふるわない様な気がしています。


以前、
“育成牛も放牧で”とのご指摘を頂きましたが、
購買者の方から
「青草で育った牛は乾燥草をなかなか覚えてくれないので、乾燥草を…」
との要望があり、
その様にしている次第です。
青草の多給はタレ腹になるとの記述も目にした記憶がありますが、
実際に試した事はありません。

f^_^;
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間違い… (Piyo)
2008-08-29 17:37:24
f^_^;

多様→多用
の間違いでした。

(^^ゞ
返信する
購買者の意見も一理 (kuroiusi)
2008-08-29 22:35:00
購買者が指摘しているように、放牧のみで育成した子牛は、乾草に慣れない事もあると思いますが、それは一時的なことです。
問題は、放牧での育成で子牛の栄養度に問題があるか無いかだと思います。発育が順調であれば、粗飼料を多量に摂取している子牛の方がそうでない子牛より、素牛としては適しているはずです。
その根拠は、牛は草で育つの格言は間違いではないからです。
青草を与えれば垂れ腹になるというのは、栄養不良になれば垂れ腹になりやすいです。
この場合は、授乳中なら、泌乳量とその他の栄養源とのバランスがうまくいかないなどです。
発育が順調な子牛は、垂れ腹になることはありません。
発育がこじれた子牛には、青草だけではなく、乾草でも垂れ腹になりやすいのです。
現状では、購買者の意向は無視できないかも知れませんが、今後の飼料資源等を考慮する時、piyoさんのような飼料資源を生かしていくことを、頭の片隅に入れておいて頂くことも必要ではと、老爺心ながら思っています。
加えて、労働配分のこともありますが、青草を利用した育成技術を確立して頂きたいとも期待しています。
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