牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

子牛の見方 側望

2008-04-14 22:12:10 | 牛の躯
肥育素牛の善し悪しについて、牛の側望から見た対照的な写真を示して説明する。
上下の写真は、生後10ヵ月齢の去勢子牛である。
写真上は、首が長く繊細で厚みがない。肩はほぼ垂直で弱い肩付きをしている。胸は狭く、肩との移行が良くない。肋骨の張り方が下方後方へ斜めで、肋張りが悪い。腹部は後方の腰角方向へ切れ上がり(切れ上がった箇所を下ケン部という)、腹容の無さが見て取れる。尻の形状は左右と後方への傾斜が目立ち、尻の幅の無さや形状が悪い。腿は上腿・下腿ともに幅と厚みに欠ける。
この牛の側望からは以上のような判断が出来る。つまり前がちな体型をしており、前がちについては、以前説明した。
余談であるが、腹の中央辺りで下方へ体毛が垂れている箇所を包皮と言い、雄や去勢牛は包皮から放尿などをする。ちなみに雌牛は、尾根部の後方直近に放尿箇所があり、雌雄でその位置が異なる。
次に、写真上の牛を一見して気づくことがある。全身から生気が感じられないことである。毛艶の無さも感じられる。つまり健康上に何らかの支障のあることが伺える。それを如実に表した箇所がある。腰の直下で腰角に面した前側が大きく窪んでいる。窪んでいる箇所を飢凹部と言うが、飢凹部が窪むと言うことは、満腹状態ではなく、かなり食が細いことを表している。そのために、体力的なパワー不足に至り、生気がない理由になっている。この様に旺盛な食欲の無い牛は、素牛としてはかなりの問題がある。この様な子牛は、健康上の起因を診断治療してから、セリに出す必要がある。内臓的疾患、寄生虫などをクリアすべきである。



写真下の子牛は、上の子牛とは対照的に体各部が良く充実し、全体的なボリューム感が見られる。飢凹部の位置すら確認できないほど豊かな腹容をしている。このことは、旺盛な食欲があることを意味している。被毛にも艶があり、健康を裏付けできる。当牛は、体型発育面で、支障が認められず、肥育用には、抜群な素牛である。






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