牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

飼料計算

2010-11-27 16:17:30 | 飼料


訪問者から要望のあった飼料計算を記述するが、日本飼養標準(肉用牛)によれば、飼料計算を含む本誌の内容が納められたCDが添付されている。

肉用牛に給与するための飼料計算を行うには、予め日本飼養標準などを参考にして次の①~③を調べておく必要がある。
①飼料計算を行おうとしている牛の飼養形態に応じて、現体重とその増体レベルを想定する。
②①の想定に基づき、日量必要なDM(乾物量)やCP(蛋白量)やTDN(養分総量)を調べる。
③給与を予定している何種類かの飼料について、DMやCPやTDNなどの成分量を調べておく。

上記①について、肉用牛の雌子牛で現在体重175kgあり、増体レベルはDG1.0kgとする。
②①に該当する各成分の必要量はDM4.76kg、CP789g、TDN3.3kg
③成分等については、
 A.チモシー乾草(輸入)     DM80.8%、CP7.5%、TDN62.8%
 B.イタリアンライグラス乾草 DM86.1%、CP10.5%、TDN53.8%
 C.育成用配合飼料 DM77%、 CP17%、TDN70%
○計算法(1) 予め、次のような給与量を想定する。
△1案 [A=3.0kg、C=3.0kg]
MD値を求める
A3.0×0.808=2.424 C3.0×0.77=2.31 AC(MD)=4.734kg 26g不足
CP値を求める
A3.0×0.075=0.225 C3.0×0.17=0.51 AC(CP)=0.735kg 54g不足
TDN値を求める
A3.0×.628=1.884 C3.0×0.7=2.1 AC(TDN)=3.984kg 684g多い

上記の計算結果では、MDとCPの必要量は僅かに不足し、TDNは逆に若干多すぎる結果が出たため、再度給与量の補正が必要となる。
次案を設定して同様の計算を行い、それぞれの成分において約5%以内の誤差の範囲内で給与量を算出する。
とくに、直接栄養成分であるCPとTDN値を重視し不足の無いように配慮する。
○計算法(2)
 △2案[B=3.0kg、C=2.8kg]
MD値を求める
A3.0×0.861=2.583 B2.8×0.77=2.156 AB(MD)=4.739kg 21g不足
CP値を求める
A3.0×0.105=0.315 B2.8×0.17=0.476 AB(CP)=0.791kg  2g多い
TDN値を求める
A3.0×.538=1.614 B2.8×0.7=1.96 AB(TDN)=3.574kg 274g多い
2案では、外国産チモシー乾草を国産イタリアンライグラス開花期乾草へ変更して算出した。
TDN値が約7%程度多いが、単種の成分ではないために、若干多目でも問題ない数値である。
現実の給与に当たっては、さらに複雑な給与設定を行うほど、多岐にわたる様々なミネラルやビタミン等が補足できることで、必要成分の目安はより精度が増すことになるので推奨に値する。
適量な計算結果が得られない場合、2~3種類の餌に固執せず、単味飼料などを補足して必要量を算出する。
飼料計算は上記項目だけで万全ではなく、代謝エネルギーやリンやカルシウム、ビタミン等を同計算に加味することで、家畜の体調維持には不可欠である。


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