7~8年前から、肥育牛から採血して生化学検査を実施している。
全頭ではなく、導入時に5頭程度の採血を行い、それから生後15ヵ月令、21ヵ月目、25ヵ月目、そして出荷直前の5回を追次して実施している。
これまでの同検査では、ビタミンAの血中濃度は、以前農水省の研究班が提示したビタミンAのコントロールモデルに、概ね添った数値で推移してきており、肥育法に変化がないため、この1年間実施していなかった。
ところが、ここ数ヶ月、肥育成績が微妙に低下したため、同検査を本日再開した。
検査結果が判るには数日間かかる。
この採血法が以前とはかなり便利になった。
以前は、ステンレス製の採血針を頚静脈に差して、試験管に受けていたものである。
採血針が血管内でかすれたりして途中で留まってしまうと、順調に採血できた場合では、検査値に若干の差が出たものである。
今では、人の採血キットと同様で、採血管が引圧状態となっており、採血キットを血管にさせば、たちどころに採血管に血液が溜まる。
複数の採血管が必要な場合は、20ccなどの注射筒で血液を抜き、採血管に針をさせば、そのままで血液を移せて、実に便利になっている。
採血する術者により頚静脈から取ったり、肛門に面した尾部の付け根当たりから取ったりする。
また、採血は牛の保定次第で、失敗の頻度はかなり異なりる。
頚静脈であれば、牛の頭部をしっかりと保定し、採血する反対側頸部を凹状にし、採血する側を凸状にすれば安易に採血できる。
これは、採血だけではなく、補液する時などでも同様である。
採血なしでも順調な肥育成果が出ることが、もっとも良好なことであるが、肥育法が目的と異なる方向にいたっていないかを見極めるには、やむを得ない方策としている。